LIVE「ヨーロッパ 東京 2024.2.1」② | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

ヨーロッパ  東京ドームシティホール 2024.2.1

・・・続き。

 

「ウォーク・ジ・アース」を終え、ジョーイが観客に挨拶。「コノシュンカンハ、トクベツデス。トモニワカチアイマショウ」「ナガイアイダ、サポートアリガトウゴザイマス!」と日本語で挨拶すると、場内からは大きな歓声があった。

 

「次は新曲だ!」と言い、「ホールド・ユア・ヘッド・アップ」が始まった。昨年(2023年)に先行リリースされた楽曲で、ミュージック・ヴィデオも制作されている。興味深いのは、本曲の音楽性だ。

 

御承知のように、ここ数作のアルバムは変則的なチューニングを用いた実験的な楽曲、ダウン・チューニングによるヘヴィな音作り、そしてグルーヴの可能性を追求するような作風に仕上がっていた。

 

それに対し本曲「ホールド・ユア・ヘッド・アップ」は、メンバーが聴いて育ったブリティッシュ・ハードロックの香りを存分に感じさせる。見方によっては初期のバンドが披露していた音楽性が、現代に蘇ったかのようだ。

 

次なるアルバムは、2024年末か2025年初頭にリリースされる予定らしい。本曲がアルバムの全体像を表したものか否か、どのような位置づけの楽曲になるのか、新しいアルバムへの興味が高まるところである。

 

新曲とは言え、ジョーイは観客を巧みに煽りながら歌を披露。サビでは多くの人が拳を突き上げている。ノーラムはフライングVをご使用。1音1音に魂が込められたプレイに峰が熱くなる。レヴィンは定位置から動き、ドラム台に上って重低音を響かせていた。

 

演奏が終わると、キーボードの前に立つミックと、ステージ中央のみにライトが当てられた。すぐにミックが美しいメロディを奏で、場内は大きな拍手に包まれた。名バラード「ドリーマー」だ。スマートフォンのライトを点け、左右に振るファンも居られた。

 

前回の来日に当たる2019年のクラブチッタ川崎公演初日にもセット・リスト入りしているが、その際はバンド・ヴァージョンだったのに対し、今回はミックのキーボード伴奏のみでジョーイが歌うアレンジ。両名には光が揺らめくような照明が当てられ、ヴィジュアル的にも美しい。

 

透明感に満ちた空気を一転させるかのように、重厚なSEが流れる。始まったのは「ウォー・オブ・キングス」で、冒頭のSE的パートからバンドの生演奏に移行。ヘヴィな楽曲に合わせて暗めのライティングが独特の世界観をステージに構築する。

 

ノーラムのギターを軸としながらも、本曲のムードを演出するうえでミックのキーボード・サウンドが重要な役割を果たしていると感じた。戦闘的あり、神秘的でもある。そのミックをフィーチュアした間奏のフレーズから、ノーラムのギター・ソロへ。本曲を通して、大きなうねりが空間を支配した。

 

続いて、ミックが低い音でSE風味のコードを弾く。ギターを白のストラトキャスターに持ち替えたノーラムが登場し、泣きのフレーズを奏でる。ワウ・ペダルを駆使し、揺らぐような音でメロディを弾いている。

 

ノーラムのギターをフィーチュアした「ヴァサスタン」だ。クリーン・トーンでメロディを弾く前半から、ディストーション・サウンドに切り替えてフレーズを弾く。ノーラムとギターが一体となり、感情をメロディで、そして音で吐き出すかの如く1音1音がプレイされる。

 

ゲイリー・ムーア亡き今、その道を受け継ぐのがノーラムではなかろうか。そう強く思う感動的なプレイで、間違いなく本公演におけるひとつのハイライトだった。そこから「ガール・フロム・レバノン」冒頭部分のメロディに繋がり、ジョーイが再登場。

 

ヘヴィなリフとグルーヴで「ガール・フロム・レバノン」がスタートした。ヘヴィ、グルーヴといったワードを用いても、90年代初頭の楽曲であるため、2000年以降で言うヘヴィさ、グルーヴとは種類が異なる。本曲は伝統的なグルーヴとでも言うべきか。

 

演奏終了後、ミックがキーボードでメロディを弾くも、途中で止めて喋り始めた。少し弾いては喋り、また弾いては喋る流れに笑いの声もあった。やがて「キャリー」のイントロを弾き始め、大きな歓声に包まれる。スマートフォンのライトを左右に振るファンの姿もあった。

 

まずはミックのキーボード伴奏でジョーイが歌い、バンド演奏が入る前にメンバーが続々と定位置に戻って来る。サビでは大合唱となり、ジョーイが「ビューティフル!」と観客を称える。本曲でもノーラムのギターが素晴らしい。

 

大きな拍手と共に楽曲が終わると、間髪入れずにシンフォニックなSEが流れる。カウントからノーラムが名フレーズを弾き「ストームウィンド」へ。冒頭のSEはスタジオ音源に無いパートであるが、ライヴにおいてはこの流れでプレイされるのが恒例。本公演でも、それを踏まえた曲の入りだ。

 

イアンがアップテンポなビートを叩き始めると、ジョーイが手拍子を促し観客は手拍子。サビでは腕を振り上げて一緒に歌い、2番になると再び手拍子が沸き起こった。事前に打ち合わせしている訳でもないが、この一体感が素晴らしい。これぞ同じバンドを愛する人が集まったコンサートだからこそ実現する特別な魔法である。

 

演奏は進行し、最後に強音を決めて曲が終わると、メンバーがステージを去る。「俺はドラマーのイアンだ。今から20分の休憩に入る。まだ家には帰るなよ!」というアナウンスが流れ、客電が点けられた。これにて第1部が終了。時計は20時10分で、ここから休憩に入った。

 

第一部 セット・リスト

VTR

①オン・ブロークン・ウィングス

②セヴン・ドアーズ・ホテル

③ロック・ザ・ナイト

④スタート・フロム・ザ・ダーク

⑤ウォーク・ジ・アース

⑥ホールド・ユア・ヘッド・アップ

⑦ドリーマー

⑧ウォー・オブ・キングス

⑨ヴァサスタン

⑩ガール・フロム・レバノン

⑪キャリー

⑫ストームウィンド

 

続く・・・。