LIVE「雨上がりのラプソディ 新宿&池袋 2023.12.30~31」 | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

雨上がりのラプソディ 新宿ヘッドパワー 2023.12.30 & 池袋リヴォイス 12.31

雨が上がって大空を見上げると、そこには美しい虹が見える。この日、滝本なぎさ氏が生み出したメロディ、紡いだ言葉、そして数々の名曲が、永遠に消える事のない虹としてファンの心に刻み込まれる事となった。

 

2020年にグループが結成されてから全ての時代を駆け抜け、あらゆる景色を目撃した滝本氏。今年(2023年)4月よりグループに加わり、歴史と伝統に新たな息吹を与えた星野玲美氏。この2名が雨上がりのラプソディの最終形態として、約3年間に渡る旅の終着点に辿り着いた。

 

年内をもって解散する事を11月に発表した 雨上がりのラプソディ。今回は、その活動に終止符を打つ最後の3公演の模様をレポートしたい。12月30日が新宿ヘッドパワー、31日が池袋リヴォイスで2回のライヴを行っている。

 

新宿ヘッドパワー 2023.12.30

30日のライヴは、副都心線の西早稲田駅が最寄りの新宿ヘッドパワー。この日よりCD化された「not alone」の販売がスタートしており、これも最後に向けたメモリアル的な色合いを強くする。イヴェントは11時から始まっており、雨上がりのラプソディは14時45分からの出演。

 

会場の作りとしては、ステージと客席の親密度が高い。正に目の前でパフォーマンスが炸裂するような近さだ。本公演はSEなしで「勝たんしかっ!!」のイントロと共にメンバーが登場。グループを代表する楽曲で歌とパフォーマンスを開始している。

 

2曲目は新し目のナンバー「わんっライフ」。「わん!」や「にゃん!」など、キャッチーでユニークな言葉を取り入れつつも、テーマとしては「ONE LIFE」・・・即ち人生を歌った内容と解釈でき歌詞は深い。

 

2曲歌ってMC。年末である事や仕事納めの話題でトークが進行する中、星野氏が「皆さん!ここにいるという事は、まだまだ2023年を充実させたいって事ですよね!」と観客を盛り上げる。この勢いを継承して「ONLY GIRL」「INFINITY」に突入した。

 

予め決められていたのか、それとも勢いなのか定かで無いが、本公演では滝本氏がステージからスタンディング・フロアに飛び降りて歌う演出があった。今までは見た事の無い光景であり貴重な一幕である。

 

25分の持ち時間という事で、ライヴは「Say to one self」「夜空で願いを」で締め括られた。もしかすると、雨上がりのラプソディのライヴを生で体験するのは、この日が最後という方も居られたのではなかろうか。まだ最終公演では無いにせよ、これら2曲は歌詞も含めてグッと来るものがあった。

 

セット・リスト

①勝たんしかっ!!

②わんっライフ

③ONLY GIRL

④INFINITY

⑤Say to one self

⑥夜空で願いを

 

池袋リヴォイス 2023.12.31(1回目)

遂に訪れた最終日。朝から一時的に雨が降り、その後に止む天候に。正に雨上がりに行われた最終公演に。池袋リヴォイスは、これまでにもグループが何度もライヴを行った思い出深い場所。この会場で雨上がりのラプソディは、その歴史に幕を下ろす事になった。

 

大晦日のイヴェントは2部制で、雨上がりのラプソディは両部に出演。第1部ではイヴェントのトリを飾る位置で出演した。14時20分からのライヴである。前のグループのライヴが終わった直後に、雨上がりのラプソディのファンの方がペンライトを配布してくださっており、私もいただいた。

 

タイム・テーブル通りにライヴは進行し、定刻に雨上がりのラプソディもライヴを開始している。前日にはなかったSEが流れ、ここ最近のライヴの流れを忠実に踏まえたオープニングに。

 

深海を想起させるSEからデジタル音に切り替わり、「最終日、盛り上がって行きましょう!」の声と共にメンバーが登場。1曲目は「初恋ヒロイン」。滝本氏と星野氏が表現するパフォーマンスを通して、ステージ上にキュートな色合いが構築された。

 

その空気を一転させるかのように、クールなデジタル・サウンドが場内を引き締める。「魅惑のストロベリー」である。本曲は滝本氏が高校生の頃、既に歌詞の原型が出来上がっていたらしい。以前、お話を伺った際にそう仰っていた記憶がある。歌詞のセンスと視点の鋭さが映える1曲と言えそうだ。

 

挨拶MCでは、星野氏より「今日はバタついており、階段から転げ落ちた」と衝撃の告白が。確かに脚には包帯が巻かれている。滝本氏より「(傷が見るかも知れないので)心構えをして見てください」という旨のコメントもあった。

 

それでも客席から見る限りは従来のパフォーマンスを披露しており、星野氏のプロ根性を感じさせる。その星野氏が「明日かある限り」のタイトル・コールを行い、曲がスタート。ロック・テイストのオケに合わせて、サビでは2人が拳を突き上げ力強く進行した。メッセージ性の強い歌詞にも、改めて注目したい。

 

持ち時間の中で出来る限り多くの楽曲を届けたいという、滝本氏の想いが30秒に凝縮された「オン・ファイヤー」を経て、ラストは「勝たんしかっ!!」で締め括られた。

 

セット・リスト

SE

①初恋ヒロイン

②魅惑のストロベリー

③明日がある限り 

④オン・ファイヤー

⑤勝たんしかっ!!

 

池袋リヴォイス 2023.12.31(2回目)

活動の集大成である最終公演は、16時20分より始まった。どうやら16時から出演するはずだったグループが急遽キャンセルになったらしく、結果として雨上がりのラプソディが第2部のトップ・バッターとなった。

 

SEが流れ「最終公演、みんなで暖かい空間を作りましょう!」と言いながらメンバーが登場。1曲1曲が最後の披露となる、文字通りのラスト・ライヴである。まずは「ONLY GIRL」でスタートした。好きな事 好きなだけやろう 自分らしさ磨いて・・・この活動に懸ける滝本氏の熱量が伺える。

 

「オン・ファイヤー」「INFINITY」とアップテンポな楽曲で畳みかけ、挨拶MCへ。ここまで熱い空気が充満していたものの、両名のトークから終わりが近付いている事を実感し、ややしんみりしたムードに。

 

星野氏のタイトル・コールから「not alone」が始まり、イントロと間奏部分でメンバーそれぞれが観客に感謝の気持ちを伝えている。終盤で見られる滝本氏と星野氏が背中合わせとなって上を指差すフォーメーションは、この先にそれぞれが歩む別の道を表現しているかのようで、今までに無かった解釈と見え方ができる。

 

滝本氏と星野氏による感謝の言葉、固い握手、そしてこれまで歩んだ道のり。様々な想いを内包する中、ラストの「Say to one self」が披露された。歌い終えた後、メイクを通さず生の声で「雨上がりのラプソディでした!」と挨拶をして、メンバーはステージを降りた。

 

音楽で人の心を支えたい・・・かつて「Say to one self」のシングルCDにいただいたサインに、滝本氏がこのメッセージを書いて下さっていた。雨上がりのラプソディは、その活動の中で人々に寄り添い、音楽とパフォーマンスを通してファンの人生に彩りを与えて来た。

 

グループという形態での活動は終了したが、歴代のメンバーによって築かれた歴史、滝本なぎさ氏と星野玲美氏が作り上げた時間は生き続ける。美しい虹には、いつも雨上がりのラプソディが奏でた数々の名曲のメロディが舞っているのである。

 

セット・リスト

SE

①ONLY GIRL

②オン・ファイヤー

③INFINITY

④not alone

⑤Say to one self