LIVE「聖飢魔Ⅱ 東京 2020.10.20(夜)」 | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

聖飢魔Ⅱ 地球デビュー35周年期間限定再集結ヴィデオ・黒ミサ&生トークツアー「特別給付悪魔」 東京国際フォーラム 2020.10.20(夜公演)

今回の「特別給付悪魔」は、進行がキッチリと時間管理されており、公演は2時間で終了する。よって15時に開演した昼公演は17時に終演し参拝者は一旦退場。夜公演は18時開場、19時開演という設定だった。公演地によっては、もう少し早い時間設定の日もあったが、東京公演は平日の火曜日。仕事帰りに参加する方も多いと思うので、19時開演に決められたのではないかと推測する。

 

昼と同じく、入場列はソーシャルディスタンスを保って作られるため非常に長い。参拝券は電子チケットをスタッフに見せる、もしくは紙チケットの半券を自分で袋に入れるという方式で中に入る。参拝券を自分の手からスタッフの手に渡す事は無いので、間接的な接触も防止されている。

 

客席はひと席飛ばしで観客がおり、着席による鑑賞。2階席後方を見ると昼より席が埋まっていたので、夜の方が来場者が多いように見受けられた。従来のミサなら開演を待っている時に信者仲魔同士で語り合ったり、雑談をすることろだが、感染症対策の事もあり場内にザワザワした感じは無く静まり返っている。18時55分頃になると客席やロビーに、ビーという開演5分前を知らせるブザーが鳴った。

 

夜も聖飢魔Ⅱヘッドフォン、再販が決まった極悪集大成盤の告知CM、Damin Hamada’s Creaturesの聖典「旧約魔界聖書」の告知CMが放映され、そこから開演前の影アナウンスに移行する。鐘の音に続き「ぶっひょ!ぶっひょひょひょ!」と声が場内に響き渡る。夜の影アナ担当はライデン湯澤殿下(ds)だ。東京国際フォーラムは、1999年の「LIVING LEGEND」ツアーを筆頭に、期間限定再集結以降の大黒ミサにおいてもラストを飾る事が多かった場所であり、思い出深い会場だと語られた。

 

公演に関する一連の注意事項を述べた後、「いろんな意味で思い出に残るであろう今年の大黒ミサ、楽しんで行ってくれ!」と締められている。場内が暗転し、聖飢魔Ⅱのミサでお馴染み、ゴジラ映画「三大怪獣 地球最大の決戦」メイン・テーマが大音量で響く。事前に発表されているように、「特別給付悪魔」は昼と夜で放映される映像の内容が異なっており、夜公演のメニューは次の通り。

 

SE(「三大怪獣 地球最大の決戦」メイン・テーマ)

①創世紀

②FIRE AFTER FIRE

③1999 SECRET OBJECT

④アダムの林檎

⑤MASQUERADE

⑥呪いのシャ・ナ・ナ・ナ

⑦BRAND NEW SONG

⑧蝋人形の館

生トーク・コーナー

⑨秘密の花園

⑩JACK THE RIPPER

⑪EL.DORADO

 

「創世紀」に続くナンバーが昼は「地獄の皇太子」だったが、夜は「FIRE AFTER FIRE」に。選曲面で言うなら、大きな目玉となるのが「呪いのシャ・ナ・ナ・ナ」ではなかろうか。ルーク篁参謀(g)が2016年以降の数回開催したソロ・ツアーではセット・リスト入りしていたものの、聖飢魔Ⅱとしてのヴァージョンを聴くのは初めて。

 

ルーク参謀がソロ・ツアーで本曲を演奏した際、ステージにはダンサー2名が登場して一緒に踊る演出があった。これは飽くまで推測であるが、聖飢魔Ⅱの舞台上にもダンサーが登場するアイディアがあったかも知れない。これまでも「闘う日本人」などで、スタッフ・ダンサーズが登場しているので、それは想像に難くない。だが、今回の映像は構成員のみがステージ上で演奏するシンプルな作りだった。これも感染症対策のひとつとして、ステージには必要最小限の演者しか登場しないという配慮だったのではないか。

 

「アダムの林檎」前のデーモン閣下(Vo)のトークは昼と同じ映像だったが、公演全体で言うと夜の映像だけで見られるトーク・コーナーがあった。デーモン閣下が聖飢魔酒を開封して呑むシーンがそれだ。また「蝋人形の館」前の語り部分は、ゼノン石川和尚(b)とデーモン閣下が2名で行っていた昼の映像に対し、夜はデーモン閣下のみで進行。つまり別ヴァージョンの映像が用意されていたようだ。特に夜の「蝋人形の館」では「ステイ・ホームの一室から」「不要不急の外出自粛の一室から」といった感じで、今の情勢が深く反映された内容に。

 

「蝋人形の館」を経て、生トーク・コーナーへ。本公演の司会はゼノン和尚で、開始早々にルーク参謀やデーモン閣下から「ちゃんとやってくれ!」とツッコミを受けている。信者からの質問の流れで、デーモン閣下が「WINNING GATE」を少し歌ったのが夜の部におけるレアな場面だった。デーモン閣下は事前に動画サイトで本曲を検索し、歌詞を耳コピして書き写したとの事。しかしシャウトの部分が何と歌っているか、自分の歌なのに聴き取れなかったというエピソードを披露。場内から笑いの意味の拍手が響いた。

 

「好きな食べ物は何ですか?」という質問に対する、ジェイル大橋代官(g)の反応は面白かった。デーモン閣下やライデン殿下が「こういう質問を35年前のジェイルにしたら怒られてた!」「音楽の質問しろ!と言われた」と口々に言うが、当のジェイル代官は笑顔で「お答えしますよ、ステーキです」と回答。35周年前には想像できなかったような(?)、和やかなムードで進んでいる。

 

生トークの終了後、再び巨大スクリーンが舞台に現れて「秘密の花園」「JACK THE RIPPER」「EL.DORADO」が上映され、ミサはエンディングへ。とにかく今回の「特別給付悪魔」は最上級、最大級の音響の良さが特徴的だった。アーティスト問わず、生演奏のライヴだと舞台上に置かれたアンプや生ドラムの音も大きいため、どうしても前に行くほど音のバランスを整えるのが難しい。

 

その分、「特別給付悪魔」は予め用意された音をミックスして鳴らすため、クリア且つバランスの良い音響で35周年聖飢魔Ⅱのサウンドを体感できた。聖飢魔Ⅱのミサのみならず、コンサートやライヴは目の前にアーティストが居て生で演奏を聴けるのに越した事は無い。しかし、世の中の状況を踏まえつつ、新しい公演の在り方、新しい音作りの方法を提示した「特別給付悪魔」は、常に挑戦し、攻めの姿勢で新たなエンターテイメントを提供し続けた「聖飢魔Ⅱらしさ」が貫かれたツアーだった。告知されているように、聖飢魔Ⅱは1月下旬に何かの発表を行うようだ。その情報を待ちたい。