LIVE「ハロウィン 六本木 2018.03.16」③ | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

ハロウィン 「ワールド・ツアー2017-2018 パンプキンズ・ユナイテッド」 六本木EXシアター 2018.03.16

・・・続き。

 

演奏が終わると、スクリーンには再びアニメーションが放映される。曲の合間に挟まれるこのアニメーションは、各メンバーの姿をイメージしたカボチャも登場しており、この時はサシャと思われるデザインのカボチャのキャラクターが登場していた。VTRの合間にサシャは花道前方まで歩み出て来て演奏のスタンバイを。VTRが終わってダニがカウントを打つと、サシャが「アイ・キャン」のリフを弾き始めた。スクリーンには、鍋で煮られるカボチャのイラスト、即ちアルバム「ベター・ザン・ロウ」(1998年)の裏ジャケットの絵が映し出される。

 

いつものライヴ・ヴァージョンは、サシャがメインのリフを弾き、ヴァイキーが高いポジションの単音でリズムを刻むような分担になっているが、今回はトリプル・ギター編成なので、そこにカイが弾くパワー・コードが加わりサウンドも分厚い。また通常のライヴでは、間奏のヴァイキーのソロにおいて最後の数小節はハーモニーを付けないアレンジで演奏されるが、今回はそのパートもスタジオ版通りにツイン・ギターでフレーズが弾かれている。これもギタリストが3名だからこそのヴァージョンだ。

 

「アイ・キャン」が終わると、ダニのドラム・ソロへ。要塞のように積まれたドラム・セットでダニが派手なフレーズを連発。そしてスクリーンには「Ingo」と書かれたビデオテープをデッキに入れて再生するアニメーションが流れる。そして若き日のインゴ・シュヴィヒンデンバーグがドラムを叩く映像が流れ始め、客席からは歓声が上がった。更にインゴが叩く映像と同時にダニもフレーズを叩き始め、ステージ上のダニと映像の中のインゴがドラム・バトルを繰り広げるかのような光景に拍手と歓声が響いた。正にダニとインゴの「共演」だった。

 

それが終わるとメンバーが続々と舞台に再登場し、「リヴィン・エイント・ノー・クライム」「ア・リトル・タイム」がメドレー形式で演奏される。因みにヴォーカルはキスクだ。特に「ア・リトル・タイム」は、ライヴ盤「キーパーズ・ライヴ」で聴けるアレンジでは無く、スタジオ版通りに中盤の時計の音まで忠実に再現されていた。またエンディングでは、バンドの音が徐々にフェイド・アウトして行く効果で終わったように思わせ、演奏が再開されるアレンジに。

 

マーカスをモチーフにしたと思わしきカボチャのアニメーションの放映を経て、そのマーカスが花道に登場。ダニが叩くビートに合わせてフレーズを弾き始めた。そこにギター陣がリフを重ね、アルバム「マスター・オブ・ザ・リングス」(1994年)収録「ホワイ?」がスタート。冒頭の歌パートはキスクが担当し、その後、アンディにバトンタッチ。これも「パーフェクト・ジェントルマン」や「フォーエヴァー・アンド・ワン(ネヴァー・ランド)」同様に、アンディらしい楽曲にキスクが参加して歌うという組み合わせは、これまでなら絶対に一致する事の無かった時代が、同じ空間でひとつになっている事を実感するひと幕に。

 

アンディによる短い曲紹介を経て、次の曲「ソウル・サヴァイヴァー」、そして「パワー」へ。ハロウィンの活動を見ると、やはり「守護神伝」時代の影響力は大きく、その時代に思い入れが強いファンも多いと思うが、「ソウル・サヴァイヴァー」や「パワー」はアンディ加入後の名曲であり、アンディを含む編成でもひとつの「時代」を築いている事を証明している。特に「パワー」は曲が始まるなり、冒頭からギター・フレーズを観客が合唱し、間奏のツイン・ギターのメロディも大合唱が沸き起こっていた。

 

舞台上にはメンバー7名が勢揃いし、アンディが「メイン・セットの最後の曲だ」と言う。本編ラストは、もうここ何年も演奏されてなかった「ハウ・メニー・ティアーズ」で、ヴァイキーがリフを弾き始めると観客も一気にヒート・アップ。アンディとキスクのツイン・ヴォーカルによって曲は進行し、間奏ではトリプル・ギター効果も含めたソロが炸裂する。曲がエンディングに向かうサビの繰り返しで、本曲中の最もキーの高い歌メロが登場するが、その部分も「キーパーズ・ライヴ」同様にキスクが完璧に歌い上げる。これにて本編が終了。

 

アンコールを求める声が暫く続いたところで、「守護神伝-第二章-」の冒頭と同じく「インヴィテーション」がSEとして流され、これまた大きな歓声が上がる。メンバーが続々と定位置に戻り、演奏された曲は勿論「イーグル・フライ・フリー」だ。本曲はキスクのヴォーカルで披露され、もうライヴでは聴ける事が無いと誰もが思っていた「あの声」で「イーグル・フライ・フリー」が歌われている。正に夢なのか現実なのかわからない光景である。

 

キスクがサシャを紹介し、サシャがクリーン・トーンでアルペジオを弾き始めると、大きな歓声とどよめきの声が上がった。何と超大作「守護神伝」だ。タネを明かせば海外公演でも毎回演奏されているのだが、アンコールのこの位置に大作を持ってくる辺りは、かなり挑戦的と言える。本曲もオリジナル版同様にキスクのヴォーカルがフィーチュアされ披露された。起伏に富んだ展開を経て曲は進行し、ギター・ソロやツイン・リードはカイとヴァイキーによって弾かれている。

 

最後はサシャがメインのアルペジオを弾く中、メンバー11名が楽器を降ろし、順に舞台を去って行った。つまり「マイ・ゴッド・ギヴン・ライト」に従うツアーの終わり方と同じ段取りに。最後まで残ったサシャが花道まで来て、コードを弾き下ろして曲が終了すると、場内は再び暗転した。観客の声に応え、2度目のアンコールが行われる。メンバー7名が勢揃いし、海外公演では「フューチャー・ワールド」を演奏するのだが、何とこの編成で発表した楽曲「パンプキンズ・ユナイテッド」がスタート。これが演奏されるのは初である。

 

誰もがライヴ・ヴァージョン初体験の楽曲ではあるが、観客はサビを合唱し凄まじい盛り上がりを見せている。スクリーンに、海外盤「ライヴ・イン・UK」のジャケットのイラストと、今回の「パンプキンズ・ユナイトッド」のために描かれたメンバー7名のイラストが映し出されたのは感動的だった。演奏が終わると、カイのギター・ソロへ。「ゴーガー」の中でも弾いているお馴染みのフレーズを弾き、ライヴでこれを弾くと「フューチャー・ワールド」が続く事が多く、今回もそれは同様だった。

 

本当に最後の曲として「アイ・ウォント・アウト」が開始されると、カボチャのキャラクターが描かれた巨大な風船が客席に何個も投げ込まれる。「フューチャー・ワールド」「アイ・ウォント・アウト」は、もうお祭りのようなムードで盛り上がり、これにて全メニューが終了。メンバーは舞台に並んで礼をし、順に舞台を降りた。終演後、グッズ売り場に行くと、Tシャツは全種類が完売。とにかく、今回の来日公演は来場者数のみならず、何もかもスケールが違うのであった。