聖飢魔Ⅱ FINAL MASS TOUR 「LIVING LEGEND」再検証
・RATSBANE
「戦慄のドナドナ」が終わるとデーモン閣下を乗せた手術台やクローン・ダンサーズは笛の合図で舞台を去り、本曲の演奏が開始される。「20世紀狂詩曲」「戦慄のドナドナ」は共にドロップDチューニングの楽曲である為、これらが連続で演奏されたのはスムーズな段取りと言え、ここから再びレギュラー(正確には半音下げ)チューニングのギター、ベースに構成員は交換している。つまり「戦慄のドナドナ」後の舞台の去り方は、観客を笑わせる為の演出以外に、ギターとベースを交換する時間確保の意味合いもあるはず。
さて、本曲は「LIVING LEGEND」ツアーの演目の中でもひとつの目玉となっており、通常通り2番まで歌い終わったところで、デーモン閣下がリズム・セクションを紹介しホラ貝を吹いて、衣装替えのため舞台裏へ引っ込む。そしてドラム・セットにスポットが当たりライデン殿下が数小節フレーズを叩くと、今後は舞台右側バルコニー下の扉に明かりが点き、そこにスタンバイしていたゼノン和尚(この時のみアフロヘアー)がベース・ソロをプレイ。
再び殿下にスポットが当たり殿下がフレーズを叩くと、今後はバルコニー下にベースを持ったエース長官の姿が浮かび上がり長官がベースを披露。再度、殿下のソロがあり、次は再び和尚のソロと長官のソロが交互に繰り返され、最終的にはそこの扉が開いて和尚が登場し、歴代ミサでもよく見られたベース・ソロに突入する流れだった。この模様は「ウラビデオ」にも収録されており、初日の本番直前まで舞台裏でベースのフレーズを繰り返し練習する長官の姿が見られる。
この流れで披露されたRXのリズム・ソロは、1999年夏のツアーでプレイされたリズム・ソロと同様の楽曲が演奏されている。よって1999年夏のツアーより、スカイパーフェクTVで生中継された8月5日のZEPP TOKYOミサの映像を所有している方は、そこで見聴きできるものと同じフレーズが弾かれているという事。
また、その映像を所有していない方でも2015年末にBlu-rayで再発布された映像作品「THE ULTIMATE BLACK MASS」より初日の「THEATRICAL DAY」内で見られるRXのリズム・ソロも、それと同じものだ。因みに映像に残されているそれらのリズム・ソロは、和尚のベース・ソロに続いて殿下のドラム・ソロに繋がるが、「LIVING LEGEND」ツアーではドラム・ソロは設けられていなかった。更に補足だが、このRXコーナーも1999年10月末の岡山県倉敷市民会館ではリズム・ソロの曲がリニューアルされていたので、ツアー前半と後半では異なった内容になっている。
RXの超絶リズム・ソロが終了すると殿下がビートを刻み、オースティン松崎様パワーズがキーボード台にスタンバイし「RATSBANE」のピアノ・パートを弾き楽曲後半の演奏が始まる。以降は長官のジャジーなフレーズと参謀のテクニカルなフレーズが繰り返され、最後のサビの繰り返しを経て曲はエンディングを迎えるという、誰もが聴き慣れた「RATSBANE」が演奏されている。つまり構成としては「RATSBANE」を間奏前まで演奏し、殿下、和尚、長官のリズム・バトル、RXリズム・ソロ、「RATSBANE」間奏以降の演奏という流れに。
聖飢魔Ⅱ後期の活動において、長官のメイン・ギターはCaparison社のAngels-aceが信者にお馴染みとなっていたが、「RATSBANE」間奏のジャジーなフレーズから曲の後半を演奏するパートのみ違うギターを使用している。それが長官の書籍「ギタリストのための音楽理論研究~鉄人への道~」内の使用機材紹介のページに「「RATSBANE」で使用された」と掲載されているあのギターである。
また本ツアーは「RATSBANE」の次は構成員紹介のコーナーだった。長官は当初、ギターを弾きながらトークを繰り広げていたが、ツアーが進むにつれ本格的にギター漫談へと発展。そのトークの際にも同ギターを使用していた事も付け加えていきたい。10月22日の松山市民会館公演までは基本的に随所でコードを弾きながら喋る流れだったが、24日の広島厚生年金会館(現・広島文化交流会館)から、映像作品「THE ULTIMATE BLACK MASS」より初日の「THEATRICAL DAY」内の構成員紹介でも見られるオシャレなアルペジオが弾かれるようになった。
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