第84回「アイドル・ポップスとギター事情」 | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

アイドル歌手やアイドル・グループと言えば、一般的に歌謡曲のカテゴリ内で語られる事が多い。勿論、そのアイドルというジャンルに属する各アーティストの中にも有名所から、次世代候補まで知名度にはバラつきがあるのは事実だが、大体、ヒット・チャートを見ると、いつの時代にもアイドル歌手等が一組は入っているので、決して特殊な音楽では無くポピュラーなもののひとつと考えるのが自然だろう。


70年代の音楽番組の多くは、バック・バンドやオーケストラによる生演奏が主流で、80年代にも、その流れは続いている。世の中に存在するアイドルのレコードを全て聴いた訳では無いので一概には言えないが、その時代の楽曲及び、演奏、伴奏の多くは、いわゆる「歌謡曲」「ポップス」としてのサウンドである。だが、ある時期を境にロック色の濃い楽曲、歪んだギター・サウンドを取り入れ、奏法としては紛れも無くハードロック/へヴィ・メタルの手法を取り入れたアイドル・ソングが登場するようになった。


という事で今回、「ギターがカッコ良い、アイドル・ソング」という括りで楽曲を紹介しようと私は勝手に思いついた。だが、「カッコ良いギター」の定義は何か?。これは人によって異なるはずである。ディストーションを掛け歪んだサウンドで、16連譜の速弾きをフル・ピッキングで弾き倒すのがカッコイイと感じる人も居れば、クリーン・トーンのサウンドでハイ・コードを押さえ、美しいカッティングをキメるのがカッコイイと思う人も居る。他にもバックのコードに対し、音楽理論的にきっちり噛み合ったスケールでメロディを紡ぐ、または敢えて噛み合わない音を取り入れるといった、絶妙なセンスにカッコ良さを感じる人もいる。今回は私、PSYCHO村上が勝手に選ぶ、あらゆる面のカッコ良いギター特集を実施。前置きが長くなりすぎたので、曲紹介はテキパキと行いたい。



嗚呼 /-ute


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・アルバム「ショッキング5」(2010年発表)収録の「嗚呼 恋」は、かなりギターが印象的な楽曲。マイナー・コードとマイナー・スケールを主体に構成され、緊張感を添加したシャープな雰囲気の仕上がりである。因みに本曲は、鈴木愛理氏がソロで歌う楽曲となっている。↓↓


http://www.youtube.com/watch?v=aKVb_CJbGdI




Blue rose/AKB48


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・アルバム「team K 2nd stage 青春ガールス」(2007年)他に収録されている「Blue rose」は、8ビート主体で進行するロックな楽曲。歪んだギター・サウンドでパワー・コードを押さえリフを刻むのは、正にハードロックの奏法である。本曲のメインとなるギターのフレーズもかなり印象に残るメロディだ。尚、ご覧頂く映像は、ここで載せているアルバムの公演とは異なります。↓↓



http://www.youtube.com/watch?v=y0WJanLGDOM




Liar/東京女子流



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2011年発表の8thシングルで、アルバム「Limited addiction」(2012年)にも収録。こちらはハイコード・カッティング系の奏法が堪能できる1曲。楽曲のリズムはファンキーな感じだが、楽曲はクールで大人びた雰囲気を醸し出す。↓↓



http://www.youtube.com/watch?v=jig_D8Wdomo




未来ドライブ/Buono!


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・ロックを歌うアイドルとして高い人気を継続しているBuono!だが、ここでは少々、趣向を変えミニ・アルバム「SHERBET」(2012年)収録の「未来ドライブ」を取り上げたい。シンセの幻想的なサウンドが印象的だが、ギター・プレイを注意深く聴くと、Aメロのバックのプレイなど、クリーンな単音リフやカッティング等、フュージョン・ミュージック的奏法が聴ける。部分によっては、揺らぎ系のエフェクターをかなり効かせているようだ。↓↓




http://www.youtube.com/watch?v=uU75xGeVFzs



LOVE SURVIVE/SCANDAL


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SCANDALは、正真正銘の実力派バンドである為、アイドルという括りで紹介されるのに異論を唱える方もおられるはずだが御勘弁を。バンドである為、ギターのサウンドというのは、どの曲においても背骨となってくる訳だが、個人的選考で今回は11thシングル「LOVE SURVIVE」(2011年)を紹介。印象的なイントロのリフは、音を聴く限り主音と1オクターヴ上(または下)の音を同時に抑えるフォームで弾いていると思われ、これは間に挟んだ弦と他の不要な弦のミュートを正確にしておかないと、鳴ってはいけない弦の音が鳴りノイズが入る。よって、単純そうに思えて、実は技術が必要なリフである。↓↓




http://www.youtube.com/watch?v=wwiuEdF8BKU



WING/ぱすぽ☆



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・ぱすぽ☆の6thシングル「WING」(2012年)も、8ビートを骨格に、ロック・ギター的リフがメインとなる楽曲。音を聴く限り、主音と3度上の音を押さえるパワー・コードでのリフを弾いているようだ。ギターとシンセの煌びやかなサウンドの融合が聴ける楽曲↓↓




http://www.youtube.com/watch?v=CwXxaQ7NfKk



Beautiful Day/松浦亜弥



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・最後に紹介するのは、「味わい深い」ギターのカッコ良さである。世間一般に松浦亜弥氏はアイドル時代のイメージが強いが、音楽的にはアルバム「ダブル・レインボウ」(2006年)辺りから歌手・表現者としての技量・力量が無ければ歌えない、難易度の高い楽曲を披露するようになった。つまりアイドルから、ひとりのシンガーとなったのである。この「Beautiful Day」は、アルバム「想いあふれて」(2009年)収録の楽曲。ジャズ的アプローチの味わい深いサウンドが聴ける。↓↓




http://www.youtube.com/watch?v=nnLtu-gRPKk