精神科専門医Dr.ヤンです

こちらをご覧の方の中には、これから精神科を受診しようと考えている方や、すでに通院されている方もいらっしゃると思います。

一口に「精神科」と言っても施設の種類や役割はさまざまで、初めて受診を考える方にとっては分かりにくい面もあります。

そこで今回は「精神科の歩き方」と題して、精神科医療機関の種類と特徴を大まかにご紹介します。





1. 総合病院の精神科



  • 大学病院や地域の総合病院の一部に設置されています。
  • 一般の総合病院では精神科の医師数は多くなく、外来診療を行ってない所もあります。(地域による)
  • 主な役割は他科に入院している患者の精神的な問題へのリエゾンやコンサルテーション。
     例:術後せん妄、がん患者のうつや不安、認知症に伴う行動症状など。
  • 入院設備があっても短期・急性期が中心で、慢性期の長期療養には向きません。




2. 単科精神科病院


(1) 公立の単科病院


  • 「◯◯県精神医療センター」などの名称を持つ施設。
  • 精神保健指定医が多く、**重症例や司法精神医療(措置入院・鑑定入院)**を担います。
  • 地域精神医療の拠点として機能します。




(2) 民間の単科病院



  • 「◯◯サナトリウム」「◯◯温泉病院」といった名称を持つこともあります。
  • 主に統合失調症や気分障害などの慢性期患者を支え、長期入院や療養が可能です。(国の方針として入院期間を短くする取り組みが行われてきています。)
  • デイケアや作業療法などリハビリ機能も備えていることが多いです。





3. クリニック(診療所)



(1) 一般的な精神科クリニック



  • 外来中心で、うつ病・不眠症・不安障害など軽症〜中等症の患者を対象とします。
  • 「精神科」だけでなく「心療内科」と標榜しているケースも多い(患者が相談しやすいように配慮されている)。
  • 都市部では駅前やビル内に多く、アクセスの良さが特徴です。
  • 従来は個人で開業しているクリニックが多かったですが、最近は都市部を中心に複数の分院を展開している企業型?クリニックやオンライン診療を行うところも増えてきているようです。




(2) 専門特化型クリニック



  • 特定の領域に絞った診療を行うクリニック。例として:
    • 発達障害専門(子ども・大人のADHD・ASDなど)
    • 依存症専門(アルコール、薬物、ギャンブルなど)
    • 摂食障害やトラウマ専門
    • 睡眠外来(不眠症や睡眠時無呼吸症候群など、睡眠障害に特化)




スタッフ構成による機能の違い

 どのような職種のスタッフが在籍しているかにより対応できるところも変わっています。


  • 臨床心理士・公認心理師:心理検査、カウンセリング
  • 精神保健福祉士(PSW):社会資源の活用支援、生活相談
  • 作業療法士(OT):生活リズムの改善、復職(リワーク)支援
  • スタッフ体制によって、以下のプログラムが展開可能:
    • デイケア(生活訓練・対人交流)
    • カウンセリング(心理的支援)
    • リワークプログラム(復職支援)





「鬱(うつ)は大人のたしなみですよ。それぐらいの感受性を持ってる人じゃないと俺は友達になりたくない。こんな腐った世の中では少々気が滅入らないと……。社会はおかしい、政治は腐ってる、人間の信頼関係は崩壊してる、不安になる。正常でいるほうが難しい」


これは俳優であり文筆家でもあるリリー・フランキーさんが、あるインタビューで語っていた言葉です。


初めて目にしたとき、どこか腑に落ちるものがありました。今の世の中はどこか息苦しくて、それでも多くの人が平気な顔をして日々をやり過ごしている。電車の中で、職場で、家の中で。みんな、本当はちょっとずつ疲れているんじゃないかと思うのです。


社会が悪い、誰かが悪い、とこぼしたいわけではありません。ただ、「しんどいな」と感じているのが自分だけじゃないと知るだけで、ふっと肩の力が抜けることがあります。


診察室にも、毎日たくさんの方がやってきます。本当は、こうして心を痛める人が少なくて、私のような医療者が暇をしているほうが、きっと健やかな社会なのでしょう。それでも現実には、笑顔の裏で何かを抱えた人たちが、今日も静かにドアを叩きます。



「鬱は大人のたしなみ」という言葉は、弱さを擁護するものではなく、きちんと感じながら生きている証なのだと思います。落ち込む夜があるのは、ちゃんと世界を受け止めているからかもしれません。

精神科専門医 Dr. ヤンです。

当院では初診の患者さんにはこれまでの身体の病気だけでなく、精神科にかかったことがあるかどうかお伺いしています。(予約の時点でも確認しますが…) 

全く精神科が初めてという方もいれば、他の病院やクリニックに通っていたけれど、いろいろな理由で当院に来られる方も多くいらっしゃいます。



「どうして前の病院をやめたのですか?」



引っ越しや職場がかわり単に距離や時間的に通いにくくなり通院先をかわるのはわかりやすいですが

そうでなさそうな場合は私は率直に「前のところではどうして治療を続けなかったのですか?」とお聞きすることがあります。すると、よく耳にするのはこんなお話です。


  • 初診は割とすぐ診てもらえたのに再診からは予約時間通りに行っても1時間以上待たされることがしばしば
  • 初診では丁寧に診てもらえたけれど、2回目からは流れ作業のようだった
  • 行くたびに先生が違って落ち着かなかった



こうした不満が重なって、「ここでは続けられない」と感じ、転院を決意されるようです。もちろん当院でもすべてを完璧にできるわけではありませんが、「ここなら続けられる」と感じて通っておられるのであれば幸いです。

(じっくり患者さんの話を聞く時間をもうけることとお待たせしない事は限られた診療時間の中では両立しえないことなのでどのクリニックでも悩むところでしょう)



突然来なくなる、でもまた戻ってこられる



一方で、当院に通っていたのに急に来られなくなる方もいます。別の病院に移られる場合も一定数おられるかと思いますが、しばらく時間が経って不思議と「再初診」として戻って来られる方が多いのも特徴です。


例えば、治療が一段落して「また何かあったら来てくださいね」と一度終結された方が、しばらく経って体調を崩して再び来られるケース。これはわかりますが…..

予約に来られずに通院が途絶えた方が、忘れた頃にまるで何事もなかったかのようにしれっと(笑)、再初診として来院されることもあります。


もし自分なら無断キャンセルしたことが「気まずくて行けない」と思い他の新しい所を探すでしょうが…、患者さんには患者さんの事情があるのでしょう。(ここはダメだと見切りをつけて他に行かれてやっぱり戻って来られたのかも?と) そのときは気持ちを切り替えて、いつも通り診察するようにしています。



治療の続け方は自由に選んでいい



大切なのは、治療をどう続けていくかを患者さん自身が納得して決められることだと思っています。当院で治療を続けるのも一つの選択ですし、他の医療機関に移りたいと思われるのも自然なことです。(ただし、他院からの転院に対して全て対応しかねる場合があります。詳しくは当院の診療スタイルを参照して頂ければと思います。)




患者さん側としては言い出しにくい事とは思いますが、嫌な顔をすることはありませんし、むしろ不満を抱えながらなんとなく通い続けることの方が、お互いにとって良くないと感じます。

なるべくは担当医としっかり話し合いながら治療に関して決めていただけるのが一番だと思っています。

(どうしても言い出しにくい場合は次の予約をとる時に「まだスケジュールがわからないので後日わかったら電話で予約をとります」と次回予約をとるのを回避して来なくなるという手段もあります。😝)



通ってくださる方の背景や事情は本当にさまざまです。だからこそ、診察を通して出会う一人ひとりが、私にとっても日々の学びになっています。