北米ストアに新作が2本来たね。これから感想を書いていく「The Lost Bear」と、都市伝説を元にしたホラーゲームの「Don't Knock Twice」だね。「Don't Knock Twice」の感想は明日ぐらいに書く予定。
そして、昨日の日記で触れた「Bravo Team」と、個人的に超楽しみにしている「インペイシェント」の予約が始まったね。「インペイシェント」は11/21に発売予定らしいんだけど…
いくら年末商戦があるとは言え、ソフトのリリーススケジュールが11月~12月に集中し過ぎ。逆に売れなくなるんじゃね~の?
…まぁ、それはいいや。「ザ・ロスト・ベアー」だね。先週これと間違って「スニーキー・ベアーズ」なんてものを買ってしまったね(笑) "ベアー"繋がりという事で…
んで、始めに書いておくと、星5ソフトです。
俺はこういうゲームがやりたくてVRを買ったんだよ。本当に最高。
特に、この感想日記の二段落目の"舞台と観客席との不思議なリンク"は是非読んで欲しい。今後のVR作品(映像作品も含む)を体験していく上でかなり重要になってくる要素なはず。
という感じで早速いってみよ~
概要
購入先:北米ストア
ジャンル:人形劇風横スクロールアクション
言語:日本語非対応(言語不要ソフト)
コントローラー:デュアルショック専用
視点:常時一人称視点
移動方式:移動なし(特殊な挙動により酔う可能性はあり)
最高!! 美しい世界観に感動
ゲームを起動すると、秋の林の中のような木々や落ち葉の溢れている世界へ。BGMのアコースティックなギターの音色や環境音が心地良い。
目の前には巨大なスクリーンが広がっていて、スタート、チャプターセレクト、オプション、というシンプルなメインメニューが表示されている。
この時点でわかるのは、画質は良好。世界観は超最高。とにかく美しい。
(シンプルなメインメニュー。オプションは操作説明とオーディオ設定のみ)
(トゥーン調? デフォルメされた世界観で全体が統一されている)
うん、掴みはバッチリだね。そんあ感じで早速ゲームスタート。
すると…
やっぱ、いいなぁ~(感動)
事前情報では絵本の世界というような表現がされていたんだけど、実際に体験してみると舞台での人形劇を客席から観賞している感じだね。PSVRのソフトで言うなら、「Wayward Sky」の人形劇のパートに似ているかな。
んで、肝心のゲーム性の部分なんだけど、これはちょっと想像と違っていた。
「ザ・ロスト・ベアー」は
横スクロールアクションだ。
左スティックで舞台の中の女の子を操作して、ジャンプで足場を移動したり、パズルを解いたり、横スクロールアクションとして王道の要素が沢山出て来る。
VRならではの要素としては、デュアルショックで舞台に照準を合わせてR2ボタンを押す事で舞台の中の女の子がパチンコで石(?)を飛ばしたり、デュアルショックを実際に動かしてレバーやクランクを操作したりもするね。
因みに、これは難点になると思うんだけど、舞台上の主人公を動かして画面をスクロールさせる時の感覚はちょっと変(笑)
舞台が動いているというより、プレイヤーのいる世界が横にスライドしていく感じなんだけど、これは人によっては酔いに繋がるんじゃないかな~? ゲームを進めていく内に画面が動いている感覚に変わっていくんだけど、この点はちょっと不満。
(段差を×ボタンで飛び越えたり登ったりする。超王道)
(舞台の天井に蜂の巣がぶら下がっている。デュアルショックで照準を合わせてショット)
(橋を下ろすクランクをデュアルショックを使って回す。VRならではの操作)
お話としては実に子供向け。主人公の女の子が謎の生物に取られてしまったクマのぬいぐるみを取り返すために、不可思議なモンスターを退治したり、様々なトラップを掻い潜ったりしながら、怪しげなダンジョンを進んでいく感じ。
うん、プレイしていて感じるのは、グラフィック、物語、ゲーム性、それらに統一感があって、一つの世界として実に自然なバランス。全体として童話のような優しくて教育的なトーンでまとめられているのが最高。
舞台と観客席との不思議なリンク
うん、ここまで書いてきた事は基本的に舞台の中、つまり人形劇の世界に関する事なんだけど、このゲームの一番素晴らしい所はその舞台の中の世界と、プレイヤーがいる舞台下の世界がリンクしていて、お互いに影響を与え合いながら進行していく部分にある。これは本当に素晴らしい。
例えば、舞台の上で蜂の巣を落とすシーンがあった場合、舞台したのプレイヤーの周りを実際に蜂が飛び回ったりするね。
(舞台の上に蜂の巣が出現。するとプレイヤーの右手にも蜂の巣が)
(舞台の上の蜂の巣を落とすと、蜂がこちら目掛けて飛んでくる)
うん、最近俺が夢中で遊んでいる「キャッスルストームVR」なんかは、プレイヤーは完全な俯瞰視点としてゲームの世界を見ている。ゲームの世界にプレイヤーは存在しないわけ。
ところが、「The Lost Bear」はいわゆる劇中劇のような方式を採用していて、ゲーム内のゲームを操作している感じなのよね。VR空間を別のゲームをする場所として使っているから、実質主人公が2人いる事になる。
こういった視点の工程を一つ挟む事によって、ゲーム性の部分を犠牲にする事無く、VRの利点を活かせるのはとても効果的。「ピンボールFX2」や「傷物語VR」なんかもこれに近いものがあるね。
この辺の視点のトリックは今後VRの世界で作品を作っていく上でとてつもなく重要になってくると思う。今まで叙述トリックだとかメタ視点だとか呼ばれて飛び道具的に使われていた手法が、VRの世界では最も自然な表現になっていくはず。
(舞台はおどろおどろしい迷いの森に。するとプレイヤーのいる舞台下も…)
(同じ不気味な森の中に。動物達の光る眼がこちらを睨む)
(車のスクラップ場のようなステージへ。パズルとしても捻りが加わってくる)
(プレイヤーのいる舞台下。後ろを向いて撮影。積み重なった車達)
その他言いたい事
ゲームとしての尺はのんびりやっても1時間半程度でクリア可能。短いと感じる人もいるかもしれないけれど、実際にプレイすれば適切なボリュームだと考えが変わるはず。
というのも、横スクロールアクションというゲーム性はあれど、全体が劇中劇を感じさせる作りになっているから、劇を観賞している感覚に近い。故にこれを10時間とか続けられるのはキツい。作品としての価値も逆に落ちてしまう。
(画質を良くしたのは大正解。画質が悪かったら成立しないゲームだと思う)
ゲームとしての難易度を簡単にしたのは正解だったと思う。横スクロールアクションとしてもパズルとしても詰まる部分は無い。
ただ、ゲームオーバーになった時のリトライまでのローディングはもう少し短い方がありがたかったかな。
(何度かゲームオーバーは経験すると思うけれど、難しくは無いゲームだね)
お話部分はハートフルでとてもいい感じ。最後の〇〇と一緒に行動するシーンはほっこりしたし感動もした。
あとはそうね、これはかなり高い要求なんだけど、さっき書いた舞台の中の世界と舞台下の世界の関係性をより強くして欲しかった。現状ちょっと中途半端。
例えば、舞台の中だけでは解けない謎のヒントが舞台下の世界に用意されていて、それを使う事で先に進めるようになるとか、現れたモンスターが実際にプレイヤーの目の前にやってくるとか。
シュワちゃんの出ている映画に『ラスト・アクション・ヒーロー』っていう珍品があったでしょ?(笑) あんな感じで、舞台上の主人公(女の子)と、舞台下の主人公(プレイヤー)がより協力してゲームを進める感じにして欲しかった。
(今後頻繁に名前が挙がるであろう傑作)
個人的な満足度:星5★★★★★
ゲーム内のプレイヤーにゲームをさせるというアプローチ自体は全く新しいとは言えないはず。だけど、最も効果的で記憶に残る形で完成させてくれたという意味で個人的には革命的な一本。
完璧とは言い難いんだけど、若干の不満要素を帳消しにするぐらいに素晴らしい内容に大満足。発展系は今後作られていくはず。
う~ん、冒頭にも書いたけれど、こういった作品に出会いたいから俺はインディー作品も片っ端から買い漁っているのよ。時には失敗もあるけれど、VRの将来に繋がるようなコロンブスの卵が見つかるのよね。
大手メーカーの大作はたしかに凄いし、VRゲームを牽引するのには必要だと思う。だけど、今後TVでの人気ゲームをただVR化しましたみたいな作品が増える危険性も孕んでいると思う。
だからこそ、こういったインディーだからこそ出来る小規模だけど野心的な作品を応援していきたいし、多くの人にプレイして欲しいな~
ちょっと愚痴っぽくなってしまったけれど、本当にお薦めの一本。言語の問題も一切無い作品だから、是非国内ストアにも並べて欲しいです!! 超満足!!