いま、ここに、いきる、おと -29ページ目
母が旅立って
初めてのクリスマス
あまりにもたくさんの幸せな思い出が
切なくて狼狽える
あれはお母さんがかけてくれていた
ひとつの魔法
すべてがキラキラ輝いて
喜びと幸せで
家中が光っていた
音楽と美味しいご飯
たくさんのプレゼント
そしてお母さんの笑顔
恋しくて
恋しくて
お母さんの魔法が恋しくて
どうすればいいか分からない
ただ子どものように
それを求めて泣いている
お母さん
お母さん
お母さんの魔法を、
またかけて
世界をキラキラにして見せて
さびしいよ
あいたいよ
お母さん
ただ、それだけ
昨日のケンカの原因は、
それだけだったんだ
必死で良いクリスマスにしなきゃと
焦るわたしの心の奥には、
何かを埋めようとする寂しさがあった。
まだまだ欲しがりで
さびしがりの私が
埋められない何かを求めて
泣いていたんだ
もうあんなクリスマスは来ない
そう思って泣いてたんだ
楽しみだけど、
ちょっと憂鬱
今年のクリスマス
でも、目を閉じると
お母さんの声が聞こえてくる
ごめんね
そばにいるよ
愛を贈るよ
愛してるよ
決めつけずに
閉じこもらずに
コントロールせずに
開いてみよう
任せてみよう
聴いてみよう
きっとこれが
わたしたちの
新しいクリスマス
7年ぶりに降り立った、
どこまでも広がる荒野。
果てしない空。
ゆっくりと流れる雲。
初めてのはずの場所は、
どこか懐かしくて、
こころの奥底がくすぐられる。
すべての旅が始まった場所。
わたしの情熱に火をつけた、
あの場所にこころは還ってゆく。
そしてまた、同じ瞳と出逢う。
はにかむように、
それでも真っ直ぐにこちらをみつめる瞳。
わたしは、
何が出来るだろう?
ただ、触れたくて。
彼らの世界に入りたくて。
気がつけば、
ただ無心でそばにいた。
あなたの名前はなあに?
はにかんで、黙り込む。
まだ、遠い。
あなたの名前はなあに?
耳に触れる優しい音。
消えそうで、逃したくなくて。
手繰り寄せるようにそっと呟くと、
あなたは笑った。
わたしも、笑った。
あぁ、
ただ、
ともだち になるために
海を越えて
わたしはここに来たんだ
ともだちに
なるために
生と死は切れ目なく続く
グラデーション
深い深い海の底に潜ってゆくように
深く深く
死に向かってゆく
けれどそこで
より微細な呼吸で
感覚を研ぎ澄ませ
全身全霊をかけて
私は生を感じてゆく
一瞬でも気を抜くと
死のおそれに支配されてしまいそうな
この世界で
全ての注意を払い
私は生を感じる
静かに耳を澄ませれば
微かに響く鼓動
上下する胸
泡が水面へ浮かんでゆくように
そのひとつひとつに
生の息吹を込めて
私は死を感じている

