ワークのリードを終えて

完璧にやりたかった私が
また泣いてる

うまくやれなかった
急いじゃった
口を出しすぎちゃった
緊張してた
焦ってた

あーぁ

かっこよくやれなかったな
あの人に認めてもらえなかったな
力になれなかったな
残念だ
悔しい

間違いを指摘されて怒ってる
まだ未熟だと言われたようで
胸がきゅっとしまってる
穴が空いたように苦しい

誰かのせいにしたくなってる

いつだって完璧で
口を出されないようにやりたい

誰にも
口を出されないようにやりたい…

母の顔を思い出してる

私は完璧だから大丈夫だから
口を出さないで
とりあげないで

首の後ろが痛む

誰かに何か言われると
すごい勢いで収縮するわたし

「良かったよ」と言ってくれる声は
はるか遠く、もう私の中に入ってこない


ここまで言って、
少し私のなかにスペースが出来てきた

目の前の樹
風の音
鳥の声

まだ少し重たい胸の中

そう言って周りの世界が
広がってゆく感じがする

重たい私と
広いスペース

完璧でいたい固い私と
高い高い空

うまくなりたい
成長したい

そんな私を全部
空に開いてみる
ぜーんぶ見せてみる

風が通り抜けてゆく

かさぶたのようにヒリヒリした胸に
優しい風が触れる

うん

そうだね




水の音

ぴちょん

高く
低く

ぴちょん
ぴちょん

右から
左から

後ろから

ぽた…

鉄に
石の上に
穴の中に

ぽた…

響く

一定のリズム


水の気配



私の胸の中にも
湿り気が出てくる

ひたひたと

耳の穴から
胸の空洞に

雫が
落ちる

それは内側から
私の体の細胞に染みて

私を満たしていく

乾いていた
喉が潤う

風にはためく
暖簾をみている

誰もいない路地

雨の夜




電車の中
赤ちゃんの笑い声が
大気を震わせている

ひとりの小さな
開けっぴろげの存在が
ものすごい威力をもって
空気を圧倒していく

胸を震わせるその声が
心地よい音楽のように
私の耳に響いてくる

なんて新鮮で
みずみずしい音

私の中で
なにかが弾けて
色鮮やかに
開いてゆく

こんなに喜ばしい音が
かつてあっただろうか

私の耳に
体に残る

その声


「ぼくは君の笑い声を
もっともっと聞いていたいよ」

砂漠で小さな王子さまと出逢った男のように

私もただ
それを願った