カトリックとプロテスタントの宗教対立から始まった三十年戦争(17世紀前半)の反省として生まれた言葉が「リベラル」である。
不毛な戦いに疲れた人々は、「あなたの信仰の自由も認めますから、私の信仰の自由も認めてください」という考えに至る。嫌な奴の思想も受け入れる寛容の精神、これが「リベラル」の出発点である。
スペインの哲学者であるオルテガ(1883~1955)がいう「リベラル」とは、自分と異なる「他者」に対して、イデオロギーを振りかざして闘うのではなく、対話し、共存しようとする我慢強さや寛容さを持つ立場とのことである。
オルテガのいう「他者」の中には、この世を去った「死者」も入る。過去の人々が、失敗も含む経験を通して構築してきた英知の制約を受けて、我々は生きるべきで、その立場を「リベラル」とした。
そして、「大衆」と迎合することを嫌ったのもオルテガである。自分がみんなと同じであると感じてかえっていい気持ちになる人々のことを「大衆」として、「大衆」が、死者の存在を無視して、いま生きている自分たちが何か特権的な階級であるかのように考えていることに対峙した。
いま生きている人間の多数決によって決まる民主主義に対しても、「死者」の声にも耳を傾けろと警告した。
本日 は、こんな考え方があることを書き残しておきたいと思ったのでした。(中島岳志さん解説「100分de名著『大衆の反逆』より)