4人目の師匠は大和信春さんです。はる研究院 代表。独立自由人であって、研究を研究する研究者。研究範囲は、ゴキブリの捕獲研究から国家理念の構築までオールラウンド。『和の実学』『心の自立』『企業理念』など、読みこなすのに一苦労しますが、噛めば噛むほど味の出るスルメ型の著書があります。

大和さんから学んだこと

➀転原自在
転じる原(もと)は、自分に在る。問題解決学の第1法則とのことです。世の中の批判をしているばかりでは何も変わらない、例えば、誰かにお任せがちな政治や教育制度の問題であっても、ひいては自分に問題があったと捉えれば、方策が浮かび行動が生まれる。座右の銘は?と問われれば「転原自在」と答えています。

②情報生産技術
人類史の転換点では、水田稲作のような農業生産技術があって農業化社会が浸透し、自動織機のような工業生産技術があって工業化社会が発展したように、情報生産技術があってはじめて情報化社会が到来する。「今は、情報化社会の初期であって、車社会でいえば、やっと道路網が整備されつつある段階で、その道路を使って何を運んだらより良い社会になるのか見えていない状況である」と大和さんはと言っています。そのためにIST問題解決手法(infomation synthesis techniques)を開発され、私も随分習いましたが、十分に会得できていません。ちなみに、昨日紹介した「未来デザイン」はISTを万人にも使えるように清水義晴さんが改良した問題解決手法なのです。

③維新進度
革命は、一機には起こらない。明治維新であっても、大塩平八郎の乱から始まり、明治政府ができるまでには10のステップがあったと分析されています。吉田松陰の薫陶を受けた高杉晋作率いる奇兵隊も維新進度が深まっていない(3ステップ目?)の第一次長州征伐では大失敗しているが、状況が整いつつあった第二次長州征伐(5ステップ目)では勝利して維新の転換点となった。その後は坂を下るように、坂本龍馬、西郷隆盛の活躍を経て明治維新に至るというストーリーです。その分析を少々学び、周りで変革が起きるときには、現状の維新進度を見極めて行動を起こすよう心掛けています。早く動きすぎると犬死ですが、個人的な2ステップ目あたりが好みかな。

昨日の師匠である清水義晴さんから大和信春さんを紹介してもらい、その後、大和さんを講師に「IST問題解決研修」「理念探求会」「社長ゲーム」「研究工学セミナー」等を弊社で主催してきました。また、弊社の事務所では、大和さんを塾頭に「IST道場」を毎月1回のペースで約10年?ぐらい開設するなど長いお付き合いとなっています。

それで、わが娘の名前は、師匠の清水さんと大和さんから「はる」の字をもらい「はるな」と命名しているのです。

弊社の事務所移転もあり、ここ3年ぐらいご無沙汰です。新たな研究が進展しているんじゃないかな。

3人目の師匠は清水義晴さんです。㈱博進堂の会社経営を経て、えにし屋(新潟市)の代表。まちづくりコーディネーターとして各地でワークショップを仕掛けて来られました。北海道浦河の精神障害者施設「べてるの家」の人たちを撮影したドキュメンタリー映画「ベリー・オーディナリー・ピープル」をプロデュースして「べてるの家」を世に知らしめた功績は多大です。また、弁護士でもある森田貴英監督の映画「降りていく生き方」のモチーフを提供した方でもあります。

清水さんから学んだこと

➀ワークショップとそのファシリテーション
市民参加によるまちづくりの場面で、今は多くの自治体がワークショップを取り入れていますが、その源流は清水さんにあると思います。ワークショップの企画運営や、当日のファシリテーション及びファシリテーション・グラフィックは身をもって教えていただきました。テキスト「集団化創造プログラム」は、清水さんの思想やノウハウが詰まっている関係者必携の書でしょう。

②未来デザイン
未来型問題解決手法「未来デザイン」を開発するプロセスにも立ち会わせていただきつつ、弊社の経営コンサル、起業支援、研修プログラムとして多用してきました。問題発見から実行計画まで6枚のシートで考えられるツールです。

③変革は弱いところ、小さいところ、遠いところから
様々な組織、コミュニティ、地域の変革のお手伝いを実践されてきた清水さんから、そのストリーをお酒を交わしつつ、いっぱい教えていただきました。清水さんのお人柄による効果も大きいので、簡単に真似はできませんが、その実績は書籍「変革は弱いところ、小さいところ、遠いところから」(太郎次郎社)にまとめられています。

清水さんからは、とにかく多くのことを惜しげもなく教えていただきました。清水さんはギブ&ギブで、私はテイク&テイクです。約10年前に清水さんが大病をされて以来、疎遠になってしまいお返しもできないままです。清水さんからのギフトを、次世代に少しでもギフトできるだけの技量が欲しい。

2人目の師匠は、平井雷太さんです。昨日紹介した加藤哲夫さんがやっていた「ニューボランタリー講座」の共同仕掛人として出会いました。各地にある「らくだプリント」を使った学習塾の元締めでセルフラーニング研究所の代表。考現学ネットワーク、インタビューゲームを開発するなど「教えない教育」「~しないさいと言わない教育」をコンセプトにした教育コーディネーター養成事業を展開してきた方です。

以下、平井さんから学んだこと。

➀共同学習の場づくり
ワークショップや講座を運営実施するにあたって、最も学べる人は誰でしょう? 一番は主催者もしくは企画者、次に講師やゲスト、三番目にスタッフ、最後に参加者ですよね。

であるなら、学びの対象者である参加者に、企画やスタッフを担ってもらわない手はないのです。講座の企画段階で参加者=スタッフを何人も巻き込んでおいて、準備打合せを何回か行い「何を伝えるのか」「どのように場を作るのか」「役割をどうするのか」等を考えてもらって当日を迎えるのが平井流です。

すると、参加者の例えば1/3は学習目的を共有するスタッフになっているので、当日はうまくいくに決まっているわけです。
うまくいくといっても、参加者が運営に関わるので問題も多発しますが、これをも学びとしてしまうので、よりリアルな学び場ができていくのです。

場づくりのコツは、参加者全員をコーディネーター(運営の当事者)にすることだと平井さんは言っていました。講座を開始する前から、すでにアドバンテージがあるわけです。これって、優れもののノウハウでしょう? 市民参加のまちづくりでいつも悩んでいる行政、NPO、コンサルの方々、一番学びになる企画やその準備業務を自ら抱え込んでいませんか?

②何からでも、どこからでも学ぶ
平井さんは、ある意味、周りのものすべてを師匠にしてしまう師匠です。生徒から学ぶことはもちろん、犬からも学べると。

反面教師という言葉はありますが、「喧嘩して絶縁した相手こそ学びになる。むしろ絶縁後の方が深いコミュニケーションができるんだ」ここまで言い切った人はいるでしょうか。

できないから学べる。わからないから学べる、行き詰まることはチャンスなんだと、人を追い込んで楽しむ師匠です。

「教えない教育」「考えずに書く」「タガを作って自由になる」等、逆説的なことを言われると、"それって、どういう意味だろう”と、その逆説にどんどんはめられていく私でした。

③インタビューゲーム
相手の心の中(インター)に入って観て(ビュー)くる。インタビューを精巧なツールに仕立てたのが平井さんです。どうしたら対等で安全な関係がつくれるか? 考え抜いてできたゲームルールが「聞きたいことは何でも聞いてもいい」「言いたくないことは言わなくてもいい」「聞かれないことでも話したければ話してもいい」、この3つで関係が保証されます。

インタビューした内容を編集する他己紹介も重要な学びのツールです。20分聞き続けた内容をA5もしくはB6サイズの枠に書き収める編集、相手にその内容を確認する赤入れ、これを他者と共有する他己紹介の場、およそコミュニケーションの基本が詰まっているツールなのです。

おわりに
気づきや学びを毎日たんたんと一言でもいいので書き続けることに意味がある、と平井さんは言っていました。それで私も毎日つぶやいているのです。今日で100日ぐらいかな。