おそらく各地に弟子が多くおられて、ここで私が師匠として紹介するよりも、他の方から紹介してもらった方がよさそうにも思いますが、それでもずいぶん学ばせてもらったので、師匠として書いてみたいのが、川北秀人さんです。

 

IIHOE「人と組織と地球のための国際研究所」の代表。詳しい師匠の活動は、以下のWEBをご覧ください。https://blog.canpan.info/iihoe/

 

 

 

川北さんから学んだこと

 

➀CSR(企業の社会的責任)普及の先導者として
ずいぶん前のこと、サステナブル経営研究会をという集まりを仲間とやっていまして、その切り口としてCSRに着目し、その分野で先駆的な活動をしていた川北さんに相談しました。「地域に根差したCSRを展開するなら地元の中小企業と共に歩め」とのアドバイス。それで、環境省からCSR企業の実態調査を受託する等の活動を経て、2013年地元中小企業経営者と共に一般社団法人CSRコミュニティを設立するに至りました。

 

②東海若手起業塾のメンターとして
ブラザー工業のCSRの一環で、東海地域の社会起業家を育成支援するプラットフォームが東海若手起業塾です。川北さんの起業家に対するメンターぶりが学びになるのです(私も同じ支援者側なんですが、、)。起業家に理念を問う、戦略を示唆する、戦術・具体策までアドバイスする。大中小の各局面に渡ってコンサルするって簡単ではありません。それも、多様な分野に渡るすべての起業家にそれをやるから。修行僧と化す若手起業家のこの様子は"川北の滝を浴びる”という表現で東海若手起業塾の伝統になっています。

 

③小規模多機能自治のプロデューサーとして
地域再生や地域自治のアプローチとして、概ね小学校区単位で展開する「小規模多機能自治」が着目されています。川北さんは、そのプロデューサーとして全国各地で講演やワークショップをされているのですが、これをノウハウ化した「ソシオマネジメント」(その3号と6号:IIHOE刊)という冊子がすごい。小規模多機能自治の必要性をデータで抑えた上で、島根県雲南市を中心とした活動事例をもって後押しし、実践に移すための極めて具体的詳細な方法を詰め込んだ、いかにも川北さんらしい超実践的な構成に感心します。私は、三河地方でご本人共々これを活用させてもっらているところ。

 

川北さんとの出会いは、25年ぐらい前になるかな? 前掲partⅧ「人たらし」の天才=萩原喜之さんルートでした、やはり。忙しく全国を飛び回る川北さんに要所要所で押し入りつつ、ノウハウを盗んで、いや学ばせてもらっています。

 

こうして整理してみると、川北さんのアドバイスは「どうしたら相手が行動を起こすところまで導けるか」ここにすべてのベクトルが向いていることに気づきます。理念、戦略、具体策、分析データ、事例、実践プログラムのすべてが相手の行動喚起に向かった関わり方であるとお見受けしました。

 

川北さんの幅広い活動の中で私が学んだのは、そのごく一部です。あの知識量はどこから?どうやって? 私より若いんですよ。どんな時間の使い方をしているんでしょうか。

本日紹介したい師匠は高野雅夫さんです。名古屋大学大学院環境学研究科の教授。豊田市の山村地区で開設している「ミライの職業訓練校」(今年度は第6期)の校長さんでもあります。

 

高野さんの教え子である戸上昭司さんを約15年前に弊社で受け入れたことがきっかけで、一緒に仕事をさせてもらいつつ、勝手に弟子になりました。高野さんのもともとの専門は地球物理学ですが、その後、千年持続学⇒臨床環境学へと展開し、学問を超えて地域再生⇒移住支援に昇華し、学者から地域のおじさんとして溶け込んでいるところがすばらしい。だから師匠です。

 

高野さんから学んだこと

 

➀地球物理学ではなく、、じねん
高野さんから地球物理学を学んだわけではありません。いつだったか、水力発電所の視察に同行した際、さすが地球物理学者の解説ぶりと、その片りんを感じたことはありましたが、、。
学んだのは「じねん(自然)」の考え方です。
量子物理学者のデビット・ボームが、仏教に傾倒し、ダイアローグ(対話)の重要性を説いたことと重なります。高野さんからは、計らいのない「じねん(自然)」の世界観を教えてもらいました。そんな刺激もあってブッダのサイエンス、般若心経、法然や親鸞の他力、さらには上座部仏教(テーラワーダ)を勉強するようになりました。

 

②環境学というより、、里山の民俗学
高野さんから理系的な環境学を学んだわけではありません。むしろ民俗学を学んだように思えます。どのような歴史を経て、今のような農村の姿になったのか、そして農村の未来はどうなるのか。里山の変遷をわかりやすく解説してもらったことがあり、さすが学者だと思いましたが、それって民俗学、社会学、歴史学、少々地理学なんですね。あれっ? 高野さんって、文系の先生だっけ? という学びです。

 

こうして整理してみると、高野さんが探求していることは、地球の持続可能性=千年持続学が軸のように思えます。そのために、今はフィールドを農村に絞り、地球物理から、環境、民俗、社会、歴史、地理など必要なことは何でも調べる姿勢。原発事故があればガイガーカウンターをもって現地まで行く。必要とあらば専門領域を軽々超え探求を続ける、真理を追究する本来の研究者の姿ではないでしょうか。

 

これが高野さんの「じねん」なのでしょう。

今一度確認しますが、ある人を師匠とするのは弟子側の問題なのです。ということで、本日の師匠は年下で異性でもある平山恵さんです。明治学院大学国際学科の教授、同大学国際平和研究所研究員でもありますが、私からすると、研究者というよりもそこに困っている人がいれば、真っ先に駆け付けて支援する実務家が平山さんです。

 

仲間内では「おんな坂本龍馬」呼ばせてもらっています。それは、平山さんが若かりし頃、国連職員になるためジュネーブ郊外のまちから毎日2時間?かけて歩き通い続けていた時、食べるためのお金もなくなり道ばたで倒れつつも、国連を目指したというエピソードからの命名です。

 

平山さんから学んだこと

 

➀非常時・緊急時のファシリ
世界平和のために活動している平山さんですから、フィールドは、イラン・イラク戦争、シリア戦争、ヨルダン紛争、ルワンダ内戦など紛争のあるところに駆けつけて何とかしてくるのが平山さんです。おどおどしている医者たちを押しのけ、戦場で死にゆく人と治療すべき人を選別する「トリアージュ」マークを付けて医者をファシリしたエピソードは強烈です。非常時・緊急時こそファシリテーションが役立つ学びです。

 

②弱い人を気遣うファシリ
現場で弱い立場にある女性、子供、障害者の意見を引き出すための工夫が半端ない。ある大学の授業でのワークショップの場面、盲目の受講生が参加していることがわかり、その場で文書や画像を横に置き、すべて盲目の方に合わせたファシリをしたそうです。それぐらい「誰一人取り残さない」場づくりの姿勢が染みついている平山さんです。

 

③参加を促す準備
現地の人たちの習慣を変えないといけない場面が開発援助には多くあります。そのために、村の集会に誰を呼んで、誰と誰にどんな順番で話をしてもらい、どんなツールを使って理解してもらうのか現地に行って作戦を練る必要があります。準備の精度を高めるために、事前に村の中を何回もぶらぶら歩きまわり、人々の動きや変化を観察する。キーマンと思われる人にはインタビューも欠かさない。そこまでやるか、という丹念な準備をもって当日の集会に臨むということです。

 

ある意味平和な教室の中のワークショップとは違い、非常時、緊急時、失敗が許されない土壇場で効果を発揮するファシリテーションがあることを平山さんから学びました。貧困や紛争の現場で培ってきた平山さんが教えてくれるツールやノウハウはすべてピカピカの実践的なツール&ノウハウです。

 

平山さんを師匠にしてしまいましたが、弟子という割に学びの歩留まりが悪い自分に書きながら気づきました。

 

PS(追伸):
我が社のPS文庫から出した平山恵さんと清水義晴さんの対談集「ワークショップは宝の山~国際協力からまちづくりまで~」は、今読んでも臨場感ある学びの多い内容だよなぁ~。(自画自賛だけど、在庫がないので宣伝ではありませんよ)