昨日の「多数師匠制という学び場 part13」でビジネス界に師匠はいないと書きましたが、「CSRコミュニティ」に関わる中小企業経営者の皆さんは別格です。ビジネス界で活動しているといっても、事業の目的がCSR(企業の社会的責任、今でいう≒SDG’s)であり、ビジネスは手段としている経営者の皆様ですから、私の中では師匠群的存在の方々です。

 

「天然CSR企業」と呼ばせてもらった10名の中小企業経営者と共に、2013年に一般社団法人CSRコミュニティを設立し、CSR共同採用、CSR企業インターン、愛知型地域貢献企業認定制度、愛知型「地域から愛される企業」表彰、「地域から愛される会社」出版等の活動を展開してきましたが、先日2020年6月30日をもって同法人を解散する運びとなったことを、ここに報告させていただきます。

 

CSRを本気で取り組む中小企業が起点になるからこそ、持続可能な地域づくりができるのだというビジョンをもって、そのコミュニティづくりに注力してきました。一定の成果はあったものの、次なる展開が見通せず、法人形態については解消することとなりました。

 

CSRという概念が日本で普及する以前から環境、福祉、防災等の分野で独自に地域貢献事業をされてきた「天然CSR企業」が核となる集まりであって、ある意味メンバーが濃すぎたからか、思うように仲間を広げることができませんでした。自社の経営を抱えてのサイドワークであり、この活動にそれぞれが多くの時間を投入することができなくなり、組織を維持するための事務局を雇用できなくなったのは痛手でした。

 

ご協力していただきました皆様、本当にありがとうございました。法人としては解散となりますが、身軽になって任意団体として今後も活動は継続して参りますので、今後ともお力添えのほど、よろしくお願いします。

https://www.facebook.com/CSRcomm/

長かったですが、ここまで10人の師匠を紹介させてもらいました。まだまだ師匠とする方々はおられますが、そろそろ締めに入りたいと思います。

私が師匠とした10人に共通項はあるのでしょうか? また、師匠からどのように学んだのでしょうか? 多数師匠制の学び場は広がるのでしょうか? 整理したいと思います。

 

●師匠の共通項➀ ~村田のケース~
一つ目の共通項は、それぞれの方が元の分野もしくは元のセクターを飛び超えて活動しているということでしょう。自分の専門領域には拘らず、必要とあらばどこにでも飛び込んでチャレンジしているということだと思います。
志に従い、領域型ではなく目的型で活動分野をまたぎ、問題解決に向かって行動している。言い換えれば理念型といってもいいでしょう。ミッションのために分野・領域にはこだわらない方々です。

 

●師匠の共通項②  ~村田のケース~
2つ目は、ビジネス界の師匠がいないということになると思います。私は経営コンサルタント業を営んでいますが、ビジネス界の師匠がいない。ちょっと笑っちゃいますが、私としては必然です。ビジネスはあくまで手段ですから、手段を目的にしている方には弟子入りしたくない。なぜ、そう思うのか、ここはもう少しこだわって深めたいところ。

 

●師匠の共通項③   ~村田のケース~ 

女性の師匠が少ない。女性は10人中2人ですから。関戸美恵子さんの紹介で気づいたのは、学んだことを表現できないということでした。だから「母なる大地」と言ってみました。例えれば「男性の師匠は太陽、女性の師匠は大地」こんなイメージです。私だけの偏った感覚でしょうか? 一般論として、異性は師匠になりにくいといえるのでしょうか? ここはもう少し深めたいところですね。

 

●師匠から学ぶもの
師匠が教えてくれるコンテンツは様々ですが、共通して学んでいるのはその姿勢であったり、そのアプローチ方法となるでしょう。人から教えてもらう知識は、どっちみちすぐ忘れてしまいます。惹きつけられるのは、人の取り組み姿勢なんですね。

 

●師匠からの学び方
師匠として惚れ込んだ方から継続的に学ぶために、一緒にできる仕事をつくって学んでいます。むしろ、師匠から学ぶために仕事を創っているといっていい。これは大人の遊び方であり、師匠づくりのコツとなります。

 

●師匠の選び方
師匠の代表として10人のことを書いてみましたが、「多数師匠制」としてはもっと多様に師匠があってもいいと思います。野球に例えると、弟子がバッターだとして、ボールを投げてくれるピッチャー型師匠、受け止めてくれるキャッチャー型師匠、遠くから見守ってくれる外野型師匠とか。

 

●多数師匠制について
理想としては、老若男女、誰をも師匠としてしまう学び方ができるといいですね。目の前にいない方であっても、亡くなってしまった方、本の著者も師匠になります。さらに、植物や動物、自然そのものを師匠とする生き方もあるでしょう。

 

●学びの贈与論
あらゆるものが自分の師匠に見えてきたら、何からでもどこからでも学ぶことができるようになります。すると受け取ったギフトは、誰かに返礼したくなるのが人間ですから、自分が学んだことを周りや次世代に渡していくという、「学びの贈与」のいい循環が生まれると思うのです。

 

「多数師匠制」とか「学びの贈与論」といったビジョンを掲げたとして、必ずこれを阻むもの、制約となるものがあるはずですから、ここをもっと深め、これから検討していくために、どこかフィールドを設定して仮説を転がしてみよう。

私の中で最も新しい師匠は早川富博さんです。㈱三河の山里コミュニティパワーの代表取締役かつ足助病院の名誉院長。豊田市の山村地域や奥三河をフィールドとして20数年にわたって地域医療に取り組んで来られた方です。

 

お医者さんですから病院内での治療が忙しくて、地域に住む患者さんの生活域まで出向いて活動されるドクターは、そうはいないと思います。だけれども地域新電力会社の社長まで引き受けてしまったのが早川さんです。

 

その経緯はこうです。日々患者さんを診察するにあたり、病院内の治療だけでは解決しえないことを痛感します。患者さんの食生活をはじめ生活習慣の大切さを再認識する、ここまでならよくある話ですよね。ここから、実際に院外に出て訪問医療⇒在宅の看取り⇒家族を巻き込んだ見守り⇒予防介護⇒健康増進⇒お出掛け促進⇒地域交通と、往ったり来たりしながらもこんなループの中で地域医療を展開して来られました。

 

地域に入り込んだ早川さんの活動は、医療・介護保険の収入だけでは賄え切れません。過去には、食品や医薬品や医療機器メーカー、大学などとうまく連携しながら経費を賄ってきましたが、あくまで補助であって継続的なものではありません。

 

ある勉強会で経済評論家の内橋克人さんと出会い「FEC自給圏」というコンセプトを知ります。地域を元気にするためにはCareだけでなく、Foodに加えてEnergyを三位一体で自給する地域づくりが欠かせないという考え方です。

 

そんな中で、前掲partⅧの市民運動家=萩原喜之さんとの出会いがあり、電力の自由化があり、電力事業から生み出される利益をもとに継続的に地域医療を支えることが可能であることを知り、Energyを地域内で自給する事業へと漕ぎ出したわけであります。

 

豊田市、中部電力、JA、豊田信用金庫に加えて地元の住民やNPOや企業の力を借りることによって、設立後1年を経てようやく軌道に乗ってきたところですが、設立準備を含めた数年間は、すったもんだ迷走に迷走を重ねる大変リスキーなものでした。そんな事業の社長を引き受けてしまった早川ドクターですが、一方で地域医療の営みは地道そのものです。

 

先般は、こんなことがありました。高齢者の見守りやお出掛け促進の仕組みを地域で支えるには、70歳から90歳ぐらいの方にもタブレットやスマホでSNSを使いこなしてもらう必要があります。コロナ対策もあり、LINEを使ってその使い方を手取り足取り教えようとするのですが、お年寄りたちは早川ドクターの話など聞いちゃーいません。動画を通して久しぶりに話ができるので盛り上がり過ぎちゃって。

 

おばあさんたちを制するのに、あのドクターが四苦八苦しているのを見て、笑えるやら、泣けてくるやら。あ~、地域医療ってのは、こんな日々なんだろうなとつくづく思った次第です。早川師匠ご苦労様です。