イタリア料理店のオーナーが

来所する当日の朝

 

 

自宅のリビングの

レイアウトを変更し

なんとか応接スペースを

確保したパンダだったが

 

 

事務所の業務案内や料金体系を

説明するための資料を

全く準備していないことに気づいた。

 

 

 

オーナーが来所するまで

あと3時間を切っている。

 

 

 

慌てて書類を作成する。

 

 

 

幸いにも前回、S氏の会社に

訪問した際に

給与計算の代行について

説明した書類のデータがあったので

 

 

会社名の部分だけ変更し印刷した。

 

 

 

ただ、前回と違い

事業の立ち上げということもあり

起業時の手続きについても

説明する必要がある。

 

 

 

そこで起業時に届出が必要な

・適用事業届

・36協定届

・社会保険新規適用届

・労働保険保険関係成立届

・労働保険概算保険料申告書

・雇用保険事業所設置届

について概要をまとめた一覧表を作成した。

 

 

 

さらに、事務所のホームページに

掲載している料金表を印刷した。

 

 

 

説明資料の作成が完了したのは

オーナーが来所する30分前だった。

 

 

 

さて、この日

オーナーの来所の備え

パンダは妻を待機させていた。

 

 

以前、トド先生と話をしていたときに

こんなことを言われていたからだった。

 

 

「お客さんの対応をするときに

事務所の代表がお茶出しするのと

スタッフがお茶出しするのとでは

どっちがいいと思う?

 

少しでも事務所(の体制)を大きく

見せたいのであれば

お茶出しを代表の社労士がするよりは

奥さんにやってもらったほうが

いいと思うよ。」

 

 

パンダの妻は半年前までは

事務経験はなく

お茶出しなどの来客対応を

したことはなかったが

 

 

トド先生の事務所で働くように

なってから、何度も来客応対を

していたため

 

今回の来客対応を

安心して任せることが出来た。

 

 

 

毎度ながらトド先生に感謝した。

 

 

・・・・・

・・・・・

・・・・・

 

そして約束の時間になった。

 

 

 

パンダは2階の

仕事部屋で待機していたところ

インターフォンが鳴った。

 

 

 

妻が応答し、応接室に

オーナーを招き入れた。

 

 

お茶を出し終え

妻がパンダを呼びに

2階へ上がってきた。

 

 

「結構、若い方やで。

真面目そうな感じ。」

と妻は言った。

 

 

パンダは前回のS氏の会社で

年配の常務と対応したときの

苦い経験があったので

若い方と聞いて少し安心した。

 

 

そして1階に降り

イタリア料理店のオーナーと

対面した。

 

 

確かに見た目は

パンダよりも若いように見える。

 

短髪で清潔感のある好青年だった。

 

 

 

名刺交換を行い

簡単に自己紹介を済ませた後、

今回の相談の内容を聞いた。

 

 

電話でも聞いてはいたが

給与計算をはじめ、

店舗や従業員に関わる労務管理の

手続きを全てお願いしたいとのことだった。

 

 

オーナー自身は

これまで一流ホテルの料理人として

10年以上腕を磨き

今回初めて自分の店を出すとのことに

なったが、

 

 

自分自身はオーナーシェフとして

調理に専念したいという思いがあり、

労務管理は

プロに任せたいと思っていおり

社労士を探していたところ、自宅から最も近い

パンダの事務所を見つけ

問い合わせしたとのことだった。

 

 

一通り話を聞き終えた後、

パンダは事前に作成した書類を

もとに、事業開始に当たり

必要な手続きについて説明した。

 

 

するとオーナーから

 

「実は今、他の社労士事務所でも

見積もりをお願いしているんです。」

 

と言われた。

 

 

 

パンダはその事務所がトド先生の事務所

であることは知っている。

第55話参照)

 

 

パンダは

 

「わかりました。

では弊所も見積書を作成しますので、

見積額や事務所のサービス内容を見た上で

どちらの事務所に依頼するかご判断ください。」

 

と伝えた。

 

 

 

 

⇒ 第58話へ続く