トド先生の事務所で

勤務することを提案された

パンダであったが、

 

独立開業したい

という思いが強く

 

折角の誘いではあったが

お断りした。

 

 

正直、この選択が正しいとは

限らない。

 

 

パンダの事務所は未だに顧客ゼロで

この先も見込み客はいない。

 

 

トド先生の事務所で勤務すれば

社労士事務所での実務経験を積める上、

収入も安定する。

 

 

当然、収入面だけで判断するものではないし、

 

開業社労士は稼げて

勤務社労士は稼げない

 

ということでもない。

 

 

勤務社労士として

企業内で活躍され

年収2千万円超の人もいれば

 

開業して5年以上経過しても

年収300万円未満の人もいる。

 

 

 

とは言え比較すると

開業社労士は、

見込み客や確立した営業戦略がなければ

収入が安定して得られるかどうかは

わからない。

 

 

 

パンダにとっては

開業の道を選択したのは

ギャンブルに近かった。

 

 

 

さて、パンダの返事を聞いた

トド先生は少し残念そうな表情にも

見えたが、

 

パンダが誘いを辞退するのを

想定していたようにも見えた。

 

 

そしてトド先生はこう言った。

 

 

「パンダの奥さんは今働いてないよな。

 もし、良かったらうちの事務所で

 週2のパートで働かへん?」

 

 

続けて

 

「奥さんが俺の事務所で働いたら

 社労士事務所でどういうことをしているか

 パンダにも伝わるし、

 機密情報を教えることは出来へんけど、

 一定期間、働いたら手続きの方法も

 覚えれるし、そうなったらパンダの事務所でも

 戦力になれるやん。」

 

と言った。

 

 

 

たしかに、それだったら

パンダは自分の事務所経営に専念しながら

社労士事務所内での実務について

妻を通じてではあるが、情報を得ることができる。

 

 

パンダにとっては

願ったり叶ったりだった。

 

 

しかし、1つ大きな問題があった。

 

トド先生は何も気にせずに

妻をパートとして勤務することを

誘っているが

 

パンダの妻は事務経験が一切ない。

 

 

というのも

パンダと妻は

最初の就職先である動物園で

出会い結婚したのだが、

 

パンダが総務課で働いていたのに対して

妻は飼育員として働いていた。

 

 

多少、業務日報の作成等で

パソコンを使うことはあったかもしれないが

それ以外で、パソコンで作業をすることは

ほとんどなかった。

 

当然、ExcelやWordのソフトは

使用したことがあっても

文字を入力する程度のスキル。

 

 

関数を使って表計算や

Wordでビジネス文書の作成、

さらにはメールソフトを使ったメール送信すら

経験が無かった。

 

 

社労士事務所での仕事は

ほぼ100%オフィスワークである。

 

そもそも社労士の仕事に対して

興味をもっているわけではなく

さらにはExcel、Word、メールソフトを使った仕事も

全くの未経験であるのでどう考えても

トド先生の事務所に迷惑をかけてしまう。

 

 

 

パンダはその旨をトド先生に伝えた。

 

 

 

しかし、トド先生は

 

「それでもええから。事務スキルも含めて

 1から教えるから安心して」

 

と言う。

 

 

 

”とりあえず、一度妻に確認してみます”

とトド先生に伝えた。

 

パンダは内心、

 

有難い話やけど、妻が働くとは

多分言わんやろうな。。。

 

と心の中で思っていた。

 

 

というのも

パンダが開業する前、

妻はあまり社労士事務所開業については

あまり賛同はしていなかった。

 

稼げる見込みもないのに

事務所開業なんてあり得ないし

もし、開業したとしても自分は一切

手伝わんから。

 

と事前に言われていた。

 

 

 

自宅に戻ったパンダは

一応、トド先生と話したことを

妻に伝えた。

 

 

無理だとは思いながらも

 

「トド先生からパートで勤務せんか

 と誘いがあったけどどうする?」

 

と妻に聞いてみた。

 

 

・・・・・

・・・・・

・・・・・

 

妻からは返答がない。

 

 

”やっぱり、何の興味もない仕事に

 夫の都合で働いてくれと言うのは

 虫が良すぎるか”

 

と思い、

 

「トド先生には断っとくわ。」

 

と言おうとしたところ

 

 

 

 

「・・・・・わかった。

 トド先生のところで働くわ。」

 

と妻が言った。

 

 

 

⇒ 第44話へ続く