会社での会議中に
ポケットの中の携帯が振動するも
電話に出れず、
電話の相手先も
確認できなかったパンダは
会議終了後、トイレに入って
携帯電話を確認した。
携帯電話の着信履歴には
登録されていない番号が
表示されている。
とは言え、
これまでも知らない番号からの
着信はあり、
その全てが営業の電話で
あったので
また営業の電話か・・・
くらいに思っていた。
ただ、
電話番号がパンダの事務所が
ある地域の市街局番から始まる
番号だったので、
その電話番号を
Yahoo!で検索してみた。
すると、とある会社のホームページが
検索にひっかかった。
会社概要を見てみると
インターネットで雑貨の販売
を事業として行っているようだった。
営業か?
と思うも
事業内容的には社労士事務所とは
関係がなさそうに思える。
ひょっとしたら
仕事の依頼の電話かも?
という淡い期待を胸に
パンダはこの電話番号に
電話をしてみることにした。
・・・・・
プルルルル
プルルルル
・・・・ガチャ
「はい●●●●(会社名)です。」
女性の方が電話に出た。
パンダは
”社会保険労務士のパンダと申します。
先程、30分ほど前に着信を
いただいていたのですが・・・”
と伝えた。
すると、電話の向こうの女性は
「あー!
先程、ご連絡させていただきました。
実は、社会保険の手続きについて
相談したいことがあって電話したんです。」
と言った。
キターーーーーー!!!!!
ついに
待ちに待った仕事の依頼の電話だ。
どんな仕事やろ?
自分に出来るかな?
どう答えたらいいやろ?
色々なことが頭の中を巡る。
とりあえず冷静にならな、
と思いながら
話を聞いていると
次に女性が放った言葉で
パンダは固まった。
「先程、電話をしたときに
電話に出られなかったので
別の社労士事務所で電話をして
そこにお願いすることになりました。」
えっ?マジで?
と思うも、食い下がるわけにもいかず
”そうですか。お役に立てず申し訳ございません。
また何かございましたら宜しくお願い致します。”
と伝え、通話を終了した。
電話を切った後、
トイレの中で絶望感に包まれた。
着信がなったときに
電話に出れていれば
仕事を受けれていたのに・・・・・
もし、顧問契約のお願いだったら
顧問料が月3万円として
年間で36万円の売上になっていた。
なんであの時電話に出んかったんやろ。
後悔しかなかった。
仕事帰りの電車の中でも
着信の会社のあったホームページ
を見ながら
従業員も20人くらいいるし
顧問契約で給与計算の代行も依頼されたら
報酬もそこそこの金額になったのにな・・・・・
と今となっては意味のない
妄想をしていた。
自宅についても
後悔の思いが消えることがなく
溜息ばかりついていた。
仕方のないこととは言え
このやり切れない思いを
誰かに聞いてもらいたく
パンダはトド先生に
電話をすることにした。
「おう、パンダ、どないしたん?」
パンダは一部始終を話した。
するとトド先生は
「電話を出れるようにしとくのは
大事なことやな。
俺の開業当初は、勤めていた
職場の理解があったから
電話かかってきても、出れたけど
なかなかそうはいかんしな。」
と言った。
そして続けてこう言った。
「これからはパンダの奥さんの携帯へ
事務所の電話を転送したらええやん。
俺の事務所内やったら、電話に
出てもらってかめへんし。」
”そんなことしてもいいんですか?”
とパンダは言った。
「折角の問い合わせの依頼やのに
電話に出れんかったら、
かけてきた会社にも失礼やし
仕事につながる案件を取りこぼしたら
勿体ないやん。」
”いや、でも仕事中やし、他の従業員にも
迷惑かかりますよ”
「それは、皆には事前に伝えてるから
心配せんでええよ。
それに、電話かかってくるといっても
1日1件程度やろw」
とトド先生は言った。
いつもながらではあるが
トド先生の好意に甘え
この日以後、妻の携帯へ
事務所の電話を転送することにした。
⇒ 第46話へ続く