なんだかね、これはきっと一生私の本棚から離れない1冊。
500ページ、122作品の短編集。
ほんと、すんごいのよ、どう言ったらいいかもたぶん、一生わからないくらい。
川端康成作品の中で、たくさん、たくさん好きな作品があるけれど、
これは私の中で別格。
本当に、なんだかすごい。
(なんだかすごい、しか言えてないじゃんね)
暇さえあれば、てきとうなページをめくっては再読、再読再読。
なんて言えばいいんだろう。
話の始まりの唐突さは、言わずと知れたことだけど、
私の極わずかなボキャブラリーの中のあれこれと、そんでもってささやかな感覚から言うと、
宮崎駿氏が私たちをジブリの世界に一瞬で踏み入れさせるみたいに、
川端康成氏は映像は勿論、音もなく、色合いもなく、
主人公の表情も見えず、夜なのか、昼なのか、
だいたい、なんなのか、笑
訳もわからず、その"世界"(って言ったら大袈裟だな)、その場面に連れてかれる。
恐ろし過ぎるの、すごく。
そして、アニメーションは作れないけど読者である私の頭の中には、
宮崎駿氏以上のアニメーションが一瞬にして作れる。
それが、川端康成、だ、と、思う。笑
スタジオジブリが大変細かい作業に何度となく時間をかけて作るアニメーションが、たった3秒で作れるのは、
ホントこれ、夜を越える快楽や!なんて、1人でベットの上でのたうちまわるのである。
いや、しかし、
"のたうちまわる"って凄い、
なんか、凄い言葉だね。
初めて発した人とお会いしたかったな。
まぁ、それはさておき、
そんな122作品の中の1作品の出だしはこんな感じ。
合掌 p152
-波の音が高くなった。彼は窓掛を上げた。やっぱり沖には漁火があった。しかし、さっきより遠くに見えた。それに海へ霜が下りて来るらしかった。-
彼って、誰やろね。
って思うのは束の間、
私がもう彼のいる寝台か何かの中で、
その乗り物であろう薄暗い中に揺られ、
亡霊の様に彼を見てる。
出来るだけ遠くからね。
ホントそれが、川端康成作品。
感情移入だとか、共感だとか、
なんだかそんなものなんて、なにも起こさせないし、なにもいらなくて、
これからはじまる誰かの人生の一場面に、
同席というか、「ちょっとストーキングさせてもらうよ」な感じ。
(あぁあ、書けば書くほど、違うんだよな。
こんなん川端康成作品じゃない!笑)
まぁ、いいや、
そう、言いたいのは、
これ程、快楽を得られる同席小説は他に無!笑
うー、誰かー、
この感覚を上手く表現してくださいー。
しかし、平山氏の装丁かっけー。