カウンセリングという仕事をしていると、

「もっと早く相談してくれればよかったのに」

と思うことがあります。

でも、本人からすれば、

「まだ相談するほどではない」

と思っている。

あるいは、

「カウンセリングに行くのはちょっと……」

と感じている。

「自分はそこまで困っていない」

と思っている。

だから、限界になるまで誰にも相談しない。

これは、その人が悪いわけではありません。

そもそも、

「心の問題は、困ってから専門家に相談するもの」

という社会のイメージが強いからです。

風邪をひいたら病院に行く。

歯が痛ければ歯医者に行く。

でも、

「自分の心の状態を普段から知っておく」

という習慣は、まだ一般的ではありません。

私は、ここに一つの大きな可能性があると思っています。

病気になってからではなく、

困り切ってからでもなく、

何かが壊れてからでもなく、

もっと手前から、自分について知っておく。

自分は何に反応するのか。

どんなときに余裕を失うのか。

どんな兆候が出たら注意した方がいいのか。

誰に相談すると話しやすいのか。

そういう情報を普段から持っている。

これは、身体で言えば、

「具合が悪くなってから病院を探す」

のではなく、

普段から自分の身体を知っておくことに近いのかもしれません。

もちろん、専門的な支援が必要なときは、専門家につながることが大切です。

でも、その手前に、

「自分を知る」という段階があってもいい。

私は、そう考えるようになりました。

そして、その考え方をもっと広い人たちに届けるために、

「心の備蓄」という言葉を使い始めました。

 

 

心の備蓄実装プロジェクト

Psychological Stock Implementation Project(PSI-Project)