松根油 | AIRPLANE NUT

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ブログタイトルは「ヒコーキきちがい」という意味です。航空ショーや航空博物館を見に行くのが趣味です。

東京、上野の国立科学博物館には小規模ながら航空に関する展示があり、その中に第2次世界大戦中に国内で開発途中だったジェットエンジン、ネー12のコンプレッサーブレードがあります。そのすばらしい仕上がり具合には当時の困難な状況のもとでこのエンジンを開発、制作にあたった技術者たちの涙ぐましい苦労を思わずにはいられません。

ブレード本体の美しさとともに私が驚かされたことはその右隣に展示されていたネー12の後から開発されたネー20の諸元表でした。その中の使用燃料の欄にはなんと!松根油とガソリンの混合油の表記があったのです。

 

第2次世界大戦末期に石油が欠乏した日本で松根油を採取して代用燃料にしようとした話をどこかで読んだことがありましたが、実際に資料として目にしたのはこれが初めてで、松根油の採取、使用が実際に行われていた現実を認識しました。

 

実は以前、群馬県の日帰り温泉の館内に「松根油を採取した松の根」というのが展示されていたのを見て驚かされたたことがありました。松根油を大変な労苦の汗を流しつつ実際に採取していたのはおそらく市井の市民や下級兵士たちだったのでしょう。それらの人々の血と汗が染み込んだ松根油を積んだヒコーキが若い飛行士たちを希望のない戦いへと導いたのかもしれないと思うといたたまれない気持ちにやりきれなくなります。

 

8月はひときわ平和を願う気持ちが強くなります。