☆CELL:CXD2964GB 90nm、RSX:CXD2971GB 90nm の基板


写真はCECHA00のオリジナルCOK-001基板です。最初期ロットですので、黒CELLが実装されています。

CELLとRSXはどちらとも90nmが基本的な仕様ですが、65nm/40nmのRSXに交換されている基板が存在します。これを”公式リファービッシュ基板”といいます。

Sony公式(プレイステーションクリニック)にYLOD修理を依頼した場合は、その時期によりリファービッシュ基板に交換されました。

正確な時期は不明ですが、~2010年5月頃までに公式修理にて基板交換をした機体は、アンダーフィルが改良された90nm RSX(CXD2971B1GB)、~2010年9月頃までは65nm RSX、それ以降は40nm RSXが搭載されていると考えられます。

オリジナル基板と比べると信頼性が高くなっていますので、PS2互換&SACDに対応する最高の機体と言えるでしょう。

 

また、リファービッシュ基板を搭載した機体においては、BDドライブが後期型 双眼レンズのBD-410ドライブに交換されていることがあります。
ディスクが右に回転しながら吸い込まれていく場合はBD-410、そのまま吸い込まれていく場合はBD-400が搭載されていると判断することが出来ます。 

BD-410搭載の機体は、高確率で公式リファビッシュ基板が搭載されています。
ただし、CECHA00,B00の製造終了間近に生産された一部の機体は、SysconがCXR713120またはCXR714120、ドライブは後期型のBD-410を標準で搭載していることがあるので、その全てが公式リファビッシュ基板搭載品とは言えません。
*Sysconについては、この記事を参照してください。
 

☆CELL:CXD2964GB 90nm、RSX:CXD5300DGB 40nm の基板


写真はCECHA00のCOK-001基板ですが、RSXは40nmのものが実装されています。

YLODの原因は多岐にわたりますが、RSX側のプロードライザの劣化(Sysconエラーコード:1002や3004)またはRSX自体の欠陥による導通不良(90nmのみ、Sysconエラーコード:3034)の二つが大多数を占めています。
ただし、RSXが65nmになったCECHL00以降では、プロードライザの劣化であることが多いです。
この他の原因としては、BDドライブ基板やフラッシュメモリの故障、回路のショート、ブリックなどが挙げられます。

(現在は、Syscon UARTによりエラーログを取得できるようになったため、原因の特定が容易になりましたネ…!)

プロードライザは、当時としては画期的な製品ではありましたが、歩留まりがなかなか向上しないうえ、発熱する部品の周辺に使われるのにもかかわらず、熱への耐性が低いという弱点がありました。同製品が採用されたノートパソコン等でも同様に劣化して故障する機体があったようです。


CECHL00までのPS3では、CELL側とRSX側の両方にプロードライザが採用されていますが、プロードライザの劣化によるYLODのほとんどが、RSX側のプロードライザが原因で発症します。
これは、RSX側のプロードライザの静電容量が設計上ギリギリのため、容量抜け(≒それによるリップルノイズの増加)を許容できる度合いが小さいためだと考えられます。

 

なお、CECH-2000系はCELL側をPOSCAPに置き換えてRSX側のみプロードライザを採用し、CECH-2100系以降は両方ともSP-Capに置き換わりました。

 

PS3の中古で買うなら、CECH-2100~3000系の機体をおススメします。

初期型はいわゆるYLODの心配がありますが、最終型のCECH-4x00系では、無線モジュールの故障により”8002F1F9”エラーが発生してアップデートループを引き起こすことがあります。

今までお受けした修理依頼の中でも、CECH-3000系はその割合が圧倒的に少ない(≒極端に信頼性が低い部品はないため壊れにくい?)です。大体ですが、CECHA00,B00が6割、CECH-4x00系が3割、その他が1割くらいです。

 

 

・参考

2010-04 CXD2971B1GB(90nm)

https://www.reddit.com/r/PS3/comments/1dxoodw/official_sony_serviced_cok001_cecha_board_dated/

 

2010-10 CXD5300DGB(40nm)

https://www.reddit.com/r/PS3/comments/15jp2yk/40nm_rsx_found_in_cecha00_cok001_mb/


65nm RSX:CECHH00~CECH-2000で採用されているRSX
→CXD2982系またはCXD2991系

(VER-001 CXD2991GB)


40nm RSX:CECH-2100~CECH-4000で採用されているRSX
→CXD530x系

(COK-001 CXD5300A1GB)


BD-400ドライブ:CECHA00,B00に標準搭載されているもの(写真左)

BD-410ドライブ:後期に製造またはリファービッシュされたCECHA00,B00に搭載されているもの(写真中央)
BD-410ドライブ:CECHH00,Q00に標準搭載されているもの(写真右)

 

 

※ホームページに掲載した記事の移植です。

2023.3.13 作成

2025.3.7 修正