森君クラッチ不調→クレビスピン交換 | PRYCE16写真日記

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森君(SG9型フォレスター)のクラッチに違和感を覚えたので調べてみた所、クラッチペダルのアームとマスターシリンダーからのロッドとをつなぐピン(クレビスピン)がグラグラしていた。18万kmを走り抜き、相当すり減っているであろう事は容易に想像出来る。

 

早速「フォレスター クラッチペダル 分解図」で検索をかけ、ペダル付近の構造を把握。わざわざペダル一式を外す必要はなく、問題のグラグラしているピンだけを交換出来そうだった…というより、ペダルを取り外す為の第一歩はこのピンを抜く所から始まるのである。また、アーム側に嵌っているメタルブッシュも擦り切れて半円状になっている事が多いようである。

 

という事で早速部品を注文。SG型フォレスターの記事はなかったが、SH型フォレスターやGC型インプレッサも同じ番号だった為、えいやっと確定ボタンをクリックした。どうせピン105円、ブッシュ154円程度のものである。それよりも送料380円の方が遥かに痛かった。

 

 

クラッチペダルアーム付近はグリスでベタベタな為、外した部品やそれをふき取る為のウエス類が落ちてフロアを汚さないように紙を敷き詰める。一度も目を通される事なく一瞬で古新聞入れへ行きとなったこれら広告が初めて役に立つ時が来た。

 

しかしピンのある位置は図の矢印付近。クラッチペダル下に逆さまに頭を突っ込まなければならない。またその際の目玉からピンまでの距離は20cm程しかない為、「老眼鏡」が必須である。車の整備で老眼鏡が必要な時代が来るとは思わなかった。

 

 

これがクレビスピン。反対側はベーターピンにより抜けないようになっているという極めて簡単かつ確実、必要にして十分な締結方法だ。ペダルを踏んだり離したりする度にこのクレビスピンの頭が目に見える程にグラングランと動き、ペダルを踏む感触も露骨にカクカクとしていた。またピンも少し右側に飛び出し気味だったように思えた。それを無理に押し込んでみたり、くるくる回してみたりすると、一時的にカクカクは収まっていた。ピンの動きは極めて悪く、ペダルを小刻みに動かしながら満身の力をピンに込めてやっと半回転程回す事が出来た。

 

 

特に意味はないが、クレビスピンのアップ。1/30、F11、ISO40000。トリミング。GR3。

 

 

クレビスピンの反対側を写した写真。肉眼でこの光景を見る事は困難で、ベーターピンの一部を左目で見るのが精いっぱいだ。

 

具体的な作業としては、1の脱落防止用のキャップを外し(壊すという方が正しい)、2のベーターピンを引き抜き、3のクレビスピンを右方向に引き抜くというたったこれだけであり、難しい要素は本来なら一切ない。だが、狭所故のアクロバティックな姿勢と、ベーターピン側は目視が出来ず、ほぼ手探りな事から、作業は恐ろしく難儀した。

 

 

シートを最高部まで下げ、クラッチペダルにおでこを押し付ける位のつもりで運転席足元に潜り込む。外からみるとかなりのセクシーポーズだ。流石にラガーマンやレスラー、相撲取りといっような、そもそも運転席足元部容積よりも体積のあるようなヒトの場合作業はまず不可能だ。また身長180cm超(でひょろひょろな)のヒトの場合も、潜り込めたとしてもサイドシルが脇腹を直撃する為、激痛に悶絶しながらの作業を強いられるだろう。世の中にはそのような体格のメカニックのヒトはいくらでもいるが、その方々がどうやってペダル回りの整備をしているのか興味深い。

 

なお写真は作業終了後の「ヤラセ」である。作業中はそんな余裕がなかったのと、手がグリスまみれな事もあり、GR3はおろか、WG-30Wですら触る事が出来なかった。

 

 

これが新旧クレビスピン。放っておけばじきにちぎれてしまうのではと思える程の激しいガタつきにビビり、今回慌てて修理したのだが、思った程は痩せていなかった。もしペダルのガタつきさえ発生していなければ、気づかずにこのまま廃車になるまで使用していた事だろう。右は新品のメタルブッシュ。ただの筒だが、クレビスピンよりも高価だ。

 

 

新旧ブッシュ。他の多くのサイトに掲載されていた写真同様磨滅が進み、半円状になっていた。

 

このブッシュは当初何処にあるのかまったく判らなかった。それは視角的な自由がきかない為に非常に見ずらく、また詳細を目視しようにも目を近づける事が出来ないからであり、決して老眼だからではない。更にはグリスで汚れている為、アームもその穴の中も黒一色である事も要因だ。試しに新品のブッシュをはめてみようとした所、まったく入る気配がなかった為、旧ブッシュが残存している事を確信。色々なもの(ドライバーやピンセット、つまようじ等)で突っついたりほじくったりしてどうにか取り外した。

 

新しいブッシュは指の力では半分位までしか入らない。まさか油圧プレス機が必要な程の圧入作業ではないものの、トンカチで叩き込もうにも狭いペダル下ではその程度の隙間すらない。仕方なく頑張って指で押し続けてみるが、だんだん斜めになっていく。下手をするとそのまま入りも抜けもしなくなってしまいそうで怖い。

 

そこで古いクレビスピンを刺し、その頭の部分を打撃目的ではない工具(12.7sqの手回し用のハンドル。短くて重い。何故こんな工具が我が家にあるのか不明)で軽く叩く事にした。これならば力が均等にかかる為、ブッシュが痛む事もないし、狙いもつけやすい。この時間違っても新品のクレビスピンで行ってはいけない。例の脱落防止用のキャップのおかげで、再び抜くのが極めて困難になるからだ。

 

この旧クレビスピンは再組立てに時に、マスターシリンダーからのロッドを仮締結するのにも重宝した。新クレビスピンを右手に持ちながら、ロッドを左手で持ち上げるのが困難な事は試す前から予想出来た。ましてや右手のクレビスピンはグリス(高圧がかかる場所なのでモリブデングリスを使用)をたっぷり塗りたくってある為、絶対に落下させる事が出来ないのだから殊更だ。そこで旧クレビスピンを反対側から刺すようにロッド共に仮組しておき、新クレビスピンで押し出すようにすると、右手だけで作業出来た。グリスをなじませる為にピンを回しながらゆっくりと刺してゆく。

 

相変わらずベーターピン用の穴は見えないが、作業前とちがい、クレビスピンは容易に回転するようになっていた為、少しはやりやすかった。だが他のヒトの提案しているように、クレビスピンの向きを逆にし、右側にベーターピンがくるように組めば、組み立て時も次回分解時も楽なのではないかと後で思った(流石にもう18万kmを乗る事はないと思うが)。

 

作業時間は写真を撮ったり(演技したり)しながらのんびり行っても2時間弱だったが、要領を得た今ならば15分、いや10分もあれば行えるだろう。元々はその程度の作業内容なのである。

 

 

夕刻、近所を走る路線に動態保存車が走るというので、夕刻の散歩時に狙いを定めて撮影。

 

 59.70 16.3