リコーイメージング銀座、新宿改め東京及び大阪の相次ぐ閉鎖により、PENTAXユーザーはメーカーとの接点を絶たれてしまったともいえる状況となった。中には「転ぶ」人も少なくとも数人はSNS上で確認されるような状況の中で、新たな拠点の発表が5/30に行われた。「四谷」という事なのだが、それだけではかなり広範囲である。だがかつて「柏木家」「鈴木一郎祖父宅」といったTVドラマに登場した普通の一軒家を探し当てるという輝かしい経歴を誇るロケ地探索マニアとしては、是非とも情報開示前に訪れてみたいというものである。
事前に得られた情報は「四谷」という事のみ。しかし記事をよく見ると、「新宿区四谷」と書かれている。まずはこれだけでも四ツ谷駅の東側に広がる「番町皿屋敷」でお馴染みの区画は除外出来る(あちら側は千代田区)。そして最寄り駅が東京メトロの四谷駅という所も極めて重大な手がかりだ。これで四谷三丁目、曙橋、市ヶ谷といった隣接駅との中間点より内側である事が限定される。信濃町がやや遠いが、それでもおおよそ半径400~500mの半円内である。ざっくりと20万平米、東京ドーム3個半程の中にクラブハウスは存在する。またこれらの完成予想図を見ると、入口は階段3段程のやや半地下状態な場所に設置されているが、この手の構造は傾斜地にありがちである。更に天高が別段高くなく普通の民家並みである事から、大規模商業ビル的なものではなく、数階建マンション規模の1階である事もうかがえる。更には窓の外にはかなりの緑が見える。四谷周辺を航空写真で見てみると、公園のような緑地スペースはかなり少ない。このようなヒントを手掛かりに、クラブハウスの所在を探索してみる事にした。
13:09、まずは駅前の飲み屋街に降り立つ。 すぐ近所に友人が住んでいる関係で、この界隈の飲み屋には度々訪れている。
13:34、既に最初の候補地を訪れた(やはり違っていた)後は、「坂」を手掛かりに小さな路地裏に突入。
13:39、既にこの状況で「ショールーム」があるとは思えないような区画へ迷い込んでいる。
13:43、こんな住宅街にカメラメーカーのショールームがある訳がないのだが、坂道と、「好きな奴が来れば良い」的はスタンスと、それと賃貸料といった余計なお世話な考慮が頭を過り、以降もこのような雰囲気の区画を迷走する。
13:50、昔はよくあった、近所の町医者。耳鼻咽喉科という、緊急性とは無縁の分野故の現存か?!
14:25、普通のチェーン店の蕎麦屋で昼食を採った後、新宿通りの南側なのではと思い始めた頃。
14:32、車どころか原チャリすら通行出来なそうな路地を抜けた付近。裏道ではあるが駅からは近い為、ここら辺にあってもおかしくない雰囲気。
14:58、再び市ヶ谷方面を目指し、津の守坂を下る。高級衣料品の店舗があったりするので、この付近にあってもおかしくはない。但しココまで来てしまうと曙橋の方が近くなってしまう。
15:41、だが得られるものはなく、再び新宿通りへ戻る。途中2度程水分補給(笑)。
15:58、そこからまさかの円通寺坂へ。新宿通りの南側もまた高低差は大きい。
15:58、良い雰囲気は続くが、メーカーのショールームの雰囲気からは益々遠ざかってゆく。このような所に突如存在してもおかしくはなくなくない感じだ。
16:13、高層ビル(といってもマンション程度?)の為の小型タワークレーンと、解体予告が掲示された鉄砲坂下付近の光景。光線の関係で多くの写真をボツにせざるを得なかったが、まもなく根こそぎ消失してしまうこの山手の下町のような区画の寂しい姿に胸が痛んだ。
16:13、このようなイカす雰囲気の写真を撮るべくカメラを構えていた所、「部屋探してるの?シェアハウスあるよ!」と異国の方(?)に声をかけられた。以前蔵前のシェアハウスの価格を見た時には、まったく安くないと思ってしまったが(←自分比)、この界隈はいったいどの位の価格だったのだろう。
16:25、JR中央線/総武線のガード下。戦後間もない頃の面影が残っていた。
16:25、ガードを超えた付近に、ぴんくのスーパーカブがたたずんでいた。質実剛健なものをかわいらしい色に塗るというのは男女問わずも魅惑さを感じるものである。近年ではトヨタクラウンにも同様な事例があった。という事はK-1にも…等とつい思ってしまう。しかしP社のカラーバリエーションは別段珍しくもない。もし実現するとしたら、高島屋モデルのような「数台のみ」というような告知をした上で、希望者分は全数製造納品する、但し1回限りというような販売形態が現実的なのではないかと思う。
16:34、中央線と首都高4号線を望む陸橋の上。一応車も通れるが一通ではない為、鉢合わせした際にはどちらかが長い距離をバックする必要がある。
16:39、1線だけやや離れた中央緩行線のトンネルを飛び出してくるヨ231系を待ち伏せする。コンデジではタイミングがとりにくい。さりとてGR3で連写により対応するというのは愚の骨頂のようにも感じ、結果こんな写真となった。
16:57、本日2度目の通行となる店舗の前。依然として光線状態は良くならない。
17:02、新宿通りにある(何と読むのか判らない)寿司店。
17:11、約4時間歩いたが結局「部室」は見つからなかった。しかしまあこんな事はロケ地探索ではよくある事だ。今回のルートの問題点と、次回探索経路を思案していた所、何だか見た事のある光景が目の前に突如現れた。この「あっ!」という感覚は、いつも本当に心躍るものだ。
このガラスに映った緑の多さ、ピカピカした入口、数段の半地下へ降りる丸い階段…
公表されていたのは室内からの光景だったが、この丸い半地下階段、褐色の柱、その先の何処へ向かうのか判らない普通の階段。まずココで間違いないだろう。
極めつけはこのメールボックスに記されたテナント名。動かぬ証拠である。
入口の全貌はこんな感じ。ショールームにしてはかなり目立たない。元々は普通の企業の普通のオフィス的な用途だったのだろう。駅近くの一等地でありながら、まるで隠れ家とか秘密基地といった魅惑の雰囲気となりそうだ。
ビル全貌。やはりマンションクラスのこじんまりとしたビルだった。2階の他、地下にもテナントがあるらしい。
本日の歩行軌跡。想定した通りの区域をほぼまんべんなく回った。記録はK-1のGPS機能を使用(本日K-1はロガーとしてのみしか使用しなかった)。吐き出されるKMLファイルを一旦独自フォーマットに変換した後、不要部や、あまりにも軌跡が暴れた箇所を削除した上で、再びKML化した。いきなりKMLが出てくるのは一見便利だが、前述のような編集は困難。普通にNMEAで出してくれれば良かったとも思う反面、このK-1の吐き出したKMLを解析する事によって、Googleマップへの軌跡の載せ方が判ったのだから、結果的にはありがたかった。
GPS軌跡から計算した歩行距離は10km程。それを元に別途歩行距離を計測してみた所、9.6km。多少暴れた部分を削除したとはいえ、かなりの精度だった。
4時間かけて10km歩いた果てにみつけたクラブハウス。よく軌跡を見返してみると、なんと歩行開始数分後に目の前を通過していたのだった。何たる遠回り。元々このビルはGoogleの衛星写真でみつけて怪しいなとは思っていたものの、最初にこの場所を通った時には当初の候補地であるコモレ四谷の方ばかりを注視していた。緑の広がり具合からして、ココが最も怪しいと睨んでいたのだが、やはり天井があまりにも高すぎるな~と思いながら、細い路地を市ヶ谷方面へと下ったのだった。だがおかげでこの猛烈な炎天下の中の街歩きを存分に堪能出来た。
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