P R U S S I A N  B L U E -11ページ目

やわらかなうそ


たとえ嘘だとしてもわたしのこと好きだって言ってよ。

わたしが嘘だと気付かないように 甘い嘘をついてよ。

嘘なんて本人がそんなこと気付かなかったら嘘だなんて思わない。

でもきっとダメ。わたしは直感が鋭いから。猜疑心だらけだから。


かみさま、わたしを鈍感にしてください。

かみさま、わたしのすべてを、狂わせてください。

中途半端に生かされることがどれだけ残酷なことかってこと、知っていますか?

お前への試練だと言うのならば、放棄させてください。

どうか。

どうか。

わたしのことを知っている人の記憶からわたしの存在を忘却させてください。

そうしたら、わたしは猫のように、誰にも知られないようにどこかへ行きます。

2005-02-20



余計なことばはいらない 雨に流そう

そう、これはきのうのできごと



重い腰をやっとの思いであげて、わたしを待ってくれる大好きな子に会いにゆく。

例えばそれがすごくすごく楽しみなことであったとしても、わたしには、苦痛を

伴わずにいられない。


新宿という街は人が多過ぎて、行き交う人達が交差して、たまにぶつかって、

そしてそ知らぬ顔をして通り過ぎてゆく。

わたしは人込みにめまいをし、不愉快な気分は、何か今わたしの耳の軟骨の

ピアスにこびりつく膿のように、はがしても、はがしても、また戻ってくる。

とてつもない歪んだ心を顔が写す。誰も寄せ付けようとしない酷く歪んだ顔を

した女のことなんて、誰も見てやしない。

そう、こんなに人がいるのに、人に目をとめるようなことは、皆しないのだ。

別に見て欲しいわけでもないし、その方が楽だ。

誰とも会いたくなくて、誰かに会いたくなる。

その矛盾はわからない人にはわからないだろうし、わかる人にはわかる。

それだけのこと。

あれだけ楽しみにしていたライブも、薄いフィルムを通してしか見ていなかった

ような気がする。

昨日の出来事だったのに、もう、随分前の事のように感じていて、

ぼんやりとした記憶の残像のようにしか残っていない。


今のわたしの生活は、昨日は今日の続きではないし、明日は今日の続きでもない。

今日が終わればリセットボタンが押されて、新しい一日が始まる。

昨日はとてもいい気分だったからそんなこと微塵も思わなかったけれど、

今日は思う。


みぞれの降る夜中、迎えに来てくれると言った弟を待っていた時、

ワゴン車に乗ったいかにも怪しげな、男が手招きをしていた。

そう、その時は、気色悪い。としか思わなかった。本当に気持ち悪い奴だった。

でも、あのワゴン車に乗っていたら、あの男はわたしを殺してくれただろうか。

わたしは、どこかの林の中で遺体で発見されていただろうか。

今は思う。昨日と違う今日がわたしにそんな妄想をえがかせる。

あの幸せな気持ちはどこへいったのだろう。

死にたいの?死なないよ。

はみだしもの



見ろ。はみだしものの世界を。

見ろ。このわたしを。

見ろ。欲求だらけのこの女を。

見ろ。肉欲に満ちているこのみだらな女を。

恥ずべきものはない。穢れていると蔑むならそうすればいい。

反論するものは噛み千切ってやる。

わたしの体内に吸収されろ。溶けこめ。

そこに何が待っているかなんて知ったこっちゃない。

わたしはわたしであって何者でもない。

わたしはいつでもここにいる。恥ずべきものはない。

かなしみにさようなら



さようなら。なみだをふいて。

さようなら。明日が平和だなんてほしょうはないけど、

あなたはかならずここにいる。

なげくのはもうやめて。顔をあげれば広がる大空。

わたしはちっぽけだけど、あなたもちっぽけだけど、生きている。

それだけがしんじつ。

しらないこと



知らないことを恥ずかしいことだと思っていた。

別に知らないことはちっとも恥ずかしいことなんかじゃないのに。

でも、さも知っていることが当たり前かのように話をふられたとき、

曖昧にあいづちをうつ。

そんな自分のほうが恥ずかしい。あとになっていつもそう思う。

知らないことは知らないといえばいい。

2005-02-16



そばにいてずっとそばにいてわたしが眠れるまでそばにいて

それだけでいいから何もいらないから

わたしはただそうゆう人をもとめているだけ。

かなしみを抱えて眠る寒い夜、あみかけのマフラーは仕上がりを待っている。

わたしのにおい。わたしをおもいだして。

あみかけのマフラーを首にまいて眠りにつく。

山田詠美



ジャンルの中に本を作ったというのに本のことはぜんぜん書いてないことに今更気付く。

わたしは本屋に行くとうきうきする。まだ読んでいない本はたくさんあるというのに

それでもまた買ってしまう。本がたくさんあるのはすきだ。

惹きつけられて買う本は今の自分にあったもの。本がわたしを呼びよせる。


最近自分ではあまり好きじゃないと思っていた、山田詠美の本を2冊購入した。

1冊目は「晩年の子供」2冊目はまだ読みとちゅうの「色彩の息子」どちらも

古本屋で100円で売っていたものだ。


「晩年の子供」短編小説

子供のころの思い出をさそいだす。

わたしの通っていた規定の小学校はなぜか近くにある小学校ではなく、

子供の足で歩いて、30分ほどかかるような場所にあった。

大通り沿いを歩いて学校を目指す。学校へ行くのは好きじゃなかったけど、

帰り道が好きだった。寄り道ばかりして、大型トラックが行き交う道で

大声を出して歌をうたっていた。

放課後が好きだった。

100年の歴史を持ったその学校は七不思議どころかたくさんの怖い話があった。

その七不思議を実際にやってみたり、図書館で怖い話大会をしたり、

こっくりさんをやってすごい興奮したり、わたしの学校ではラブさまというのが流行

っていた。屋上へむかうとびらのおどり場には机や椅子がならべられていて、そこで、

ラブさまとかいういんちきくさい占いをしたりしていた。

思い出せばきりがなく、学校に生えてたびわの木の実を取って食べたり、

たきびごっことかをしてみたり。体育の山。アスレチック。

小学校一年生の頃、ランドセルを忘れて帰るという珍行動をしたこともあった。

先生が慌ててわたしのランドセルを持ってきた。

子供の頃はみんな個性ゆたかな子ばかりいた。


「おれ石食べられるんだぜ」といって石を食べてた鳴石くん。

つるぴかはげまるくんが流行った当時、学校での写真の中のオトコノコたちはみんな

ぺコちゃんみたいに舌をだして、はげまるくんポーズをきめている。

今もその写真はこの家のどこかにある。

帰り道。

果物屋さん、路地に入ると廃墟になっているおどろおどろしい家にこっそりしのび

こんだこともあった。ガソリンスタンドがあって、わたしはみんながくさいくさい

と言っていたそのガソリンの匂いが好きだった。石油ストーブの匂い。

それから、たばこ屋さんがあって、白髪のおばちゃんとずっと喋ってたこともあった。

夏になるとおばちゃんは、麦茶を出してくれた。

最近そこを歩いて通った時、おばちゃんは相変わらず白髪のまま、

あまり変わっていなかったのにはおどろいた。

もう少し歩いていくと大福屋さん、そのとなりには自転車屋さんがあって、

気難しそうな怖い顔したおじさんがよく自転車やらバイクやらの修理をしていた。

店の奥はガラクタ置き場みたいにすごい量の部品が山積みになっていた。

最近、その自転車屋さんに行ってみたら、怖い顔のおじさんは、

すっかりおじいちゃんになっていた。ガラクタはあの時のまま山積みだった。

少し話をしてみたら、そのおじいちゃんはもう90歳になるらしい。

わたしが写真を撮らせてくれと言ったら、そのおじいちゃんは少し照れくさそうに、

そして、なんだかうれしそうにたくさん喋っていた。


そんな幼い頃の思い出がいっきにあふれ出るような本だった。



「色彩の息子」短編小説

さまざまな色にたくされた愛を求める心の裏側にぴったりと寄り添うような深い闇

その闇を憎みつつ その深さに酔わずにはいられない"私"たち……。 / 帯より


今まだ読み途中なのだが、この中の「病室の皮」という小説にこころを奪われた。

人は成長していくにつれ、皮を身にまとうようになる。

人とうまく接していくためには、「自意識」というものにベールをかけて

しまっておくことが必要なのだ。本来の自分、ありのままの自分で生きるという

のは障害が多くて、だから、皮が必要になるのだ。

そうか、だれもが皮を被って生きているんだ。

そんなこと考えてもみなかったよ。

そうでない擦れていない美しい人もいるだろう。

でも大抵の人は皮を被って生きているんだ。演技をして。

わたしの皮は薄い。だから生きぬくために大量の体力が必要だ。

皮なんて被りたくない。醜くてもいい。これがわたしだ。


2005-02-14



すべての感情を排除できたらいいのに そう切実に思わない日はない

2005-02-14



「誰かに何かをもとめる愚鈍な行為にもう厭きた。」

ぽつり口が滑ったそのときだった。


だれもきやしないんだよ。

だってあんた自分が嫌いなんじゃん。あたしは自分万歳だけどね。

あんたのしてることってただの愚遊にしか過ぎないんじゃない。

あんたの考えてることなんてすべてお見通しなのよ。

毎日めまぐるしく頭をかけぬける妄想に潰される。

ってそんな自分に酔いしれてるだけなんじゃないの。

悲劇のヒロイン演じてるのがすきなだけなんじゃないの。

そうやって妄想に耽ってるのがすきなんじゃないの。

どう?あたってるんでしょう?


ねぇ、本当のこと教えてあげよっか。

(声をひそめてそいつはいった。)

あたしはね、あんたなんだよ。

あんたはあたしなんだよ。わかった?

(わたしは顔を歪める)

あ。その顔。いいね。バカでマヌケな顔。

おかしくってたまんない。あー愉快。愉快。