好きという名の呪い | Aprikos blogg

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色々ありますが、それでも前を向いて生きようとしているMtFな私の天然ブログです。

こんばんは。(^^)

今日は、ちょっと体調不良で、一日中横になっていました。(^^;;

台風が近づいて、急に暖かくなったりと、気温の変化についてこれていないようです。でも、おかげで、ゆっくり休めましたし、久しぶりに読書三昧でしたので、悪い一日ではなかったと思っています。


さて、注目作、「コンプレックス・エイジ(著:佐久間結衣)」の最終巻が発売になってしまいました。

コンプレックス・エイジ最終巻


以前に予告いたしましたとおり、この作品のご紹介をさせていただきます。って、あの記事書いたのって、5月頃でしたので、かなり時間が経ってしまっているという…A(^^;;

あらすじのご紹介

主人公の片浦渚は27歳の派遣社員。これと云って将来を決めているのでもなく、漠然と過ごしているように見える彼女の趣味は「コスプレ」。
そのコスプレに青春時代から今まで、多くの時間を費やし、様々な経験をしながら、趣味と現実の狭間で揺れ続ける彼女がもがき苦しんだ果てに出した答えとは…

かつて、ゴスロリ・ファッションを趣味にしながらも、自らの「老い」という現実に打ちのめされ、好きだけど、否、好きだからこそ、趣味から一切手を引いて引退を決意した渚のお母さんと(お母さんの若い頃のお話は、第一巻目の終わりに収録されています。元々は、この読み切りが原点で、この作品を元に連載作品は描かれています)、コスプレとジャンルは違えども、現在趣味に没頭中の渚の、二人の物語が主軸となっています。

その中で、渚の周りでは、コスプレという趣味につきもののトラブルや、趣味が職場の人にばれ、周囲の無理解に苦しんだ果てに失踪してしまった上司、友人の突然の引退宣言、そして自分よりも理想に近い新人の登場など、多くの出来事に遭いながらも、趣味とこれからどう対峙していけばいいのかを、必死にもがきながら求めていく姿が、大変共感致しました。

私もそうなのですけど、趣味とどう向き合うのかというのは、いつも悩まされています。

私は、本を読んだり、コンピューターで何かをしたり、アニメ作品を鑑賞したり、変な物語を書いたりetc.と、色々趣味がございますが、時々、自己の性についてと同様に、「私って、趣味に生きていて、社会に本当に役立っていない、役立たずの社会不適合者では?」と、どん底な気分に落ち込むことがございます。何と言いましょうか、何をやっても不器用ですし、やっていること全てが自己満足の領域から出ていない…本当に中途半端だなぁ~と。

そして、時間ばかりが過ぎていく事に焦りを感じ、自分には「強み」になるものがないと実感しますと、絶望すら感じることがあるのです。

ですが、どんなに焦って、もがいて、走り回っても、結局同じところに帰ってきてしまう。

「好き」なもの、「好き」な事を、捨てることが出来ないのです。

株取引の、「損切り」のようには割り切れないのです。

突き放しても、突き放されても、それでも最後はしがみついてしまう。作中にもありますが、本当に、「好きは呪い」だと、私もそう思っています。

世の中は本当に広くて、才能が溢れる人がいっぱいいます。そして、先人たちの圧倒的な遺産に、気圧されてしまい、何度も心が折れそうになります。中途半端で才能と呼べるものもない、そんな私がみっともなく趣味の世界にしがみついているのは、単に好きだからとしか言いようがありません。

この作品では、年老いても、ゴスロリ・ファッションを捨てきれなかった母親の友人も登場し、彼女がその果てに出した答えを、渚に見せることになります。この辺りから、渚はある一つの答えを導き出していくことになります。

…と、ここまで書いて、趣味ってそんなに重いものなのか?と、思われてしまうかも知れませんが、作品中に登場するキャラクターによっては、自分の趣味が知られたからといって、別に恥ずかしいなどの感情を持たない人もいますし、割り切り方や、のめりこみ方などは、本当に千差万別であることも、丁寧に描かれています。本当に奥深いですよねぇ。(^^)

心理学に、「ピグマリオン効果」と呼ばれるものがあります。現在、音楽やスポーツでその道の一流と呼ばれる人々の大半は、子供の頃に音楽やスポーツに出会ったとき、大好きになって、そのまま夢中になり、気がついたらプロになっていたという人ばかりなのだそうです。このように、好きだから夢中になり、その道を究めるまでになる心理現象の事を指すのだそうです。

そして、そのような人達は皆、平均一万時間以上練習に費やしていることも、データで証明されているのだそうです。昔の諺に、「好きこそものの上手なれ」というものがございますが、現在の心理学でもある程度証明されていることを考えますと、昔の人って凄いなと感じたりします。

その趣味というものから、人の持つ、恋愛以外の「好き」というものに対して真正面から向かったこの作品は、問題作であるのと同時に、紛れもない傑作だと言って過言ではないと私は思っています。

6巻で終わったのが何とも惜しいですが、書店で是非お手に取っていただきたい作品です。(^^)


あぷりこっと
間違いなく今年、3本指に入る漫画(今年のベスト作品は(今のところ)、「ランド(著:山下和美)」、「干妹うまるちゃん(著:サンカクヘッド)」、「コンプレックス・エイジ(著:佐久間結衣)」)だと思っています。(^^)