大阪が、高校の授業料が完全無償化になりますね。
来年2024年度の高3から完全無償化が始まり、
2026年度には、高1~高3がすべて完全無償化になるそうです。
現在でも授業料60万円以下の学校では、年収590万円未満の世帯は、完全無償です。
また 年収590万~910万円未満の世帯も、一部補助してくれます。
↑保護者が負担しているのは、青色の部分。
年収590万以下は青色がないので、保護者負担0。
さらに新しい制度では、この所得制限がなくなり、大阪の高校の授業料は全員無償化になるようです。
これを受けて、一部の私立学校が反発。
なぜかというと、この制度によって、一部の私立学校の負担が増え、利益が減るからです。
その利益が減る学校とは、授業料が現時点で60万円を超えている学校です。
授業料が60万円以下の学校は、新制度になっても学校側の負担は増えません。
新制度の表には、国,府と書いているだけで、学校という文字はどこにもありませんね。
つまり、学校の負担は0です。
保護者という文字もありませんので、保護者の負担も0です
つまり、保護者の負担は減り、学校の負担も変わらないわけです。
ところが、授業料が60万円以上の学校は、これまで保護者に負担させていたものを、学校が負担することになります。
現在でも、年収800万円未満の世帯において、
授業料が60万円を超える分については、学校が負担しています。
↑表のピンクの部分がそれにあたります。
授業料60万円までは、国や府が負担してくれますが、
それを超える分については、学校か保護者が負担しなければならないのです。
なので、年収800万円未満の世帯は学校が負担、年収800万円以上の世帯は保護者が負担しています。
新制度になると、要するに、年収800万円以上の世帯も学校が負担することになります。
赤色の部分が、新たに学校が負担する部分となりますね。
これだと利益が減るので、一部の学校が猛反発しているというわけです。
まぁでも利益を減らしたくなければ、経費を削って、授業料を安くすれば済む話なんですけどね。
授業料60万円以下にすれば一発で解決。
60万円以下にしなくても、今までも一部学校が負担してきたわけですから、
同じ負担額で済む程度に、授業料を下げればOKなわけです。
で、これに対する学校側の反論は、「教育の質の低下を招く」というもの。
ここで毎回疑問なのが、「教育」ってそもそも何なのか?
どうなれば、教育として正解なのか?
進学実績の良い学校?
部活が強い学校?
最先端の知識を学べる学校?
イジメのない学校?
のびのびと過ごせる学校?
色々なイベントがある学校?
ここがとても曖昧。
動画に登場する、授業料60万円を超える学校として、
清風南海高校と、興国高校の校長が出演しています。
スポーツの学校は詳しくないので興国高校は存じ上げませんが、
清風南海高校は大阪で有名な進学校です。
対して、大阪星光学院と四天王寺は、授業料60万円以下です。
いずれも有名な進学校ですが、果たしてこれらの学校は、教育の質が低下した学校なのかどうか。
調べてみましたが、進学校は60万を超えている学校が多めでした。
これはおそらく、授業料を高めに設定しても生徒が集まるからでしょう。
進学実績の良い学校が、教育の質が良い学校かはさておき、
現実として保護者の関心は、より偏差値の高い学校に集まりやすいです。
授業料65万まで府が負担にすれば、私立の反発をもう少し減らせそうですね。
70万まで府が負担にすれば、かなり0に近づきそうです。
もちろんその分、税金の負担が増えるわけですけど。
で、今回無償になるのは、あくまで授業料です。
入学金なり、他の名目の費用は、保護者の負担です。
なので、新制度後は、そこにテコ入れをする私立が増えてくるかもしれません。
というわけで、大阪の無償化に関してのお話でした。
で、今回もう1つ、ぜひ注目してほしいのが、メディアの報じ方です。
冒頭の関西テレビNEWSの動画を見てもらえば分かりますけど、かなり露骨な印象操作を行っています。
例えば、先ほどの新制度の表。
授業料60万円を超える学校の負担は、赤色の部分です。
ピンクは今も学校が負担している部分ですので、関係ありません。
これは、大阪府知事の吉村さんが示したもので、負担額の割合に応じて表が作られています。
これに対して、関西テレビNEWSが用いた表がこちら。
これだと、学校が全世帯の授業料の4分の1(25%)を新たに負担しているように見えるわけですね。
しかし例えば、清風南海でいえば、授業料64万円ですので、学校が負担するのは4万円です。
なので、実際は6.25%の負担です。
多くの学校は、よくて10分の1程度の負担でしょう。
また、年収800万円未満の世帯については、現在も学校が自らの意志で負担していますので、
新たに負担となるのは、年収800万円以上のみ。
つまり、新たに学校が負担するのは、表の右半分だけです。
この表を何の説明もなしに見せれば、とんでもない負担を学校に強いている印象を視聴者に持たせることができます。
これが印象操作です。
額の小さい大きいは問題ではないという主張をするのであれば、なおさら実際の割合を示した表を見せれば良いでしょう。
わざわざ大きく見せる必要はないはずです。
こういう表やグラフの見せ方は、実はどの企業も行っています。
例えば、予備校が進学実績の伸びを誇張したいときは、
棒グラフを使って、棒の長さを前年の2倍程度にしておくんです。
こうすると実際は1.1倍程度であったとしても、ものすごく伸びたという印象を与えられるわけですね。
そして、もう1つ。
19:58あたりから、保護者へのインタビューが始まるのですが、なぜか全員が反対意見。
しかし、この番組が最初に、授業料完全無償化に賛成か反対か、自らアンケート結果を上げています。
これが本当だとすると、4割弱は賛成なわけですから、
インタビューの中にも賛成者が多数いたはずです。
ですが、番組のインタビューでは、反対意見を述べる人しか映っていません。
これを見た人は、大阪府民のほとんどが反対だという印象を持たせることができます。
これもテレビがよくやる印象操作の1つです。
私立はあくまで商売です。
どんな改革であれ、必ず利権が絡んだ人たちの反発はつきものです。
ここまで露骨だと、まず裏でお金が動いていると見て間違いないですね。
もはやアンケート結果すら、本当なのかどうか疑わしくなります。
私は大阪府民ではないので、この案に賛成でも反対でもありませんけど、
こういった嘘の報道や印象操作はよろしくないなぁと感じます。
子供にこんな大人の汚い世界の話はできない、と言う方も多いかもしれませんが、
意外と進学校の子達って、こういう裏側を知っていたりするんですよ。
割と大人の話についていける子も多いんです。
おそらくは、親御さんが、表面的な事ではなく、現実的な事や、因果関係を日頃からそれとなく教えているのではないかと思います。
というわけで、後半はメディアの印象操作のお話でした。
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