Metamorphosis(メタモルフォーシス) の感想(レビュー)です
かなりのネタバレを含む感想(レビュー)です
見るときに注意してください
エンディングに関する考察も含まれているので注意してください
---------キ-------リ-------ト-------リ---------
【PV】
【感想】
フランツ・カフカの『変身』を題材にしているけど、主人公グレゴール・ザムザの設定ぐらいしか当てはまることがないので、『変身』を意識してプレイしない方がいいと思います
それよりも、どうして虫になってしまったのかをクリアしてから考察してみると楽しいかと思います
字幕の設定が他のゲームとは違ってユニークです
主人公の字幕は最初からオンになっていて、設定の項目にはありません
でも、『背景キャラクターの字幕』という項目があります
この項目はオフになっているので、設定で有効にする必要があります
そうしないと、他のキャラの字幕が出ません
たとえば、下のSSの字幕が表示されなくなります
有効にしないと、主人公が独り言をブツブツ言うゲームになってしまいます
グラフィック・音楽について
あちこちにポスターや絵が飾られているけど虫の世界が舞台となるとユニークです
多分、ナポレオンですね
人間のナポレオンはアルプスを越えたけど、虫のナポレオンは何を越えたのかな?
ポスターを見ると全体主義時代っぽいのかと思います
秘密警察がいたりする時代の…
下のSSの単語はすべて同じ意味で『義務』です
両端は英語、中央はチェコ語です
「労働は義務」と言いたいのでしょうか?
人間が虫になったら不気味な表現になるかと思うけど、このゲームの曲の中には幻想的で、まるで妖精になったかのような雰囲気の曲があります
ただでさえ、虫になってポカンとしているのに、この曲を聞いていると狐に抓まれた気持ちになります
また、スタッフクレジットの歌 The Letter は不思議な魅力があります
スポティファイにサウンドトラックがあるので興味がある人は聞いてみるといいかと思います
≪説明≫
アクションアドベンチャーゲームです
≪操作≫
左スティック:移動
右スティック:カメラ
R2ボタン:走る
L2ボタン(長押し):壁に張り付く
L2ボタン(長押し)+左スティック:登る
L1ボタン・×ボタン:ジャンプ
〇ボタン:見渡す、概要をチェック
□ボタン:調べる、アクション(取る、開く)
□ボタン(長押し)+左スティック:(回転式のギミックを)回転させる
1.メモを読むとき、〇ボタンで拡大 → □ボタンで読む
2.走りながらジャンプすると遠くまで飛べる → R2ボタン(長押し)+×ボタン
≪基本≫
1.画面左上にベルマークが出たら〇ボタンで見渡すと目標がわかる
(1) 目のマークは目標地点、閉じられているときは今は関係ない
(2) 現在地には虫マーク、歩いたところは白い点として表示される
2.黄色の糊や青色のインクの上を通ると画面左下に九個の雫が表示される
(1) この状態になると壁に張り付いたり登ることができる
a.雫を消費しゼロになると粘着力が取れる
壁を登っているときにゼロになると落下する
3.会話
(1) 黄色が主人公グレゴール・ザムザで、白色が相手
(2) オートではなく、□ボタン・×ボタンで進む
(3) 写真にカーソルを合わせると独り言の字幕が出るときがある
4.マルチエンディング:二種類
ゲーム内容について
友人ヨーゼフの家で一泊した主人公グレゴール・ザムザが目覚めたところから始まります
今いる部屋の鍵を探して外に出てから少しずつおかしくなっていきます
そのまま目線が下がっていき、気がついたら虫になっていました
そして、主人公の声が少しずつおかしくなり徐々に聞き取りにくくなります
どうして虫になったかわからない中、ヨーゼフの寝室に辿り着くと知らない人が部屋を物色していました
その後、ヨーゼフ(下のSS:左の人物)が逮捕されたことを知ることとなります
不当逮捕された友人を助けるために、人間に戻る手段がタワーにあることを知り、そこを目指します
タワーまでの道のりは長く、人間の世界と人間がいない不思議な世界を冒険します
人間には主人公や他の虫のことが見えないみたいです
物には干渉するけど、虫を殺そうとしたり追い払おうともしません
まるでいないかのようです
人間の世界にある引き出しが勝手に動いたりするけど人間にはわからないみたいです
まるで現実ではないかのようです
人間のいない世界では、人間が使う物で溢れています
でも、幻想的な世界で自動的に紙が動いています
そんなところを冒険します
虫になっているのに、非常に人間らしいことを要求されます
タワーへ行くために行政手続きが必要だったり、お使いイベントがあったり、虫なのにやっていることは人間と一緒です
また、元人間の虫がたくさんいて人間らしい生活を営んでいます
主人公のグレゴール・ザムザが人間のときに販売員をしていた経験を生かして他の虫達から情報を得たりしていきます
虫目線になっているので視線がかなり低い位置にあります。地面がよく見えます
そのため周囲を把握するのが難しいときがあります
そんなときは、見渡す機能が便利です
俯瞰視点となり、自分の位置と移動した軌跡、そして、ポイントとなる場所が表示されます
よく見えるので活用しました。大活躍です
虫になったことでアクションがやりやすかったです
向こう側にジャンプしたら落ちそうだと思っても大丈夫なことがよくありました
また、急勾配の坂もスイスイ登ることができます
人間では無理でも、虫の足のおかげで引っ掛けてくれるのかもしれません
でも、高所から落ちると死にます。人間以上に高さには気をつけた方がいいです
また、水も危険です
ちなみに、リトライが早く嬉しいです
人間なら短い距離でも虫なら大冒険です
見渡す機能を生かしてルート確認をしつつ探索しました
足に糊やインクをつけると垂直に壁を登ることができます
しかし、逆さまになることはできません
意外と糊の消耗が激しいので、行けると思っても粘着力が切れて落下してしまうことがあります
壁を登り始めるときのカメラアングルが酔いを誘います
ちなみに、PSストアの説明文に、『パルクールや壁登りを駆使して手がかりを探し求め、障害物を乗り越えようユニークな移動手段』(原文の『乗り越えよう』は「乗り越える」かと思います)とありますが、壁登りの場面は少ないです
糊やインクがないとできないので限られます
また、他のパルクールより簡単です
寧ろ、ジャンプアクションゲームとしては簡単な方です
人間とは違って虫なので…
ロード画面中に、フランツ・カフカの言葉が表示されます
このゲームも、フランツ・カフカの『変身』を題材にしているけど、まったく別の物語です
主人公の名前と職業ぐらいかと思います
でも、このゲームでは元職業なので厳密に言うと違います
また、ゲームの中で父親が登場するけど、その会話中に出てくるアスベスト工場はカフカの父親が経営していました
カフカと父親との関係はよくなく、『変身』での関係も同様です
もちろん、ゲームでも同様です
だから、『変身』だけではなく、カフカそのものを題材にしているのかもしれません
でも、カフカに捉われない方がいいと思います
マルチエンディングで2種類あります
エンディングの分岐は『判決』をどこに送るかです
送る場所は、バッドエンディングの方がわかりやすく、もう一つのエンディングは現在のダイヤルを示す範囲に注目するとわかると思います(送る場所は番号ではないということです。上のSSをよく見ると…。光っているところではないです)
解釈については、バッドエンディングの方がわかりやすく、もう一方のエンディングの方が難しいです
ちなみに、もう一方のエンディングがグッドエンディングかどうかがわからないです。トロフィーを見るとグッドっぽいけど友人ヨーゼフがどうなったのかは不明です
バッドエンディングの方の解釈について軽く考察してみます
先程、カフカに捉われない方がいいと言ったのは、これは夢の話だと思うからです
無職になったザムザが友達を売ったことで、罪悪感から虫になる夢を見たってことかと思います
夢の中では虫となって友人を救うけど、現実では……という物語かと、そういうエンディングかと思います
でも、もう一つのエンディングの方の解釈ができていません
バッドエンディングともう一方のエンディング、特にもう一方のエンディングがモヤッとします
その理由は、
1.主人公のことはある程度示唆される
2.目的である友人グレゴールについてどうなったか不明
特に2番が原因です
グレゴールがどうなったかまったくわからないことです
人間に戻ることと友人を救出することが目的なのに、まったく描かないのは肩透かしを食らってしまいます
もしかしたら、納得できるエンディングはないのかもしれません
その他・まとめ
人間の世界で人間が喋ったり動いたりしているけど、1回だけフリーズしました
下のSSでフリーズしたのはキツかったです。気づくまで見つめ合い続けていた自分が悲しかったです (ノ_・。)
ローカライズはバッチリで、会話シーンや独り言が多いのでありがたいです
ただ、文章量が多いとはみ出ることがあり何を言っているかわかりづらいです
ボイス付きだけど虫語なのでわかりません
字幕が表示される空白は3行あります
実際に会話しているように表示されるので、相手側の会話文が3行表示されるかどうかはわからないので待たないといけません
虫語より遅く表示されるので、もう少し早い方がよかったです
ちなみに、相手の会話は矢印が出るまで待つことになります(出ないときもあったけど…)
トロフィーはローカライズされていません
また、決定ボタンが〇ボタンになっています
主人公をはじめ他の虫達は甲虫だと思います
他の虫はリアル寄りではないので問題はないと思います
一人称視点なので自分の姿はわからないけど、移動中や止まっているときにリアルっぽい足が画面に見えるので虫嫌いにはキツイかもしれません
動きもカサカサ移動だし…
ジャンプアクションゲームやパルクールとしては簡単な方です
便利な見渡す機能を使う場面が多くなると思います
カフカの『変身』をベースにした作品だけど、『変身』のようなゲームを期待していた人には合わないかと思います
しかし、アドベンチャーゲームとしてはよくできています
先が気になる物語です
それだからこそ、エンディングが曖昧すぎるのは残念です
グレゴールの行方だけでも教えてほしかったです
お勧めです
【評価】
○:幻想的な音楽、グラフィック
○:世界観
〇:優しめなアクション
×:虫嫌いにはキツイ
×:モヤッとするエンディング