不入斗とは何なのか 2 | protoplastico surfboards & designs  

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不入斗をめぐる調査の二回目は、

不入斗=神社の保護によって免租された領田という説を検証します。



743年、墾田永年私財法が制定されると貴族・社寺の開墾によって墾田地系荘園が発生しました。

簡単に言えば、開拓した土地はずっとその人の所有物にしていいよ、という法律です。

その代わりとして朝廷は、各荘園から税を徴収しました。日本国における不動産と徴税のしくみの原点です。

この頃の徴税の方法としては、国の役人が荘園に赴き、その土地からどれ位の収獲があるのかを調査して税率を決めていました。

税があれば、当然の如く脱税しようとする輩が出てきます。

それが不輸・不入の権(ふゆふにゅうのけん)で、不輸の権とは租税を国に納めなくてもよい権利、不入の権とは国の役人が荘園に立ち入ることを拒否出来る権利です。

これらの特権により荘園領主の支配権は強力なものとなっていきます。

そんなことを遥か昔に歴史の教科書で学びましたが、この【不入の権】と【不入斗】がなかなか繋がらなくて、色々と回り道をしてしまいました。

【不入斗】を分解すると、不入の免租地を示す【不入】と、米を入れる升10個分の量を示す単位【斗】です。18リットルを一斗缶っていいますよね。

【不入斗】は昔は《ふにゅうと》と読まれていたという説があり、それならば不入斗=免租地という説明も納得がいきます。

この時代、特権を持った貴族や寺社はその後もどんどんと増え続け、朝廷は国政に困ってしまいます。

そこで菅原道真の失脚後に、醍醐天皇が国司を各地に派遣し取り締まりを強化することにします。

荘園整理令です。
これは今で言う所の マルサ ですね。


と言う事は、不入斗という地名は力を持ちすぎた貴族や寺社を天皇が抑えるために902年(延喜2年)に出された荘園整理令の特例対象となっていた土地だという事になります。

そして、その頃の有力な寺社をまとめたものが【延喜式神名帳】です。

これは今で言えば、【927年版 全国神社マップ】 みたいな本です。寺社のランク分けがされており、一宮とか二宮とかで神社の偉い順を決めたもの。

延喜式神名帳に書かれた数は全国2861社。まさに完全保存版パーフェクトガイドです。なんせ千年以上も残っているんですからね。

そして、【不入斗】が通説通りに寺社の保護を受けた領田だとすれば、延喜式神名帳に記載されている古い寺社が近くにあるはずです。

由来がわかっているものとしては、富士浅間宮の領田である静岡県袋井市にある不入斗。

富士浅間宮の創建は807年。
当初は「山名神社」と呼ばれていたのが後に富士浅間宮に改称したらしいです。神社の所在地が袋井市国本字不入斗。

大田区大森の旧不入斗村の辺りには、磐井神社という古い神社があり、社格は旧郷社。延喜式には武蔵国の総社八幡宮として記載されています。

市原市姉ヶ崎の不入斗の近くには島穴神社があり、これは弟橘媛の遺志に従って作られた神社なので創建は110年。入水の当年に建てられてます。

おっと、富津市の不入斗の隣の横山には橘神社が。

ここ、ノーマークだったなぁ。橘神社なのに。

おおっ!横須賀市の不入斗には御嶽神社が。
御嶽神社なら祭神はヤマトタケルです。



何だか面白くなってきたぞ。


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