仕事を進める上で、「あの件、伝えておいたはずなのに」という事態に直面することはありませんか。
現場のコミュニケーションでは、「言ったつもり」という発信者側の思い込みが、
大きな認識のズレにつながることがあります。
私自身、社内の情報共有において、共有漏れを起こしてしまった苦い経験があります。
ある時、一部のメンバーと顔を合わせて直接口頭で話した内容について、
自分の中ではすっかり「他のメンバーにも同じように話した」気になっていました。
頭の中では全員に共有したつもりでいたのですが、後になって、
その情報が届いていなかった担当者から「その件については聞いていません」と言われました。
その瞬間、「またやってしまったか」と、自分の中にある「言ったから伝わっているはず」という
思い込みの根深さを痛感しました。
これまでは、「伝えたつもりだった」で終わらせていました。
しかし振り返ると、「誰に伝えたのか」が曖昧なまま、自分の中だけで「共有できた」と思い込み、
その後の確認まで意識が向いていなかったのだと思います。
これは単なる連絡漏れではなく、発信者側の「伝えたつもり」という思い込みが生んだ認識のズレでした。
■ 「言ったつもり」が起きてしまう4つの原因
振り返ってみると、自分の中にはいくつか共通する思い込みがありました。
① 「誰に伝えるか」が曖昧
「みんなに言った」「その場にいる全員に向けて話した」と思っていても、
実際には「誰に伝えたのか」が曖昧になっていることがありました。
私自身も、誰かに話したことで「全員に共有した」と思い込んでいたことがあります。
しかし、誰に向けた話なのかが明確でなければ、聞いている側も「自分への話だ」と受け取りにくく、
「誰かが対応するだろう」と考えてしまうことがあります。
② 「伝えた」と「伝わった」を同じだと思っている
私は、一度話したことで、「伝えた」=「共有できた」と考えていました。
しかし、実際には「伝えたこと」と「相手が同じ認識になること」は別のことでした。
自分の中では理解できている内容でも、相手にとっては初めて聞く話かもしれません。
一度聞いただけで内容や背景まで理解し、同じ認識を持つことは簡単ではありません。
③ 相手の状況を考えずに伝えている
私は、思いついた時に伝えないと後で「何だったっけ」と忘れてしまうことがあるため、その場ですぐに話していました。
しかし、その時の相手が話を受け取れる状況かどうかまでは考えられていませんでした。
忙しい時や別の作業に集中している時は、返事があっても内容まで十分に認識されていないことがあります。
自分が伝えやすいタイミングではなく、相手が受け取りやすいタイミングを考える必要がありました。
④ 相手の理解を確認していない
私は、一度伝えたことで、自分の役割は終わったような感覚になっていました。
そのため、相手がどのように理解したのか、認識にズレがないかを確認するところまではできていませんでした。
情報共有は、「伝えた」で終わるものではありません。
相手が内容を理解し、同じ認識を持てて初めて、情報共有ができたと言えるのだと思います。
そのためには、伝えた内容が相手にどう伝わったのかを確認することも大切なのだと思います。
■ 個人の意識ではなく、「伝える仕組み」に落とし込む
私自身、こうした出来事を経験する中で、「伝えたか」ではなく「相手に伝わったか」を意識するようになりました。
自分の中では「100%伝えた」と思っていても、相手が正しく受け取っていなければ、現場の仕事は前に進みません。
この思い込みによる認識のズレを防ぐため、現在当社では、関係者全員に知っておいてほしいことや、
対応してほしいことについては、「チャットツールなどでのテキスト共有」と「それぞれに直接話す」という方法
を組み合わせて伝えるように改善しました。
二重の手間には見えますが、文字として記録に残した上で、口頭でも本人に直接伝えることで、
「言ったつもり」のまま終わることを防ぎやすくなります。
どちらか一方だけに頼るよりも、結果として認識のズレを防ぎやすいと感じています。
これは個人のコミュニケーション能力だけの問題ではありません。
「言ったつもり」を防ぐための手順を、組織の小さな「仕組み」として定着させることが重要です。
誰に何を伝えたのかを後から確認できる状態にしておくことで、記憶の曖昧さを補い、
認識のズレや手戻りを減らすことができます。
「言ったつもり」は、誰にでも起こり得ます。
だからこそ、個人の記憶や感覚だけに頼るのではなく、「誰に・何を・どのように伝えたのか」を確認できる仕組みを
持つことが、「言ったつもり」による認識のズレを防ぎ、仕事を円滑に進めることにつながるのではないでしょうか。
私がなぜ、ここまで「現場のすり合わせ」や「人と組織の関わり方」にこだわるのか。
その背景にある想いや仕事への向き合い方を、以下のページにまとめています。
よろしければ、ぜひご覧ください。
【代表 青木優介の取扱説明書(プライベート)】
https://www.pro-tean.com/message