ターミネーターやマトリックスで描かれる、人類とAIとの悲惨な戦いについて、絵空事、と、一笑に付しにくくなるような一種の怖さを持った本です。
人類の共通資本を増大させるために、市場の論理が最も優れているであろうことは、歴史的に証明されていると見て良いのだと思います。
ただ、その結果増大した資本を偏在させることを目的に据えた12世紀末から現在まで続く、現時点での資本主義が時代の流れとともに高度に洗練されていくと、
新たな欲求の喚起→欲求のサービス(商品)化→大量の労働力投入による大量のサービス提供→大量消費への事実上の強制、を通じて労働から得られた賃金等の報酬を際限なく吐き出させ、還元を極小にすることにより、偏在という目的を達成する。
という、システムそのものも、極めて高度に洗練されていく、ということのようです。
それが究極まで高じた場合、時代が進むほどに不安・不満の程度も高じてくる労働者の数も増加することになり、その不安・不満を効率的に解消することができない国家・政府への不信が高まりきったときに、決して手放してはいけないはずの行政サービスですら(安全保障、司法、警察機構、医療、福祉等)それを円滑に遂行するための税収が確保できないことを、直接かつ最大の原因として、間接民主主義を通じて、つまり圧倒的多数の労働者の不満・不安を契機とした投票行動により、議会の多数派を構成して、それらを市場の論理の手中に納めさせる可能性が出現するというわけです。
これが、もし数十年間のうちに現実の動きとなってくれば、映画を笑う気にはなれないと思いませんか?私は、なれません。
人類の共通資本(気候、大気、水、食糧、自由、民主主義、文化、言語、知識等)を市場の持つ競争の原理により効率的に増大させた後、自己への偏在を所望するのではなく、超国家、地球規模で、あまねく各人が個人の尊厳を保つため、公平な分配を行うためには、やはり地球規模での政府にあたる機構の構築が必要とされていくのでしょう。国連が土台になるのかもしれません。
まあ、一言でいえば、利己から利他愛への転換、というだけのことですよね。
スピな人にとっては、あまりにも普通の結論なのですが、これがなかなか…。
なんせ、800年以上続いてきたわけですからね。
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発売日:2008-08-30
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