#2971 忠義 | プロパンガス

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つかこうへい追悼シリーズ第19弾
つか版・忠臣蔵


小説家・つかこうへいの作品の中で、僕が一番好きなものの一つ。

『仮名手本忠臣蔵』は、赤穂浪士たちの討ち入りをストーリー化したものではない。

近松門左衛門へのライバル心に燃える宝井其角が、みずから描いたストーリーどおりに赤穂浪士たちを操り、討ち入りさえた。

ストーリーありきの討ち入りだった。

そういう設定で書かれた小説だ。

室井其角が討ち入り前夜、赤穂浪士の一人・大高源五に会ったという史実に基づき、ここまで話を膨らませるストーリー・テラーとしてのつかこうへいには、ほんとに恐れ入る。

いかにもつかこうへいらしい、つかこうへいにしかかけない小説なんだろうなと、読みながらしみじみ想った。