これからの「正義」の話をしよう
著=マイケル・サンデル
訳=鬼澤忍
ベストセラーになるのも、理解できる。
「哲学」の本で、これほど読みやすい本も珍しいだろう。
翻訳者の力量をひしひしと感じる。
鬼澤忍さんが翻訳した他の著書も、読みたくなってきた。
さて、内容はと言えば。
邦題の「これからの『正義』の話をしよう」とは裏腹に、これまでの歴史上の「正義論」を羅列している。
著者マイケル・サンデルのコミュニタリアンとしての持論に都合のよい事例だけを集めて、読者を誘導しようとする。
「カレー味のウンコと、ウンコ味のカレー、食べるならどっち?」みたいな究極の選択で読む者を煙に巻き、思考力を奪った上で、刷り込みを図ろうとする。
「正義」とはおおよそ正反対の著作。
アメリカのアホな学部生ぐらいならごまかせても、まともな日本の大人はこんなものには騙されない。