中島聡さん、『Software is beautiful』の中の一節。
「米国のソフトウェアビジネスにとってのソフトウェアエンジニアは,球団経営における野球選手のような存在。ストックオプションなどを駆使した魅力的な雇用条件を提供して優秀な人材を集め,スポーツ施設や無料のレストラン,広い個室などの心地良い労働環境を提供して,彼らの生産効率を上げることが,ビジネスを経営するうえで最も大切なことの一つである。」
僕はアメリカ流のこの考えを、否定しない。
否定しないどころか、もっともだと想う。
ただ、優秀な人材を集めるのが重要なのは、ソフトウェアビジネスだけとは限らない、と想う。
どんなビジネスだって、同じだ。
「付加価値を産み出すことのできる人材が能力を最大限に発揮できる環境」を整えることが、経営の役割。
つまるところは、人。
結局は、人材。
そういう話をすると、ほとんどすべての人が同意してくれる。
だけど。
日本にはそういう企業が、ほんとに少ない。
能力を最大限に発揮するどころか、ルールやコンプラで人材をがんじがらめにしてしまう。
社内の上下関係だとか、縄張り争いだとか、バカバカしいことのために労力を費やしたり。
稟議書を作成・回覧したり、頭の古い重役たちへの説明のためのパワポをつくったり。
1円にもならないし、顧客利益にもならないし、従業員利益にもならないし、株主利益にもならない。
こんなことやってて、勝てるわけない。
それでいて、政治が悪いとか、日銀が悪いとか、文句ばっか。
ちゃんちゃらおかしいよ。