「民主党には成長戦略がない」と言われる。
あるいは、「民主党の成長戦略には具体策がない」とも。
それは、そのとおりだろう。
では、自民党時代には、成長戦略があったのか。
少なくとも“有効な”成長戦略というのは、あったためしがない。
おそらく敗戦直後の『傾斜生産方式』以後、この国にはまともな成長戦略などなかった。
なかったけれど、1990年頃までは、概ね順調に成長することができた。
それは、国や政治が、経済に余計なちょっかいを出さなかったからこそ成長できたとも言える。
国が育てようなどとしなかった産業だけが成長することができた。
国が保護しようとした農業などは、見てのとおりの有様だ。
目を国外に転じてみる。
日本以外のどの国に成長戦略があるのか。
アメリカには『グリーンニューディール』とかいうものがあるが、これまでのところ何ら目立った成果は挙げていない。
「ドイツの成長戦略」とか「フランスの成長戦略」とか、そんなものも聞いたことがない。
せいぜいイメージできるのは、「ドバイの成長戦略」ぐらい。
国家に成長戦略など必要ない。
必要なのは、民間の自由な経済活動を阻害しないことと、セーフティーネットを整備することだけ。
そういう意味では、民主党の成長戦略がまったくピンボケなのは、むしろ歓迎すべきこと。
政府がまったく的外れな政策に没頭していてくれれば、民間は邪魔されず果敢な挑戦を続けることができる。
たとえば。
日本に世界一のスパコンが本当に必要なら。
国がスパコン事業に一切関与しないということが、かえって近道になる。
ってなことを考えさせられた1冊だった。