昨日の日経新聞の社説2本のうち1本は、贈与税の減税を求めるものでした。
これには、大賛成です。
個人金融資産1400兆円のうち約6割は高齢者の手元に滞留してしまっています。
そこの大きな原因の1つは高すぎる贈与税と安すぎる相続税のアンバランスにあります。
親が生きている間に財産を子に贈与してしまうと、最大50%という、懲罰的な税金を取られてしまいます。
一方、亡くなってからの相続であれば、かなりの金額までが控除対象となり、税金がかかる場合でも贈与税よりはずっと安い税率が適用されます。
これでは、お年寄りが生きているうちに財産を子に譲ろうなどと考えるわけがありません。
結果として、お年寄りは使い切れないほどの財産を抱え、逆に子育てやマイホームのためにいくらお金があっても足りない世代の手許には貯金すらないというようなことになってしまっています。
しかも高齢化の進展により、相続が80代の親から50代の子へとなされるケースが増えており、お金をあまり使わない世代のところでだけグルグル回っているということも多いようです。
この流れを、なんとか変えなければなりません。
極論ではありますが、いつも主張しているように、世代間相続の税率を100%とするのがひとつの方法です。
親の財産が死後、子のものになるという合理的な理由はありません。
班田収受法以来の伝統に則り、死後は全財産を国に返納すべきです。
そのかわり、贈与税の税率をグッと引き下げます。
祖父母が孫の教育費を支援する場合などは、非課税でもいいかもしれません。
そのことにより、それほどたくさんのお金は必要ない世代からお金の必要な世代に財産が移転しやすくするようになることが狙いです。
「お金は三途の川の向こうには持って行けない、子に残すこともできない。子に残すべきはお金でも美田でもなく、教育」ということが普通に語られるようになるのがいいと考えています。