今年のアタマ頃の記事で、友人の石川君(仮名)
のことを紹介した。
彼は30代半ばで人気の青葉区に一戸建てを構えてしまうほどだから、もちろん高給取り。
名前を聴けば日本人で知らない人はいない、“超”のつく一流企業で出世街道を驀進している。
とは言え、一般的なサラリーマンの給料の水準を逸脱するようなものでもなく、住宅控除で生涯初めての確定申告を経験したのは、プロパンガスを含む一般庶民と同じ。
そして多くの一般市民同様、35年の住宅ローンを抱えている。
石川君の例に限らず、どうして年収の何倍もの、返済に何十年もかかるような借金が可能なのか。
貸す側からすれば抵当を打ってあるからということになるだろうが、借りる側は通常、返せなくなって抵当で清算ということは想定していない。
では、どうして、この借金が可能なのか。
それは、借金の金額が年収の何倍もある巨大なものだとしても、生涯賃金に比べればその何分の1かに過ぎないからだ。
すぐに返せるような金額ではなくても、一生かけてならじゅうぶんに返せる範囲の金額なら借りてみるのも悪くないという判断だ。
そして石川君のこの判断には、定年まで(あるいはそれ以後も)今の会社で働いて、給料をもらい続けるという大前提がある。
会社が潰れたり、あるいは石川君自身が解雇されたりということは、ないものとして人生設計を組みたてている。
こんな時代だからその通りにはいかない可能性だってなくはないのだろうが、かなり高い確率で石川君は定年まで働いて住宅ローンを完済するのだろうと、プロパンガスもそう推測する。
そういう長期構想が可能なのは、やはり石川君の勤める会社が終身雇用という制度を今も守っているからだ。
「終身雇用制こそ最大のセーフティネット」とは小沢代表の言葉だが、いやはや、終身雇用とは無縁の人生を選択したプロパンガスに、セーフティネットは何もない。
幼い子を抱えながら40歳にリーチのかかった今、終身雇用がまったく羨ましくないと言えばウソになる。
だが、安定なんぞを求めた瞬間、男は男でなくなる。
まだまだこの人生、2つや3つはデカい勝負をするぞとみずからを奮い立たせてみたりしている今日この頃なのだ。
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一生懸命働く意欲と能力があり、世の変化にも柔軟かつ積極的に対応していこうという人がもしも望むなら、終身雇用に近い制度を選択できる仕組みづくりは必要かもしれないね。