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- ライブドアとの闘いの日々―こいつら初めからインチキだった!!
良い悪いではなく、あくまでも趣味の問題なのだが、他者を批判する時に、「モラル」とか「品格」とかいう言葉を、
本気で遣う人のことは信用できないと想っている。
「モラルハザード」とか「品格ある~」とかいうのは、流行りだからギャグで遣うことはよくあるんだけど、本気で遣うかね、そんな言葉。
ルールに反しているわけでもないヤツを批判するのは、ほとんどの場合は保守的というより保身的な行為だ。
旧来の価値観に合致しない新参者は、たとえルールに反していなくても排除するという、ものすごく懐の狭い、肝っ玉の小さいヤツのすること。
そういう時にやたらめったら遣われるのが「モラル」だったり「品格」だったり「マナー」だったりする。
この本を出した二階堂ドットコム は、サイト上では、相手がライブドアであっても新宿署であっても、どういう行為がどういうルールに反しているからいけないと、かなり具体的に突っ込んで書いてある。
が、この本に限って言うと、やたらライブドアという会社やその関係者たちの道徳心のなさばかりを批判するような文章が目立つ。
具体的な例を挙げてルール違反を指摘している箇所でも、一般マスコミやサイト上で暴かれていることばかりで、表に出ていない暗部でライブドアがどんな悪いことをやっていたのか二階堂ドットコムならもっといろいろ摑んでいるはずなのに、それらには一切触れようとはしていない。
ライブドア事件の真相が、粉飾決算や風説の流布などの純粋に経済上の犯罪、あるいは与党幹部、反社会的組織との共謀といった表面的なことだけでないのは、誰もが感じていること。
ことの真相に触れることのないまま、すでに報じられている表面的な悪事を並べているだけというのは、むしろ真相追求にとっての煙幕になってしまう怖れがあり、そもそもそういう効果を期待しているのではという疑いの念を抱いてしまうことがある。
そうそう、
- ジェネオン エンタテインメント
- 華氏 911
も、そうだった。
この映画は、ブッシュのマヌケ度合いを笑うという形態をとりながら、「911」がまるでサウジの犯罪であるかのように描き、そのことでネオコンの果たした役割を見事に隠蔽することに成功した。
二階堂ドットコムが、真相究明妨害の使命を帯びているなどとは想わないが、それぐらい、表面的な事柄しか書かれていない本だった。
知りすぎているがゆえに書けない、ってことなのかもね。
それならそういう事情が解らなくもないんだけど、だったら想わせぶりな本、出すなよ。
1260円はかまわないけど、読むのに要した3時間がもったいないじゃないか。