#1087 格差・3 | プロパンガス

プロパンガス

いっしょうけんめい働いた人が
せめてビールぐらいは安心して
本物を飲める世の中をつくろう

ニート問題を論じる時に絶対に忘れてはいけないのは、ニートの人たちの声をしっかり聴くことだ。


その前に、「フリーター・ニート問題」というふうに一括りにして論じられることが多いけど、フリーター問題とニート問題は、全然別の話でしょ。


ってか、フリーターというのは就労スタイルの形式の1つであって、個々の人の人生設計としてはともかく、社会問題として扱うべき問題ですらない。


もちろん、フリーターであってもニートであっても、本当は正規雇用の賃金労働に就きたいんだけど、働きたくても仕事がないというような人もいるわけで、そういう人には国としてなんとか策を施さないといけないのかもしれないけれど、それは、まあ、若年層だけを捉えてどうこうではなく、国の経済政策全体で考えていく問題だ。


純粋な経済問題、経済政策ね。


しかし、いい感じに景気が回復しているこの時期に合わせて、来年以降団塊世代の大量退職も控えているから、日本全体として労働力の絶対量が不足するわけで、「本当は働きたいフリーターやニート」の人たちの問題は、意外と簡単に解決するかもしれない。


で、おそらく、ごく一般的な人が「フリーター・ニート問題」と聴いて頭に描くのは、「いい歳して仕事にも就かず、働く気力もない若者」のことなのだろうけど、これはもうねえ、国の成熟の結果としか言いようがないよね。


少子化問題と似てるんだけど、日本経済がピーク時に比べて少し悪くなったことが原因じゃなくて、仕事もしないような人を国として養っていける段階まで2000年かけて成熟してきたってことなんじゃないかな。


言ってみれば、貧しさではなく、豊かさゆえの現象かと。


それを、貧しさが原因だと履き違えたまんまでどんな対策打ったって、根本的な解決なんかできやしないんだと想うよ。


で、有効求人倍率が1倍を超えてきた今となって、それでもニートでいようっていうのは、もはやそれは本人の人生観なわけで、それをまわりや国がけしかけて、世知辛い賃金労働なんかに追い込むことなんてこと、必要かね?


賃金労働になんか就いていないから得られる考え方や感じ方みたいなものもあるわけで、そういう人の中から突然、芸術家とか、すごい哲学者みたいなのが生まれるかもしれない。


その可能性をみすみす殺すなんて、もったいなくない?


それでも、どうしても、彼らがどうやったら仕事するようになるか考えたければ、それはもう、経済学や政治学の力でどうにかなることではなくて、たぶん心理学とかの得意分野だろうから、そういう方面からのアプローチが絶対に必要になってくる。


たとえばプロパンガス自身も、好きな女の子のためにがんばって働こうと想わないような男の子の気持ちは、皮肉でも何でもなく、純粋に全然解らないわけで、そういう人たちのことを理解しようと想えば、まずはニートの人たちの話を聴くところから始めないといけないんじゃないかな。


頭でっかちばっかりが何人集まって議論してみても、価値観の違う人のことなんか、なんにも解りゃしないもんね。


ニートのことは、ニートに訊いてみようよ。