Project Nyx女歌舞伎第三弾は『小栗判官と照手姫』!
本日のブログ担当は、染谷知里です。
女歌舞伎シリーズへの出演は第一弾『新雪之丞変化』、第二弾『さんせう太夫』に続き3回目。
実はコンプリートしております。
せっかく全部出演させていただいていますので、
これまで感じてきたProject Nyx女歌舞伎の魅力と今回の作品の面白さについて書いてみようと思います!
↑今回は小栗を陥れる悪役・三郎の役です。そういえば女歌舞伎は3作すべて男役での出演ですね。
【ドラマティックな構成・演出×かぶいて魅せるアングラ精神】
和物のお芝居、というとどうしても時代劇をイメージされるかもしれません。
義理と人情、世話物、チャンバラ・・・?キーワードはいろいろありますが、
なんとなく古そう、現代劇よりわかりにくそうと思っている方もいらっしゃると思います。
でも!!Nyxの女歌舞伎を観る上ではいったん思い浮かべたキーワードを全部捨ててください。
たしかに昔から伝わるお話を下敷きにしてはいますが、女歌舞伎は「時代劇」という前に「アングラ演劇」です。
「無償の愛」「復讐」「因縁」・・・物語のキーとなる要素をめいっぱい拡大して、ドラマティックに、そして華やかに描きます。
時には等身大人形の幻想的な舞で、時には最高にロックな三味線演奏で、また時には妖艶な群舞で。
さまざまなジャンルの表現を貪欲に取り入れ「ごった煮」にしながら、言葉ではとらえきれないイメージの世界を描いていきます。
演出・金守珍はよく「見えないものを見る」「現実の生活では忘れてしまう、とらえられないものを描く」と言いますが、このイメージ表現こそが金演出の醍醐味であり魅力であると思います。
↑女歌舞伎第二弾『さんせう太夫』より 等身大人形を使った表現
同時に、個人的な感想ではありますが、女歌舞伎シリーズは比較的わかりやすいのもいいところだと思っています。
ベースが古典なので抽象的になりすぎず、お話の筋が追いやすいというか・・・難解になりすぎないのが推しポイントです。今回も役者の台詞・掛け合いをお楽しみいただけるはずです!
百聞は一見に如かず!和物だから・・・と敬遠せず、ぜひド派手でドラマティックな女歌舞伎の世界を覗きにきてください!
【第三弾・小栗判官と照手姫の魅力!超劇的展開と人形・三味線による美麗表現】
説教節や歌舞伎の題材として有名な小栗判官伝説。
昔話の類だと思うのでネタバレを気にせず超簡単なあらすじを書くと(読みたくない方は一瞬目をつぶってスクロールしてください)
伝・岩佐又兵衛作 をくり より引用
あらすじ
無鉄砲な貴族・小栗判官が美しく聡明な照手姫と運命の恋に落ちる。
掟破りの報いを受け、一度は命を落とすが閻魔大王の計らいにより餓鬼のような姿(餓鬼阿弥)で復活!
聖地・熊野で沐浴して元の姿に戻るため、土車に乗り人々の手を借りて熊野まで引いていってもらうことになる。(現在の神奈川県から和歌山県まで台車で移動するという壮大な旅!!)
一方、実の親により相模川に流された照手姫は、助かった先で人買いに売られ、美濃(岐阜)で壮絶な下働きをしていた。
苦しい生活の中でも美しい心を失わずにいた照手。
ある日熊野に引かれていく餓鬼阿弥と出会い、小栗だと気づかぬままに亡き夫の冥福を祈り土車を引く・・・人に買われた身の上であるため熊野まで引いていくことはできないが、一緒にいる間は無償の愛を注ぎ続けた。
たくさんの人の手を借り、長い時を経て熊野にたどり着いた小栗は無事復活!道中助けてくれた下女が照手姫であったことを知り、涙の再会を果たす。自らを毒殺した敵にも復讐し、天寿を全うするまで幸せに生きるのであった。
ざっとこんな感じです。
が、今回の『小栗判官と照手姫』、だいぶ違います。
白石征先生の本は時系列が大胆に書き換えられていて、
悲劇のシーンを冒頭に、照手姫を軸としながら、餓鬼阿弥との愛の道行を通して過去が明らかになっていく・・・という謎解きのような構成になっているのです。
残酷で悲劇的な「あの日の出来事」と、無償の愛による救い。
昔話の小栗はどうしても勧善懲悪というか、すべてがうまくいって終わるお話のように見えますが、
今回の脚本ではきっと違う印象を受けると思います。
ドラマティックで心震える、新しい小栗の物語です。
また、『さんせう太夫』に続き、世界的な人形師・百鬼ゆめひなさんと、津軽三味線世界一の駒田早代さんが出演されます。
生きているようにしか見えない人形の表情、激しく、時に切なく響く津軽三味線の響き!稽古でも思わずため息が出てしまうほど素晴らしいです。
これをスズナリや遊行寺本堂で見たらどうなっちゃうのだろう!?と出演者でありながらドキドキワクワクしています。
あらゆる表現を通し、中世特有のカオスで複雑な雰囲気が感じられると思いますので、ぜひぜひご覧ください!
劇場で、遊行寺で、お待ちしております。
染谷知里
チケット予約は
劇団公式は以下より:
染谷扱いで予約してくださる心優しき方は以下より:
『女歌舞伎 小栗判官と照手姫』
作:白石征 演出:金守珍 構成:水嶋カンナ
●日程
2024年2月8日(木)~14日(水)
2月8日(木)19:00
9日(金)14:00
10日(土)14:00 / 19:00
11日(日)14:00
12日(月)14:00 / 19:00
13日(火)14:00 / 19:00
14日(水)14:00
※受付は開演の45分前、開場は30分前
●劇場
下北沢 ザ・スズナリ
東京都世田区北沢1-45-15
Tel.03-3469-0511
小田急線・井の頭線下北沢駅東口・京王中央口 徒歩5分
●東京公演チケット料金(全席指定)
一般前売5,000円 当日5,500円 U25 2,500円
U25は限定席・前売当日共。当日受付にて身分証明書・学生証をご提示ください。
【藤沢公演】
●日程
2024年2月17日(土),18日(日)
2月17(土) 13:00 / 17:00
18(日) 14:00
※受付は開演の45分前、開場は30分前
●会場
遊行寺本堂
神奈川県藤沢市西富1-8-1
Tel.0466-22-2063
JR東海道本線・小田急江ノ島線・江ノ島電鉄 藤沢駅北口より徒歩約15分
小田急江ノ島線 藤沢本町駅より徒歩約20分
●藤沢公演チケット料金(全席自由・整理番号付き)
一般前売4,500円 当日5,000円 U25 2,500円
U25は前売当日共。当日受付にて身分証明書・学生証をご提示ください。