↑白石征『母恋い地獄めぐり しんとく丸 さんせう太夫』帯
『さんせう太夫』というタイトルを見て『さんしょうだゆう』と読めなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
漢字で書けば『山椒大夫』、もともとは説教節(中世末から近世にかけて広まった語り物の芸能。仏教説話に節をつけて音楽のように語ったもの。)ですが、1915年に森鴎外が小説化(中央公論に掲載)したことで現代でも広く知られる作品となりました。
1954年には溝口健二が映画化しヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲得、1961年には東映アニメ映画『安寿と厨子王丸』も公開されたので、映画作品としてご存知の方も多いでしょう。
しかし実は、説教節の『さんせう太夫』と小説や映画の『山椒大夫』はあらすじが違います!
私は中学生時代教科書で『山椒大夫』を読んで
「坂の下の沼の端で、小さい藁履(わらぐつ)を一足拾った。それは安寿の履(くつ)であった。」という一文に衝撃を受けたことを覚えているのですが、説教節にはそのシーンがありません。
逆に小説ではカットされていた残酷な場面があり、森鴎外の端正な筋書きと比べると「因果応報のドラマティックな物語」という印象を受けました。
今回のProject Nyx女歌舞伎では説教節を下敷きとした白石征さんの脚本を上演します。
寺山修司の短歌も挿入されており、非常に演劇的で見ごたえのある作品ですので、小説・映画版で『山椒大夫』を知っている方にこそぜひご覧いただきたいです!!
苛烈な復讐と、家族愛・・・・・・安寿・づし王一家、山椒大夫一家、二つの家族を通して描く壮大な人間ドラマに胸震える……はず!!
青年になったづし王の姿にもご期待ください。
また、Project Nyxらしく、女性の強さ・美しさを前面に出したショーシーンもございます。
哀しいお話では終わらないアヴァンギャルドで妖艶な『さんせう太夫』。
Nyxファンの方も、そうでない方もどうかお見逃しなく!
感染症対策を徹底して2/6から開幕いたします。
※本公演の感染症対策についてはこちら
※上演に向けた代表・水嶋カンナのメッセージはこちら
生身の人間を通してしか表現できない熱を、そして身体を震わす音を、ぜひ感じてください。
本作の見どころは『等身大人形が舞い、三味線にうなる。時代劇の概念がひっくり返る?!『さんせう太夫』の魅力』でもご紹介しています!
ご予約お待ちしております!
~~~公演概要~~~
Project Nyx第23回公演
『女歌舞伎 さんせう太夫~母恋い地獄めぐり』
作: 白石征 / 短歌: 寺山修司 / 構成:水嶋カンナ /
Project Nyxの女歌舞伎第二弾「新雪之丞変化」に続き『さんせう太夫』
公演ホームページ
●出演
山崎美貴(文学座) / 水嶋カンナ / のぐち和美(青蛾館)
●公演スケジュール
<期間>
2022年2月6日 (日) ~2022年2月13日 (日)
<公演日・開演時間>
2月6日(日)14:00/19:00
2月7日(月)19:00
2月8日(火)14:00/19:00
2月9日(水)14:00
2月10日(木)14:00/19:00
2月11日(金)19:00
2月12日(土)14:00/19:00
2月13日(日)14:00
※開場は、開演の30分前
●会場
下北沢ザ・スズナリ
●チケット
前売:4,800円 当日:5,300円
U22:3,800円
(全席指定・税込)
染谷知里(幼少期・づし王役)