後家づくりの仕事
優秀な人たちが連続して失敗する仕事は
後家づくりの仕事である。
後家づくりとは、一九世紀のニューイングランドの船乗りたちが、連続して大事故を起こした船につけた名である。船主たちはその船を思い切って解体した。
今日では、優秀な人たちが連続して失敗する仕事が後家づくりである。いかに優秀であろうと、次の者も失敗することは確実である。ここで行うべきことは、その仕事を廃止し、仕事の内容を再構成することである。そのような仕事は、組織が急成長したときや、大きく変化したときに生まれやすい。
そのような例を私はたくさん目にしてきた。学生に教えることが専門だった単科大学が、わずか一〇年で研究も手がける総合大学に成長したとき、二人の学長と何人かの学部長が挫折した。この二つのポストが後家づくりの仕事でなくなったのは、大がかりな組織改革の後だった。
通常、後家づくりは偶然から生まれる。たとえば、たまたま一人の人間のなかにはなかなか見られない二つの資質を併せもつ者が、うまくこなしてしまったために生まれる。当然のことと思われていた仕事が、属人的な偶然の産物だった。そもそも同一の個性の者を探すことは不可能である。
(『マネジメント-課題、責任、実践』、eラーニング教材『人を活かす人事の意思決定』)
ACTION POINT
あなたの組織に後家づくりの仕事はないでしょうか。
組み立てなおすか、廃止してください。
後家の意味が分かりません。
ここではどういう意味で使われているのか分らない。
来年の今日には分かっているだろうか。
人事
山あるところには谷がある。
人事は大きな賭けである。しかし、それぞれの強みに焦点を合わせることによって、合理的な賭けにすることはできる。優れた人事は人の強みを生かす。できることを中心に据えて、異動を行い昇進させる。人事において重要なことは、人の弱みを最小限に抑えることではなく、人の強みを最大限に発揮させることである。
大きな強みをもつ者は、ほとんど常に大きな弱みをもつ。山あるところには谷がある。申し分ない人間などありえない。そもそも、何について申し分ないかが問題である。
無難にこなす能力ではなく、一つの分野で抜きん出た能力を探さなければならない。人が抜きん出ることのできるものは一つか、せいぜい二つか三つの分野である。よくできるはずのことを見つけ、実際にそれを行わせなければならない。
弱みそれ自体が大きな意味をもつ領域は一つしかない。真摯さの欠如である。真摯さそれ自体だけでは何ものももたらさない。しかし、それがんければ他のあらゆるものが台無しとなる。真摯さの欠如だけは、あってはならない絶対の基準である。
(『経営者の条件』)
ACTION POINT
人事においては仕事の中身をつめてください。
そのうえで実績のある人を選んでください。
今の状況は適材適所なんて言ってられない。
できるやつが何でもやる。
突き抜けるまで突っ走る。
それがスタンダードになり、道になる。
仕事とは無縁の世界
仕事や人生で
挫折がないことはありえない。
厳しい競争社会にあって、四〇代で燃え尽きる人たちが増えている。彼らはもうこれ以上の地位がないことを悟る。そのとき仕事がすべてであれば、問題が生じる。したがって、若いうちに非競争的な生活、コミュニティ、夢中になれるものを手に入れておく必要がある。それらのものが、仕事とは関係なく貢献と自己実現の場を与える。
仕事や人生で挫折がないことはありえない。昇進しそこねた四二歳の有能なエンジニアがいる。現在の仕事ではうまくいかないことを悟っている。だが、もう一つの仕事、たとえば教会の会計責任者としては立派な仕事をしている。これからも立派な仕事をしていける。あるいは、家庭が壊れるかもしれない。しかし、自分のコミュニティがある。
(『明日を支配するもの』、eラーニング教材『ネクストソサエティ』)
ACTION POINT
仕事のプレッシャーとは無縁の世界を育ててください。
そこにコミュニティをもってください。
今はそんなことは考えられない。
仕事イコール人生である。
仕事で誰にも負けない成果を残そうと思えば
誰よりも仕事に突っ込む必要がある。
今の私に仕事と無縁の世界を育てている時間はない。