国立大学の前期試験を受けるため、息子はひとりで旅立った。




その頃の息子は


縛られない自由な浪人生活にどっぷりと浸っていたので



ひとりでホテルに泊まって、朝時間通りに起きて受験会場へ行けるのかがとても心配だった。



しかし



大学生協での説明会も突如中止となり、




得体の知れない流行病が蔓延していて

しかも、感染力も致死力も高そうだと聞けば


無駄に動くのはリスクも高いだろうと思った。




朝起きられなくて受験出来なかったのであれば、

結局はそれまでだったという事だし


朝起きられないなら、県外で一人暮らししたところで、

結局は大学に通い続けるのは困難だ。





ここは、もう

息子を信じるしかない。





入学が決まれば、入学者向けに説明会を開催するという事だったので、


私は、予定されていた説明会の日程を確認して、会社に有給休暇届を提出し、息子の帰りを待った。




センターリサーチはA判定。




それまでずっと見えなかった未来が見えてきたと感じた。



とても幸せな時間だった。




私立大学の合格もあり入学金も納めたので、


どちらにしろ


これで大学受験は終了だ。




もうあとは、国立大学の合格を手にするだけだ。


諸々の手続きやら引越しで、忙しくなるだろう。




大学の寮に入れれば良いけど、条件が厳しいかなと夫と話したり


「アパートでいいんじゃないか?」

と夫が言えば


「寮母さんがいて平日はご飯作ってくれる下宿もあるよ」

と私が提案したり



夫婦で大学の説明会に参加する段取りを打ち合わせしたり



どこの不動産屋に行くか話し合ったり

近くの駐車場はどこか地図で探したり


生活費の予算はいくらにするかなど




息子の未来の話をする事が

本当にとても幸せで、嬉しかった。




まだ合格ももらっていないのに。




余裕のあるA判定だと思っていたので

余程のことがない限り、不合格はないと思っていた。