高校の担任から頻繁に電話が掛かってきては
息子の良くない行動や情報ばかり聞かされていた。
朝も起きるのが遅くなっていたし
そもそも夜何時に就寝しているのかも分からないが、遅かったのは確かだ。
休日になるとトイレに籠って2〜3時間出てこなかったり
腕に切り傷を付けたり
問題行動が多くなっていた。
息子の状態を良くする為に
どこから手を付けていけば良いのか分からなかったが、
先ずは早寝早起きが基本中の基本だと思った。
そのためには、動画を見る時間を制限しなければいけない。
Wi-Fiにタイマーを取り付け
毎晩強制的に22時で切れるように設定した。
Wi-Fiの電源とタイマーは私たち夫婦の寝室に設置していた。
22時に就寝するのだが、同じ時間にWi-Fiも電源が切れる。
すると
ちょうど私たちが寝入った頃に息子が寝室に入ってくるようになった。
Wi-Fiの電源を入れるために。
息子がこっそりと寝室に入ってくる
その物音に気が付いて、私は目が覚めるのだ。
そして暗闇の中でWi-Fiの電源を入れる息子の後ろ姿を薄目で見ていた。
Wi-Fiの電源が寝室の出入口付近にあるから、気軽にやって来るのか?と
今度は寝室の一番奥に設置した。
寝ている両親を超えて行かなければいけない場所に移したのだ。
ハードルを上げたつもりでいたが
それでも息子は私たち夫婦が寝た後にやってきて
Wi-Fiの電源を入れていた。
では手の届かない場所に移そう、となり
夫のベッドの中に設置した。
重たいマットレスを退かして、ベッドフレームの底板を開けた場所へ。
息子に気が付かれないよう、息子が出掛けた隙を見て移動した。
ここなら絶対に電源は入れられない。
寝ている父親を起こしてマットレスを退かすなど、絶対に出来ないはずだ。
息子と私たち夫婦のWi-Fiを巡る攻防は
私たち夫婦の勝利で幕を閉じた・・・はずだった。