県立トップ高校に通っていた息子。
三者面談はあったが、その時に息子の成績表を見せてもらう事は無かった。
懇談会などで他の保護者の方々に会った時に聞いてみた事もあったが、
皆、口を揃えて
「そういえば、子どもの成績表って三者面談の時に見せてもらって無いよね。」
と、言っていた。
《究極的に個人情報保護法を遵守している》
成績表は生徒本人のものなので
親とはいえ、本人以外には見せない
・・・という
笑い話のような、都市伝説のような
嘘みたいな本当の話。
しかし私は笑えないのだ。
高校から息子へ手渡されている通知表も模試の結果も定期テストの結果も
息子は私に見せなかった。
《成績は悪そうだ》
と気が付いていたが、どれくらい悪いのか?想像も出来なかった。
担任からは相変わらず電話が掛かってきていた。
「定期テストですよ?勉強していますか?」
「また赤札もらってましたよ。」
勉強するのは息子なのに、逐一私へ電話をしてくる担任。
ある時は
「息子さんの左腕にたくさん切り傷がありますよ!」
と、電話してきた。
「どうするんですか?」
「大丈夫なんですか?」
と、私を問い詰めるだけの電話だ。
ある時は
「息子さん、授業中にスマホを触っていました。注意するまでずっと触っていました!」
という報告。
ある時は
「ご主人によろしくお伝えください。」
と電話してきた。
え・・・夫?
高校の担任から頻繁に掛かってくる電話の事は
息子にも
夫にも
黙っていた。
息子に話したところで勉強するようになる訳ではないし
夫に話せば、余計に拗れると思っていたからだ。
よろしくお伝えなんて出来ません。
もう電話してこないでください。
私は心の中でそう叫んでいた。
恐らく担任も、息子の成績や生活態度に危機感を覚えていたのだろう。
高偏差値高校に、高得点を取って入学をした息子に
「やれば出来るはずだ」
と、そう思っていたのだろう。
私に言っても、息子が変わる様子が無いから
夫に、、、という事だったのだろうか。
でも、どうしたらいいのか。
「勉強しなさい」
と言って勉強するならば、いくらでも言う。
成績が上がるなら、いくらでも言う。
「自分に切り傷を付けてはいけない」
という言葉なら、嫌というほど言ってきた。
でも言っても変わらない。
言って変わるほど、簡単な問題では無かったし
息子が必要としていたのはそんな禁止言葉では無かった。

