教科書発売日、一緒に書店へ買いに行ったのに
連絡しても戻ってこなかった息子。
右手には傘
肩には教科書が入った重い手提げ袋
左手にはキャリーケース
そして、強まる雨
『手を貸してくれないと、とてもじゃないけど歩き進めない。』
そう思ったが
ふと
《それって、おかしな話よね》
と思った。
直感的に違和感を感じて、瞬時に息子への怒りに変わった。
そもそも、
この教科書は息子の物だ。
息子が使う教科書を買いに来たのに、本人が何処かへ行ってしまい戻って来ないとは。
相当の量で、とても重い
しかも、雨が降っている。
私は親として、教科書代を負担し
この重い荷物を息子ひとりでは無理だろうと一緒に来た。
それなのに・・・!!!
なぜ、立場が逆転しているのだ?!
なぜ、電話に出ないのか?
なぜ、息子は戻ってこないのか?!
雨の中
重い荷物を持って
私はイライラしていた。
書店の中に戻って、雨宿りしながら息子を待つか
それとも、このままひとりで帰ろうか
そんな事を考えていると
フラッと息子が戻ってきた。
実際には短い時間だったのかもしれないが、
私には長い時間に感じていて、
フラッと戻ってきた息子に対して、さらに怒りが込み上げてきた。
聞くと、教科書を買いに来た書店ではなく
少し歩いた先にある大規模書店へ行き、
「ずっと本を読んでいた。」
と言うのだ。
「一冊読み終わるまで、その場を離れられなかった。」と。
・・・え?!
・・・どっちが大事なんですか?
自分の入学する高校の、しかも宿題をやらなくてはいけない教科書だよ?
その教科書と、書店で立ち読みしている本
どっちが大事なんですか?
「自分の荷物は、自分で背負うべきだ!」
そう言って、息子に荷物を持たせた。
その時の私は、
怒りの感情に支配されて何も見えていなかったのだが
息子にとって、それらの教科書は
本当に《自分の荷物だ》と
そう思っていたのだろうか?
どこか他人事のように思っているのではないか?
それと
一冊の本を読み終わるまで、という理由、、、
小さい頃から、集中すると周りが見えなくなる所があった。
過集中状態だったのか?
息子の優先順位が謎過ぎて、理解不能だった。
