抑えの私立高校2校の合格を手にし、
その時点で必ず高校生にはなれる保証はあった。
それで充分だったのに、
私は息子に、茨の道を進ませてしまった。
難関高校で合格が難しい受験だったとはいえ、
やはり
2つ続けて【不合格】の知らせを受け止めるのは、とても苦しいものだった。
見ている私自身も苦しかったが、
実際に受験勉強をやり、
入試を受けた息子の苦しみは
遥かにそれを超えるものだったに違いなかった。
毎日毎日
通信教育を自分で進めて予習した後、
塾で習い、
さらにその後に学校の授業で習う。
ひとつひとつの単元を、2回、3回と繰り返し勉強していた。
乾いたスポンジを、知識という泉に浸すと
たっぷりとその水を含むように
どんどんと吸収していった。
それでも
国立大学附属高校と私立大学附属高校の合格には
遠く及ばなかった。
小さい時からずっと「変わった子だね」と言われていた息子。
嘲り笑われる事が多々あった。
父親ですら、「あいつには無理だ」と言った。
でも、ここまでやれたのだ!
・・・いや、
私が、やらせたのだ・・・
息子は息子のままで良かったのに。
素直で優しい子で、そのまま真っ直ぐに育ってくれれば充分だったのに。
私が、勝手に期待して
私が、それまで受けた悔しい思いを晴らしたくて
《こんなに出来るんだ》
って、ただ証明したかっただけなのだ。
