wings~上2.14歳、初恋心。2-[1] | あまいゆめをみてる *プラグレス文庫*

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少女漫画家になれなかったヤツが書き殴ってる
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㊤2:フルート

Ⅱ-[1]


「じゃ、練習ガンバレよ!」


翼は笑顔でそう言って帰って行った。

その一言と笑顔で、あたしは今日も遅くまで続く練習を頑張れる。


1時間ほどして休憩になった時だった。

「ねぇねぇ佐久原さんて、ほんっと〜に一色くんと付き合ってないの!?」

尋ねてきたのは、同じ吹奏楽部のクラリネットの子だった。
「・・あー、まぁ、うん・・・。」
この質問をされる度、あたしの胸は『キュウッ』と痛む。

確かに、付き合ってと言ったわけでもないので、肯定は出来ない。

そうなると、否定。
翼が、一緒にいる理由は、幼なじみだから・・・?
「ほんとに!?じゃあ好きな人は!?いるの!?」
「・・・さぁー。。。」
そんな事、コッチが知りたい。
「なんでよ!?幼なじみなんでしょ!?どーしてわかんないの!?」
どーしてって・・・。

「な、なんで。」

ヤボな質問をしてみる。

「や、なんかぁ、リエが夏休み前に告ろうかなとか言っててー。」
そう言うとおもむろに視線を外す。
(部長なのに!?)
そんなバカなコト、あるハズ・・コンクールを控えてるっていうのに。
告ったところで、遊べないでしょ!?

だったら、翼に余計なコト、しないで!!

「そこ、始めるよっ」

と、指揮の顧問に注意された。再びフルートを構え、練習が始まる。


一度だけ、小学校5年の時、クラス中でウワサにされて冷やかされた事があった。
朝、いつものように一緒に教室へ入ったら、黒板に大きく描かれてた。
『2人は付き合ってて、チューをしてた!!』
とか、ある事ない事。
・・・どっちも無かったんだけど。
あたしはとにかく恥ずかしくって、入り口で固まって下を向いてたら、翼はものすごい怒って、
「誰だよ!?コレ書いたヤツ!!美羽をいじめるヤツはオレが許さねぇ!出て来い!!」
…って、なんだかちょっと見当違いな事言ってたけど、
それがすごく嬉しくて、
心強くて、
もっともっと大好きになった。

・・・翼は、優しいから、告られたりしたら、断れないんじゃないかな・・・・・。

だったらあたしも『告れば?』って思うけど。
そんな、同情でOKされたくないし。
あたしなりに、頑張って努力してるつもり、なんだけどなぁ。


やっと練習が終って、薄暗いゲタ箱へ行くと、傘立てに誰か座ってる!?
てゆうか、動かないし!
恐る恐る近づいてみると、翼だった。

(・・・い、居眠りしてる。。)

サラサラの髪が顔にかかってる。
あ、今朝の寝癖、まだそのままだ。
起きそうにないなぁ。こんなトコでスヤスヤ寝てる。
ずっと、見つめてたくなっちゃうよ。
でも、虫に刺されるよー?
「・・・翼。」

仕方無く声を掛けた。

「ん・・」
眠そうに目をゆっくり開ける。
「美羽!練習終った!?」
パッと笑顔になる。
「う、うん・・・。」

・・・ひょっとして、待っててくれたの?

「ぃやぁ~・・よく寝た!」

あくびをしながら、うぅ~んと両手を上げて、ノビをする。


ほんとに翼を広げてるみたい。
なんて自由な人生。

「じゃ、帰ろっか!」
満面の笑顔で言って、傘立てからぴょんっと立ち上がる。

「あっ蚊にくわれたっ痒いぃ~!」

即座に腕を見て、ボリボリ掻き始める。
「・・・もォー、そんな所で寝るからだよっハイッ!」
あたしはすかさず“ポケムヒ”を差し出す。
「・・・サンキュー美羽♪オレの保健室みたいだ!」
翼のその笑顔につられて、あたしは『くすくす』笑う。

そうだよ、翼が困った時には、役に立ちたいから。


中学に入学したての頃、翼は髪の色を理由にしょっちゅう上級生から呼び出されていた。

地毛だって言っても信じてもらえず、お陰でケンカっ早くなってしまい、

生傷が絶えなかったから、以来あたしは絆創膏やなんかをポケットに常備していた。


㊤2:下駄箱1

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