「みんな受かって欲しい!」ってよく言いますよね。
きっとそれはうわべだけの薄っぺらな言葉ではなく、その人の本心から出た言葉だと思うのです。
でも、それが何となく薄っぺらに感じてしまうということもあるかもしれません。
その原因は何なのかを論理的に分析してみましょう。
全員合格
前受け入試とか、難関レベルの併願校あたりになると、ほぼ全員合格なんていうことがあったりします。
ほぼ全員は全員ではないのですが、塾の志望校別コース内ではその学校に全員合格なんていうことがあります。
ボーナスとか出るんですか?って聞かれたことがありますが、一円も出ませんでした。
それどころか、塾の目標に届いていないとか言われました。
全員合格してるんですけど…。
もし受験生全員が合格したらどうなるかを考えてみましょう。
【灘中の場合】
今年の出願者は746名です。
そのうち実際に受験するのはどれくらいかというと、過去のデータではだいたい95~98%です。
ということは746名の95%で約709名、98%で約731名ですから、709~731名が受験すると考えることができます。
真ん中をとって約720名としておきましょう。
その全員が合格した場合、合格者数は720名になります。真ん中をとって約720名としておきましょう。
各塾の合格者数を合計すると軽く1000名を超えることになるかと思われます。
灘中合格者数日本一に輝く塾は受験者数が一番多い塾ということになります。(兼塾も含めて)
灘中を回避した人たちにとってはすごく悔しい思いをすることになるかもしれません。
合格者のうち、実際に入学するのは例年で約7割程度です。
首都圏や九州からの遠征組はかなり辞退すると思われます。
720名の7割として計算すると、504名の入学者ということになりますね。
募集が180ですから、その2.8倍です。
脳がバグりそうですが、これは実質倍率ではないですよ。
実質倍率は受験者数÷合格者数ですから、全員合格なら1.0倍になります。
これがどういうことかというと、
いわゆる「名前を書けば入れる学校」になってしまうということです。
塾のA判定偏差値表(R4)は合格可能性80%を想定しています。
もし、全員合格してしまうとどうなるかというと、A判定偏差値が出せなくなってしまいます。
強いて数値を出すとしたら、偏差値表の下の方にある偏差値35以下の区分になります。
灘の偏差値が高いのは、そのA判定偏差値でも不合格になる人が2割くらい存在するからです。
つまり全力で頑張ったにも拘わらず、あと一歩で夢破れた人たちの力で偏差値を押し上げているのです。
全員合格すると、それが一気に崩壊します。
近畿圏にもいくつか過去はトップレベルだった女子校というのがあります。
そんな運命を辿ることになってしまうのです。
学校生活はどうなるでしょうか?
504名が入学すると大変なことになります。
1クラス約45名で計算すると、11クラスになります。
無理やり4クラスにすると、1クラスが126名になります。
教室に例の机椅子を敷き詰めてもとても126名は収容できません。
積み上げて2段にするとか、いっそのこと椅子だけにするとか。
イメージとしては文化祭のときに賑わっている教室みたいな人口密度ですね。
さすがにそれでは授業が出来ません。
今ある校舎を使うとなると、英語教室、社会科教室、物理教室、生物教室、化学教室、地学教室、さらには研究室まで潰して新しい教室にするしかありません。
それでは実験とかが出来なくなるので、新しく作るしかありません。
4月に間に合わせようと思ったら、プレハブ教室しかなさそうです。
グラウンドに7教室つくることになるかもしれません。
でも、それだけ増えたら大学合格実績とかすごいことになりそうな気がしますね。
東大理Ⅲの合格者数はどれくらい増えるでしょうか?
おそらく2~3名しか増えないと思います。
東大合格者は40名くらいは増えそうです。
京大合格者は50名くらいは増えると思います。
国公立医学部合格者は100名くらい増えるでしょう。
しかし、現役合格率は下がります。
合格率は統一入試日の甲陽に負けることになるでしょう。
東大寺・洛南・西大和は実績がかなり下がります。
それ以前に、灘不合格者がいなくなると、その3校のレベルは一気に下がります。(男子のみ)
といった感じで、全員合格になると大変なわけです。
そこまで考えたら「みんな受かって欲しい」なんてとても言えませんね。
ウチの子だけ受かって欲しい
「みんな受かって欲しい」とは思っていない人も多いと思います。
ひょっとしたら「ウチの子だけ受かって欲しい」なんて思っている人もいるかもしれません。
すると、泉の中から女神が出てきて「あなたは正直なのでみんなを合格にしてあげましょう」と。
金の斧と銀の斧が貰えるのはうれしいですが、鉄の斧がどうなったかが気になります。
「ウチの子」はどうなるのでしょうか。
「あなたは己の欲望に正直なのでその願いをかなえてあげましょう」
入学式が近づくと学校から電話が掛かってきます。
あなたは入学生代表に選ばれたので、挨拶をお願いしますと。
なんと、入学者1名。
「ウチの子」以外全員不合格なのです。
新入生代表「今日、僕たちはこの学校に入学します。…」
どこかから「”僕たち”ちゃうやろ!」とヤジが飛んできそうです。
高校入試が無ければ6年間一人です。
学年トップは間違いないです。
授業はすべてマンツーマンなので学力も問題ないでしょう。
大学合格実績は寂しいものになりますが、私大ならOBが受験料を寄付して共通テスト利用出願をすれば一人で何十校も合格を稼げます。
これは過去に実証済みですね。(今年度閉校)
体育の授業は団体競技だと辛いですね。
バスケは1on1になりますし、野球はキャッチボールかノックくらいしかできません。
サッカーはPKでしょうか。
どれも相手は先生です。
修学旅行とか遠足はすべて先生と2人で回ります。
それでは寂しすぎると言えば、先生が増員されます。
そのかわり移動はサクサクいけますし、自主性を重んじる学校なら自分の好きなところに行けます。(個人行動)
1学年上の先輩からは可愛がられ、部活も引っ張りだこになるかもしれません。
委員会はすべて兼任ですね。
生徒会長にもなれるかもしれませんが、下級生が立候補したら票数で勝てません。
良くも悪くも目立つので、学校では有名人ですね。
これが共学だとより寂しさが大きくなるかもしれません。
他学年を見て「爆ぜろリア充!」と叫びたくなるかもしれません。
それでも至れり尽くせりな6年間を終えて、卒業生総代の挨拶です。
卒業生総代「僕たちは6年間この学校で学んできました。…」
「”僕たち”ちゃうやろ!」とヤジが飛んできそうです。
「最後に一言、一度でいいから同級生と遊んでみたかった…。」
全員合格とか入学者1名というのは極端な例ですが、実際に受験者のほぼ全員が合格で、学年人数が少なく定員割れしている学校もあります。
人気のある学校というのはやはり合格するのがそれなりに難しくなければならないのです。
そういう学校の合格を勝ち取ること、そしてそのために努力を重ねることが大事なのだと思います。
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