「合格しても入学する気がないのなら受験しないで欲しい」とか言わない方がいい | 中学受験 玄人思考のブログ XII

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ブログ開設11周年を迎えました。

毎年この時期になるとこういうセリフがどこかで聞こえてきたりします。

 

「合格しても入学する気がないのなら受験しないで欲しい」

 

おそらくそういうことを言う人は入試速報とかを見ているのだと思います。

どんどん増え続ける出願者数に恐れ慄き、これ以上増えないで欲しいと願っているのかもしれません。

 

「合格しても入学辞退する人のせいで、第一志望の人が合格できなくなるので可哀想」

などと、「ちょっと良いこと言った」みたいに思っているかもしれません。

 

大手塾の中には灘中や開成中などの合格実績を少しでも盛るためにわざわざ遠い地域から受験生を連れてきて受験させたりするところもあります。

塾が交通費を負担したり、バスをチャーターしたり、受験料まで負担したりするなんていう噂も聞きます。

そんな塾のせいで自分の子が行きたい学校に行けなくなるのは許せない、と言いたいのかもしれません。

 

ですが、それは大きな勘違いなのです。

間違ってネット上でうっかり発言なんかしてしまうような過ちを犯すと、黒歴史として永遠に残ってしまうかもしれません。

 

そうならないためにも、また間違った情報に踊らされないように正しい知識を身に付けておきましょう。

 

 

 

  勘違いその1

 

合格実績のためだけに行く気もないのに受験する人がいると入試の難易度が上がる

 

 

コンサートのチケットなどを転売する人(テンバイヤー)のせいで入手しづらくなったり、ヤフオクで高値がついたりするという話はよくあります。

転売するだけで利益を出している人たちをずるいと考える人もいるかと思いますが、それが違法行為でなければ咎めることはできません。

「転売するだけ」とは言っても、入手困難なものを入手するためには徹夜で並んだり、ひたすらネットで申し込んだり、そのために人を雇ったりするもするので、意外にコストを掛けていたりします。

おまけに転売が上手くいかなければ大損するリスクもあります。

販売側に対策をされたら転売すらできなくなる可能性もあります。

その一方で、「高値でもいいから買う」という人がいるからこそ成り立つビジネスでもあるわけです。

純粋に販売価格で入手したい人にとってはいい迷惑だというのには賛成です。

 

中学入試の場合を考えてみましょう。

入学する気がない人が多数受験すると、確かに出願倍率は上がります。

その数字だけ見ると難易度が上がったかのような錯覚を起こします。

 

しかし、学校はなるべく募集定員を満たしたいわけですから、入学辞退者が多数出て入学希望者が確保できない場合は追加合格を出します。

ですから、

入学の権利が転売されるわけでもありませんし、入学辞退した人の席が空席になるわけでもないのです。

 

どこの学校でも毎年一定数は入学辞退者がいるので、ある程度それを見越して合格者を多めに発表します。

そうすると結果的にどうなるかというと、出願倍率が高かった割に実質倍率は例年通りに落ち着いてくるのです。

 

つまり、入学の意思がない人がいくら受験しても、その学校の入試の難易度には全く影響がないということです。

例えば、定員200名の学校であれば上位200人が合格です。

そこに合格実績だけ稼ぎに来た人が50人いて、そのうち20人が合格したとしましょう。

その20人は入学辞退するので、学校はその分だけ合格者数を増やします。

結果的に上位220人が合格ということになるわけです。

 

第一志望の人にとっては、上位220位内に入ればいいわけですから、入学する気のない合格者20名を無視して、入学希望者の中で上位200名に入ればいいということなのです。

 

 

「第一志望の人が可哀想」と本気で思っているのなら、なぜ合格しても行く気のない「前受け受験」をするのでしょうか?

前受け校の多くは本命の人向けの入試日程や、専願入試を用意しています。

県外受験者向けの日程は受験者数に対してかなり多めの合格者を出します。

基本的には県外受験者は模試代わりに受験しますが、学校もそれをわかっていてわざわざ大阪とかに会場を借りて実施しているのです。

単純に受験者数×受験料-経費が学校の利益になりますし、あわよくばそこから入学者が出れば入学者のレベルアップにもつながります。

 

テンバイヤーみたいなものですね。

 

 

誰も損してないって?

行く気もない県外の学校の受験料を払っているのですよ?

 

という考え方もあります。

 

 

 

 

  勘違いその2

 

・合格実績を稼ごうとする大手塾のせいで難易度が上がる

 

大手塾が合格実績を稼ごうとするのには理由があります。

合格実績が良ければ入塾希望者が増えるからです。

なぜ合格実績が良いと入塾希望者が増えるかというと、合格実績の良い塾に入れば合格する可能性が高くなると考える人が多いからです。

そこを深く追及するのはやめておきましょう。

 

どこの塾が受験生を何人連れてこようと、入学する意思がない受験生が増えたところで難易度は変わりません。

微妙なのは「本命がダメだったら入学するかも」といういわゆる「併願校」受験をする人たちが多少はいるということです。

そういう人がいると、若干ですが難易度アップに繋がります。

ですが、いくら塾が受験を煽ったところで、入学するかどうかは各家庭の意思ですから、塾の問題ではないと思います。

 

 

「入学辞退した人の分だけ合格者数が増える」という入試の仕組みを理解している塾であれば、「入学する意思のない合格者」を増やすことで合格実績が盛れるということに気づくはずです。

定員200名の学校で入学辞退者がいなければ合格者数は200名しかでませんが、そこに「入学する意思のない合格者」を100人ほど突っ込めば最終的に合格者数は300名となります。

つまり、入試の難易度を上げることもなく、合格者数だけ増やせるということですね。

 

学校はそれをされると入学者を確保するのが難しくなります。

そこで専願入試のシステムを取り入れたり、入試日程を被せたりするわけです。

中にはあえて塾に合わせて入試日程を増やしたりすることで、受験料を稼いだり最難関校のおこぼれを拾ったりする学校もあります。

そのおかげで第一志望がダメでも併願校に拾って貰えたという人もいるわけですから、それはそれでいいのかもしれません。

 

最難関中ばかり注目されがちですが、実際に合格者数をたくさん出している学校はその併願校となる難関レベルの学校に多いです。

みなさんが併願校とか滑り止めと考えている学校(難関校)は、募集定員に対してかなり多くの合格者数をだしていたりするのです。

それで入試の難易度(塾のA判定偏差値)が上がるということはないので、最難関校でも同じことが言えます。

 

 

  塾が交通費・宿泊費を負担?

 

首都圏からわざわざ灘中受験ツアーに参加する人が毎年たくさんいます。

特にコロナが明けた今年は去年より多くなるかもしれません。

 

どうしてそんなに大勢受験しに来るのかというと、塾が「交通費・宿泊費を負担」とか言っていたりするからです。

 

「そんなのずるい!」

と思う人もいるかもしれません。

「だったらうちも受験料くらい塾が出してくれてもいいのでは?」と。

 

実はこれ、やろうと思ったら簡単に出来ます。

例えば、私の塾で「入試直前に個別指導を受けたら志望校の受験料を負担します」ということも可能です。

ですが、誰でも何校でもOKというわけには行きません。

ある程度条件は必要になります。

最大の条件はその受講料ですね。

通常の授業料に若干上乗せする形になるかと思います。

授業時間数もある程度縛りが出てくるかと思います。

トータルで見ると通常よりも若干値段が高くなる感じですね。

どれくらい高くなるかというと、ちょうど受験料くらいになるかと…。

 

 

つまり、大手塾の「灘中無料受験ツアー」に参加するためには灘中受験のための特訓講座を受講することが必須になっていて、そのトータル金額の中にツアー料金が含まれているということなのです。

さすがに灘中受験に全く関係ない生徒の授業料に上乗せするわけにもいかないでしょう。(知らんけど)

 

誰かが消費者庁や公正取引委員会にでも訴えたら塾の表記も変わるかもしれません。

「灘中特訓に参加すると交通費・宿泊費が実質無料!」とか。

「実質無料」が実質有料であることはみなさん理解していると思います。

 

 

 

  勘違いその3

 

入学する気がないのに受験しているからといって合格できるとは限りません。

 

前受け入試や併願校受験でも毎年不合格者はいるのです。

油断してはいけません。

入学する気がなかったとしても、いざ不合格になると「告白してもいないのにフラれた」くらいのショックを受けます。

「別に行きたかったわけじゃないから、勘違いしないでね!」とか言われても勘違いしかしないと思います。

 

どっかの塾が他の地域から大量に受験生を連れてきたとしても、それで全然合格者が出ていなければ「関西なめたらあかんで」と思ってしまったりするわけですね。

 

国語の問題で関西弁や関西の話題が出てきたり、社会で近畿地方(特にその学校のある府県)の問題を出題する学校はちょっと地元愛が強いのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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