3月に入りました。
6年生は入試まで10ヶ月と2週間です。
4月くらいになるとどこの塾でも志望校判定テストの類が行われるようになります。
志望校に対して合格可能性を判定してくれる模試ですね。
当然みなさんはA判定を狙っていると思いますが、A判定は誰でも取れるものではありません。
また、A判定を取ったからと言って必ず合格できるわけでもありません。
では、B判定やC判定だったらどうなのでしょうか?
D判定を取ったら合格は無理なのでしょうか?
今回は理論的に考えてみようと思います。
合格判定と合格可能性
塾によって多少違いがあるのですが、一般的に大手塾の模試だと結果がA判定~D判定の4つに分かれているところが多いと思います。
合格可能性は、
A判定 80%以上
B判定 60%以上
C判定 40%以上
D判定 40%未満
のように定義されていると思います。
※塾によってはA判定を85%としています。
塾生が基本的に全員受験する塾内模試ですから、毎年入試が終わるとその結果を基に判定ラインが決められます。
募集定員や日程の変更、志望者の動向などを考慮し9月以降に調整が入ることもあります。
五ツ木・駸々堂模試だともう少し細分化されていて、A判定~F判定まであります。
私立の中学校が会場になったりするので、志望校で実施されるときに受験するという人もいると思います。
A判定 90%以上
B判定 80~89%
C判定 60~79%
D判定 40~59%
E判定 15~39%
F判定 15%未満
この模試は最終的にどこの学校を受験して、結果がどうだったかという追跡調査もしているので、そのデータに基づく判定となっています。
今回は大手塾の判定(A~D)について考えていきます。
よくある勘違い
「A判定を取ったら合格可能性80%」
A判定が取れたら合格可能性が80%だと思っている人がいます。
これは理論上正しいとは言えません。
「合格可能性80%の成績を取ったらA判定」なら正しいと言っていいと思います。
でも、合格可能性81%でもA判定です。
塾の説明でも「合格可能性80%以上」と書いてあると思います。
ですから、80%であると決めつけてはいけません。
当然、同じA判定でも成績が優秀な人ほど合格可能性は高くなります。
「合格可能性80%なら5回受験すれば4回受かる」
これも正しいとは言えません。
(理論上は間違いだとも言えません。)
この80%は回数ではなく人数が基になっているからです。
つまり、A判定の受験生のうち80%が合格するであろうというラインをA判定のラインとしているわけです。
逆に言えば、A判定でも20%は不合格になるというラインなのです。
で、同じA判定でも鉄板と言われるトップ層から、ギリギリの下位層までいるわけです。
同じ学校を受けて2割落ちるとしたら、どのような顔ぶれになるのか想像してみてください。
志望校別特訓のクラスが3組くらいまであると、だいたい1組の合格率は80%を超えます。
それがA判定レベルだと考えるといいと思います。
稀にトップ層でも不合格になることがあるので、安心はできません。
ちなみに、同じ入試を5回受けることは出来ませんから(偽の命題)、その結果が「4回受かる」であっても「10回受かる」であっても理論上は「真」となります。
※命題P⇒Q において、Pが偽ならQが真でも偽でもP⇒Qは真となります。
例「もし子どもが5人いたら、5人とも東大理Ⅲに合格させることが出来る」
子どもが5人いなければ、何を言っても「真」となります。
塾の先生でも判定の仕組みを理解していない人が多いです。
説明がおかしいこともあります。
塾によっても多少計算方法が異なる場合もあると思います。
私が知っているのは某学園の計算方法なので、みなさんの通っている塾と異なる場合があると思います。
所属する塾の先生に聞いてみてください。
偏差値についてよくわかっていない人に聞くのはやめた方がいいです。
「前回はB判定だったから次はA判定を狙う」
A判定を目指すのはいいと思います。
しかし、合格判定の偏差値というのは前年度の6年生の成績を基に計算しています。
そして、その基準となる成績はだいたい9月以降の平均値を用います。
つまり、1回限りの成績ではなく、3~4ヶ月の平均値で考えた方がいいということです。
ついでに言うと、9月以降の成績なので今の成績は入りません。
ですから、「まだこの時期は悪くても気にしなくていい」なんて言われたりします。
本当は気にして欲しいのです。
志望校は諦めずにもっと努力して欲しいという意味で言っているのです。
このままで大丈夫だなんて一言も言っていません。
「C判定でも受かった人がいる」
そんな話を聞くかもしれません。
塾の先生が言うからには、実際にC判定で合格した人もいるのでしょう。
だからといってC判定でも大丈夫というわけではありません。
例えば志望校別特訓の3組あたりがC判定だとすると、クラスに数名合格者が出ることがあります。
それくらいの割合だと考えた方が現実的です。
40%じゃないの?と思うかもしれません。
合格者の割合は40%以上だと思います。
C判定偏差値以上の全受験者のうち、40%が合格するように偏差値を定めているからです。
実際のところ、合格者の中で最も低い偏差値をC判定偏差値とする場合もあります。
つまり、D判定からは合格者が0ということですね。
合格判定シミュレーション
今年の灘中の受験者数は730名、合格者は281名でした。
仮にこの730名が同じ模試を受けたとした場合にどれくらいの人数がどのような判定になるのか計算してみましょう。
まずはA判定ですが、A判定の受験生のうち80%合格すると考えた場合、A判定の人数は281÷0.8=351名とならなければなりません。
同様にB判定は、281÷0.6=468.33…⇒468名となりますが、ここからA判定の351名を引いて117名となります。
C判定は281÷0.4=702.5⇒703名のうち、B判定以上の468名を引いて234名となります。
D判定は730-703=27名となります。
まとめてみましょう。
合格者281名
A判定351名
B判定117名
C判定234名
D判定27名
ギリギリA判定の人は351位で、全体の半分より少し上ですからおそらく受験者平均点を少しだけ上回っていると思います。
もしこれが本番ならA判定の下位70名とB判定以下は全員不合格です。
ですが、もし模試なら本番では多少順位は入れ替わる可能性がありますね。
平均点と合格点の差が46.4点ですから、ギリギリA判定でも1科目あたり10点上がれば逆転合格となります。
その可能性を80%だと思うのは個人の自由です。
塾の判定とどれくらい誤差があるかはわかりませんが、例えば塾でB判定の人が受験すると計算上352~468位の間に入る可能性が高いということですね。
他の学校はどうでしょうか?
東大寺の場合
受験者数903名
合格者数409名
そこから算出した人数は
A判定511名
B判定170名
C判定221名(受験者数を超過)
D判定-名
となります。
西大和男子の場合
受験者数903名
合格者数398名
A判定498名
B判定166名
C判定240名(受験者数を超過)
D判定-名
西大和女子の場合
受験者数246名
合格者数91名
A判定114名
B判定38名
C判定76名
D判定19名
よく、塾が特攻させているなんて言う人がいますがそんなことはありません。
もし塾が志望校決定に口出しするのであれば、C判定以下の学校なんか絶対に回避させます。
前受けや日程が被らない後期とかで合格者数を稼ぐためだけに受験させるというならまだしも、統一日にそんなもったいないことはさせたくないですね。
入試が近づくと冷静な判断はしにくくなりますし、急に志望校変更するのもリスクなので、今のうちから計画を立てて頑張っていきましょう。
(出来れば4年生か5年生くらいから)
Ⓐ判定
塾によってはA判定の上にⒶ判定があったりします。
どれくらいの人数比なのかは知りませんが、生徒から聞いた限りでは最上位クラスの数名だとか。
偏差値表には一切書いてないので合格可能性も偏差値も不明です。
いわゆる鉄板レベルということですね。
そんなことするくらいなら、最初からA~Eの5段階にすればいいのにと思います。
0組というのもそうですね。
でも、男子ってそういうプレミア感が好きなので、いわゆる厨二病(中二病)的なネーミングなのでしょう。
ちなみにD判定までしかない塾の模試にも、実は内部判定ではE判定というのがあったりします。
D判定にまとめてしまっているのです。
生徒がショックを受けないようにという配慮だとも言われていますが、子どもがショックを受けたというクレームに対する配慮だという気もします。
判定と合格可能性については塾の資料をよく確認してください。
わからない点については塾で聞いてください。
教育相談を希望する方は塾の資料をお持ちください。
まずはメッセージを。